延烏郎と細烏女延烏郞細烏女
1岩に乗って日本へ渡る
第八阿逹羅王即位四年丁酉東海濵有延烏郎細烏女夫婦而居.一日延烏歸海採藻忽有一巖〔一云一魚〕負歸日本.國人見之曰“此非常人也”,乃立爲王〔按日本帝記,前後無新羅人爲王者.此乃邉邑小王而非真王也.〕.細烏恠夫不來歸尋之見夫脫鞋亦上其巖,巖亦負歸如前.其國人驚訝奏献於王,夫婦相㑹立爲貴妃.
第八代阿達羅王が位に就いて四年目の丁酉に、東海の海辺に延烏郎と細烏女の夫婦が住んでいた。
ある日、延烏が海に出て海藻を採っていると、突然一つの岩が〔一匹の魚ともいう。〕彼を背負って日本へ行った。その国の人々が見て「これは並の人ではない」と言い、彼を立てて王とした。〔『日本帝記』を考えるに、前後に新羅の人が王となったことはない。これは辺りの邑の小さな王であって、真の王ではない。〕
細烏は夫が帰ってこないのを怪しんで探しに出たが、夫が脱いで置いた履物を見てその岩に登った。岩はまた前のように彼女を背負って行った。その国の人々が驚き怪しんで王に申し上げると、夫婦は互いに会い、細烏を貴妃とした。
夾注 2
一云一魚
一匹の魚ともいう。
按日本帝記, 前後無新羅人爲王者. 此乃邉邑小王而非真王也.
『日本帝記』を考えるに、前後に新羅の人が王となったことはない。これは辺りの邑の小さな王であって、真の王ではない。
2絹を得て日と月の光を取り戻す
是時新羅日月無光.日者奏云“日月之精降在我國,今去日本故致斯怪.”王遣使來二人,延烏曰“我到此國天使然也.仐何歸乎.雖然朕之妃有所織細綃,以此祭天可矣.”仍賜其綃.使人來奏,依其言而祭之然後日月如舊.藏其綃於御庫爲國寳,名其庫爲貴妃庫.祭天所名迎日縣又都祈野.
このとき新羅では日と月が光を失った。日官が申し上げた。「日と月の精気がわが国に降りていたのに、いま日本へ行ってしまったので、このような怪しい事が起きたのです。」
王が使者を遣わして二人を来させようとすると、延烏が言った。「わたしがこの国に来たのは天がさせたことである。いまどうして帰れようか。しかし、わたしの妃が織った細い絹があるので、これで天に祭ればよいだろう。」そうしてその絹を与えた。
使者が帰って申し上げ、その言葉のとおりに祭ったところ、そのあとで日と月が元のようになった。
その絹を王の倉に納めて国の宝とし、その倉を貴妃庫と名づけた。天に祭った所は迎日県または都祈野と名づけた。