いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 後集 巻6
十一月、門の前に雪が積もったのを見て作る十一月見門前雪積有作
東国李相国集(東国の李相国の文集) 後集 巻6 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。
門前雪三尺。銀嶺何嶙峋。兒寒不遑戲。誰肯輥爲輪。不杜門猶閉。尙無一箇人。倦僕且暫掃。略開線路新。袁安若不死。會有唁來賓。
門の前に雪が三尺 銀の嶺が、どうしてあれほど険(けわ)しく立つのか 子どもたちは寒くて遊ぶ暇もないので 誰が転がして車輪ほどの雪玉を作ろうとするだろう 門を閉ざさなくても、自ずから閉ざされ まだ一人も訪ねて来ない 疲れた従者がしばらく掃いて 糸筋のような新しい道を、やっと開いた 袁安がもし死んでいなかったら わたしにも見舞いに来る客があったろうに
夾注 1
輥爲輪 — 雪を転がして車輪の形を作るという意味に読む見方もある。 ― 訳者