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懿德天皇
古事記(古い事柄の記録) 中下巻 日本で最も古い書物。天地が開けるところから始まり、神々の時代を経て推古天皇までの三巻。歌百五首が万葉仮名で記されており、漢字を意味ではなく音だけで用いた文章がまるごと残っている。日本書紀と同じ出来事を違えて記した箇所が多く、並べて読む値打ちが大きい。
1懿德天皇(いとくてんのう)
大倭日子鉏友命。坐輕之境岡宮。治天下也。此天皇。娶師木縣主之祖。賦登麻和訶比賣命。亦名飯日比賣命。生御子。御眞津日子訶惠志泥命。次多藝志比古命。故御眞津日子訶惠志泥命者。治天下也。次當藝志比古命者。天皇。御年肆拾伍歳。御陵在畝火山之眞名子谷上也。
大倭日子鉏友命(おおやまとひこすきとものみこと)が、輕(かる)の境岡宮(さかいおかのみや)に坐して、天下を治められました。
この天皇が、師木縣主の祖、賦登麻和訶比賣命(ふとまわかひめのみこと)、別の名は飯日比賣命(いいひひめのみこと)を娶せて生んだ御子は、御眞津日子訶惠志泥命(みまつひこかえしねのみこと)、次に多藝志比古命(たぎしひこのみこと)です。
そうして御眞津日子訶惠志泥命が天下を治められました。次の當藝志比古命は、血沼之別たちの祖です。
天皇は御年四十五歳でした。御陵は畝火山の眞名子谷(まなごたに)の上に在ります。
夾注 3
自訶下四字以音。
「訶」から下の四字は音で読みます。
二柱。
二柱です。
血沼之別。多遲麻之竹別。葦井之稻置之祖。
血沼之別(ちぬのわけ)、多遲麻之竹別(たじまのたけわけ)、葦井之稻置(あしいのいなぎ)の祖です。