壬戌の年の冬十二月、征東幕府に従って行き、天寿寺に至って酒席で見送りの客に贈る壬戌冬十二月。從征東幕府行次天壽寺。飮中贈餞客。
平生不折春螽股。今日將抽乳虎牙。破賊朝天參御宴。紫微宮裏揷宣花。
生涯、春のきりぎりすの脚さえ折らなかったのに 今日は乳飲み子の虎の牙を抜こうとする 賊を破り朝廷に参じて御前の宴に加わり 紫微宮の中で宣花を挿すだろう
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紅旗白刃討黃巾。膽怯書生忝幕賓。楯墨何曾乾一日。東江水盡必生塵。</div>===幕中書懷示同營諸公===
赤い旗と白い刃で黄巾の賊を討つのに 肝の小さい書生が畏れ多くも幕府の客となった 盾の上の墨が一日でも乾いたことがあろうか 東の江の水が尽きてはじめて塵が立つだろう
夾注 1
予以參謀兼書記。
私は参謀として書記を兼ねた。
4幕中で思いを書いて同じ陣営の諸公に示す
冬十二月歲將迫。愚儒作佐元戎幕。平生不慣聞鳴鏑。今日鞬弓還荷戟。元帥相公萬人敵。胷中早蓄龍韜策。遇士披心示恢廓。使人忘𨈬無顧惜。所以乾坤放曠客。不詞俯首就銜勒。少年麤膽敢許國。北無玁狁南無貊。完山往日遭譴謫。有如鎩却摩天翮。今日悠悠復何適。湘吳山高江水碧。舊習未除猶擧白。酒酣四顧天地窄。君不見雞林黠俗眞小賊。不足汙我劒三尺。不如用一壯士力。縛來麾下費一索。不然走我手中檄。坐召渠魁見銜璧。明年春風氷解脉。金柳低垂玉梅拆。朝天歸路一條直。奏凱聲中千指拍。公卿迎勞東郊陌。蟬首蛾眉羅密席。紅旆悠揚光赫赫。紫髥將軍扶醉腋。入朝天闕獻俘䤋。大者封侯次千碩。如予拙澁縮自却。口不言功甘遁迹。但願諸公梟盧期一擲。
冬の十二月、年が暮れようとするのに 愚かな儒者が元帥の幕府で補佐となった 生涯、鳴り矢の音を聞き慣れなかったのに 今日は弓を帯びて、かえって戟を担う 元帥相公は万人を敵とする人 胸の中に早くから六韜の計略を蓄えておられる 士に会えば心を開いて広やかさを示し 人に身を忘れさせて惜しむところをなくさせる だから天地を気ままに行く客も 頭を垂れて轡と手綱に就くことを辞さない 若い日の粗い肝で、思いきって国に身を許したが 北に玁狁はなく、南に貊はなかった 完山では、かつて咎めを受けて流された 天を掠めていた翼が折られたようであった 今日はまた遥かにどこへ行くのか 湘と呉の山は高く、江の水は碧い 古い癖が抜けず、なお罰杯を挙げ 酒が熟して四方を見回せば、天地が狭い 君は見なかったか、鶏林の小賢しい連中はまことに小さな賊で わが三尺の剣を汚すにも足りない 壮士一人の力を用いるにこそ及ばない 指揮の下に縛って来るのに縄一本で足りる そうでなければ、わが手の中の檄文を走らせ 座ったまま首魁を呼び、璧をくわえて出させよう 来年の春風に氷の脈が解け 金色の柳が低く垂れ、玉の梅がほどける頃 朝廷へ帰る道は一筋にまっすぐで 凱歌を奏する声の中で千の指が手を打つ 公卿が東の郊の道で迎えて労い 蟬の髷と蛾の眉が密な席に並ぶ 赤い旗が悠々と翻って光が赫々とし 紫の髭の将軍が酔った腋を支えられる 朝廷の宮門に入って捕虜と斬った耳を献じ 大きな者は侯に封じられ、次は千石を得る 私のような者は拙く渋って縮み、自ら退き 口に功を言わず、跡を隠すことを甘んじて受ける ただ願わくは諸公よ、一擲して梟盧を期されよ