いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 後集 巻9

晋陽公が龍脳と医者を送って眼の病を治してくれたことを感謝する謝晉陽公送龍腦及醫官理目病

東国李相国集(東国の李相国の文集) 東國李相國集 · 李奎報(イ・ギュボ) · 1241年(高麗・高宗28年)編 · 1251年に改め補う · 段落 4 · 漢字 171字 · 朗読 1.7分

東国李相国集(東国の李相国の文集) 後集 巻9 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。

1序

某値目瞳有膜。醫云非龍腦難理。此藥非人間所常得也。以是雖甚惶懼。不得已仰黷令鑑。伏蒙邸下旣賜以千金難覓之藥。又特遣名醫仇郞中來理。此實天地父母之恩也。曷勝道哉。感至揮淚。因成謝詩三首。奉呈左右云云。

私は瞳に膜が生じたのですが、医者は龍脳でなければ治しがたいと申しました。この薬は人の住む世で常に得られるものではありません。それゆえ、ひどく恐れながらも、やむなく仰ぎ見て煩わしくお伺いいたしました。

つつしんで邸下が千金でも求めがたい薬を下され、さらに特に名高い医者の仇郎中を遣わして治させてくださいましたのは、まことに天地父母の恩であります。どうして言い尽くせましょうか。感激して涙をふり落とします。そこで謝する詩三首を作り、左右に奉ります。

夾注 1

幷序

序をあわせる

2第一首

龍腦眞爲百藥王。人間處處覓難輕。一朝得受千金賜。未啓緘封眼已明。

龍脳はまことにあらゆる薬の王であって 人の住む所のどこでも容易に探し出せない ひと朝で千金の賜りものを受けたので 封を開く前からすでに目が明るくなった

3第二首

醫王纔到蓽門前。不覺衣裳倒且顚。方接一言知術妙。倉公扁鵲肯同肩。

医の王がようやく柴の門の前に着くと 思わず衣を上下さかさまに着てしまった ひと言を交わすとその術の妙を知る 倉公や扁鵲とて肩を並べられようか

4第三首

冒顔乞藥出吾情。特遣名醫意外榮。若借良方淸我眼。一生祝壽質神明。

顔を厚くして薬を乞うたのは私の情から出たことで 名高い医者まで遣わされたのは思いのほかの栄えだ よい処方を借りて私の眼が清まるなら 一生、神明に祈って長寿を得られるようお祈りしよう