いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 後集 巻4
家の菜園の六つを詠む家圃六詠
東国李相国集(東国の李相国の文集) 後集 巻4 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。
1胡瓜
園苽不灌亦繁生。黃淡花間葉間靑。最愛蔓莖無脛走。勿論高下掛瑤甁。
庭の胡瓜は水をやらなくても盛んに育ち 淡い黄色の花の間に葉が青い 最も愛でるのは、蔓が脛もなしに伸びて 高い低いを問わず玉の瓶のような実を掛けることだ
夾注 1
右は胡瓜である。
2茄子
浪紫浮紅奈老何。看花食實莫如茄。滿畦靑卵兼赬卵。生喫烹甞種種嘉。
いたずらに紫を帯び紅を浮かべても、老いるのをどうしよう 花を見て実を食べるには茄子に及ぶものがない 畦いっぱいの青い卵に赤い卵まで 生で食べ、煮て味わい、どれもこれもよい
夾注 1
右苽
右は茄子である。
3蕪
得醬尤宜三夏食。漬塩堪備九冬支。根蟠地底差肥大。最好霜刀截似梨。
醬を得れば真夏に食べるのにいっそうよく 塩に漬ければ長い冬の備えに足る 根は地の底に蟠ってなかなか太く大きいので 霜のような刃で梨のように切るのが最もよい
夾注 1
右茄
右は蕪である。
4葱
纎手森攢戢戢多。兒童吹却當簫笳。不唯酒席堪爲佐。芼切腥羹味更嘉。
細い指のように密に集まってふさふさと多く 子どもたちが吹けば笛の代わりになる 酒席の肴になるだけでなく 生臭い羹に刻んで入れれば味がいっそうよい
夾注 1
右菁
右は葱である。
5葵
公儀拔去嫌爭利。董子休窺爲讀書。罷相閑居無事客。何妨養得葉舒舒。
公儀休は利を争うと見られるのを嫌って葵を抜き捨て 董仲舒は書を読むために庭を覗かなかった 宰相を辞して静かに暮らし、何もすることのない客が 葉がゆらゆらと伸びるまで育てて何の妨げがあろう
夾注 1
右葱
右は葵である。
6瓢
剖成瓢汲氷漿冷。完作壺盛玉醑淸。不用蓬心憂瓠落。先於差大亦宜烹。
割って柄杓にすれば氷のように冷たい水を汲み 丸ごと壺にすれば清らかなよい酒を盛る 蓬のように塞がった心で、瓢が大きいばかりだと憂える必要はない 少し太くなったところで先に煮て食べてもよい
夾注 1
右葵
右は瓢である。