いにしえの文 › 古事記(古い事柄の記録) › 中下巻
成務天皇
古事記(古い事柄の記録) 中下巻 日本で最も古い書物。天地が開けるところから始まり、神々の時代を経て推古天皇までの三巻。歌百五首が万葉仮名で記されており、漢字を意味ではなく音だけで用いた文章がまるごと残っている。日本書紀と同じ出来事を違えて記した箇所が多く、並べて読む値打ちが大きい。
1成務天皇
若帶日子天皇。坐近淡海之志賀高穴穂宮。治天下也。此天皇。娶穂積臣等之祖。建忍山垂根之女。名弟財郎女。生御子和訶奴氣王。故建内宿禰爲大臣。定賜大國。小國之國造。亦定賜。國國之堺。及大縣。小縣之縣主也。天皇。御年。玖拾伍歳。御陵在沙紀之多他那美也。
若帯日子天皇(わかたらしひこのてんのう)は、近淡海の志賀の高穴穂宮(志賀高穴穂宮)にいらせられて、天下をお治めになりました。
この天皇は、穂積臣たちの祖である建忍山垂根(たけおしやまたりね)の娘、名は弟財郎女(おとたからのいらつめ)を妻にお迎えになり、お生まれになった御子は和訶奴気王(わかぬけのみこ)です。
建内宿禰(たけうちのすくね)を大臣とされ、大きな国と小さな国の国造をお定めになり、また国々の境と、大県・小県の県主をお定めになりました。
天皇は御年九十五歳でいらせられました。御陵は沙紀の多他那美(沙紀之多他那美)にあります。
夾注 1
一柱。
御子は一柱です。