いにしえの文 › 古事記(古い事柄の記録) › 中下巻
孝安天皇
古事記(古い事柄の記録) 中下巻 日本で最も古い書物。天地が開けるところから始まり、神々の時代を経て推古天皇までの三巻。歌百五首が万葉仮名で記されており、漢字を意味ではなく音だけで用いた文章がまるごと残っている。日本書紀と同じ出来事を違えて記した箇所が多く、並べて読む値打ちが大きい。
1孝安天皇(こうあんてんのう)
大倭帶日子國押人命。坐葛城室之秋津嶋宮。治天下也此天皇。娶姪忍鹿比賣命。生御子。大吉備諸進命。次大倭根子日子賦斗邇命。故大倭根子日子賦斗邇命者。治天下也。天皇。御年壹佰貳拾參歳。御陵在玉手岡上也。
大倭帶日子國押人命(おおやまとたらしひこくにおしひとのみこと)が、葛城室(かずらきのむろ)の秋津嶋宮(あきつしまのみや)に坐して、天下を治められました。
この天皇が、姪(めい)の忍鹿比賣命(おしかひめのみこと)を娶せて生んだ御子は、大吉備諸進命(おおきびのもろすすみのみこと)、次に大倭根子日子賦斗邇命(おおやまとねこひこふとにのみこと)です。
そうして大倭根子日子賦斗邇命が天下を治められました。
天皇は御年百二十三歳でした。御陵は玉手岡(たまでのおか)の上に在ります。
夾注 1
二柱。自賦下三字以音。
二柱です。「賦」から下の三字は音で読みます。