いにしえの文 › 懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) › 巻15 軍門謄錄
軍門で行き交った文を写し記すにあたって軍門謄錄
懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 巻15 軍門謄錄 壬辰倭乱が終わった後、領議政の柳成龍が自らの目で見たものを記して残した記録。「過ぎたことを懲らして後の憂いを慎む」という意で名を付けた。戦争がどのように始まり、朝廷が何を見落としたかを言い逃れなく記した。李舜臣を推挙したこと、明の軍とのいざこざ、民が経た惨状がそのまま収められている。
乙未余以首相承。命兼京畿黃海平安咸鏡都體察使之任戊戌春辭遞其局亦罷凡。啓草及文移令廳吏方秀謄出名曰軍門謄錄其散落未收者又三之二余以駑劣當國事艱危職兼內外無一事裨補徒然去位辱。聖主知遇今看是錄憮然自愧因志數話於卷端使覽者知余之罪云
乙未の年、私は首相として命を承け、京畿・黃海・平安・咸鏡の都體察使の任を兼ねたが、戊戌の年の春に辞して替わると、その役所もまた廃された。およそ申し上げた文の草稿と行き交った公文を、役所の吏である方秀に写し出させ、名づけて「軍門謄錄」とした。その散り失せて収められなかったものが、また三分の二である。
私は鈍く劣った身で国事の難しく危うい時に当たり、職は内と外を兼ねたが、一つの事も助けとならず、いたずらに位を去って、聖主が知ってくださった恩を辱めた。今この記録を見ると、呆然として自ら恥じる。そこで数言を巻の初めに記して、見る者に私の罪を知らせる。