李注書𥭡が林の園に招いて酒を飲む李注書𥭡邀飮林園
嘉君城南居。林園最幽寂。我昔步花甎。君作蓬山客。朝罷輒携來。解衣共盤礴。櫻序常置醴。可愛香味色。濁者如醍醐。淸者如瓊碧。甘非設穆生。釅勝倒玄石。得意到忘形。詙笑雜戲謔。邇來各從事。聲迹久乖拆。我佩桂州符。子時在京洛。我方瓜代還。子向關東謫。每憶兹園遊。杳如千載隔。今日告休沐。端居草堂僻。蒙君折簡招。跨馬鞭屢策。入門望楓林。依舊君家宅。靑眼與醇醴。略不異於昔。唯予雙鬢邊。幾箇添絲白。懷舊鼻酸辛。不覺珠淚滴。何以答君心。擧白期飮劇。
君の城南の住まいはよく 林の園がもっとも幽かで静かだ 私は昔、花の甎を踏み 君は蓬山の客であった 朝の参内が終わるとすぐに誘って来て 衣を解き、ともに足を投げ出して座った 桜桃の季節にはいつも甘酒を置き 香りと味と色が愛らしかった 濁ったものは醍醐のようで 澄んだものは玉のようだった 甘さは穆生のために設けた酒にも勝り 濃さは玄石を倒した酒をも超えた 意が合って形を忘れるに至り 笑いと戯れの言葉が入り混じった 近ごろはそれぞれ務めに追われ 消息も足跡も久しく隔たった 私は桂州の符を帯び 君はそのとき都にいた 私がちょうど任期を終えて帰ると 君は関東へ流された この園で遊んだことを思うたびに 千年も隔たったように遥かだった 今日は休みの暇を告げ 人里離れた草堂に端然と座っていたところ 君の手紙の招きを受けて 馬にまたがり、たびたび鞭を打った 門を入って楓の林を眺めれば 君の家は昔のままだ 迎える青い眼と濃い甘酒は 少しも昔と違わない ただ私の両の鬢のあたりに 白い糸が幾筋か加わっただけだ 昔を思えば鼻の奥が痛み 知らぬうちに玉のような涙が落ちる 何をもって君の心に答えよう 杯を挙げて思い切り飲むことを約そう
夾注 3
每五月。釀醴酒邀飮。
毎年五月には甘酒を醸して、招いて飲んだ。
每設淸濁二盤。
いつも清酒と濁酒の二つの膳を設けた。
環宅皆楓林
家をめぐってすべて楓の林である。