いにしえの文 › 論語(孔子とその弟子たちの語録) › 全一巻

公冶長公冶長第五

論語(孔子とその弟子たちの語録) 論語 · 孔子とその弟子たち(門人の集録) · 戦国時代に集成(紀元前5〜3世紀) · 段落 28 · 漢字 1,039字 · 朗読 4.2分

論語(孔子とその弟子たちの語録) 全一巻 「学びて時にこれを習う、また喜ばしいことではないか」で始まる、東アジアで最も長く読まれてきた書。孔子と弟子たちの問答497章。朝鮮五百年の士の必読書であり、今も人が生きるための言葉がここから出てくる。

1公冶長に娘を嫁がせる

子謂公冶長,「可妻也;雖在縲絏之中,非其罪也。」以其子妻之。

孔子は公冶長について「婿にしてよい。縄で縛られて牢にいたが、彼の罪ではなかった」と言われ、ご自分の娘を彼に嫁がせた。

2南容に兄の娘を嫁がせる

子謂南容,「邦有道,不廢;邦無道,免於刑戮。」以其兄之子妻之。

孔子は南容について「国に道があれば用いられずに終わることはなく、国に道がなくても刑罰は免れる人だ」と言われ、兄の娘を彼に嫁がせた。

3君子だな、この人は

子謂子賤:「君子哉若人!魯無君子者,斯焉取斯?」

孔子が子賤について言われた。「君子だな、この人は。魯に君子がいなければ、この人はどこからこの徳を得ただろうか。」

4お前は瑚璉の器だ

子貢問曰:「賜也何如?」子曰:「女器也」。曰:「何器也?」曰:「瑚璉也。」

子貢が尋ねた。「私はいかがでしょうか。」孔子は「お前は器だ」と言われた。「何の器でしょうか。」と言うと、「瑚璉だ」と言われた。

5口の達者さを何に使おうか

或曰:「雍也,仁而不佞。」子曰:「焉用佞?禦人以口給,屢憎於人。不知其仁;焉用佞?」

ある人が言った。「雍は仁ではあるが、口が達者ではありません。」孔子が言われた。「口の達者さを何に使おうか。抜け目のない口で人を言いくるめれば、たびたび人に憎まれる。彼が仁であるかはわからないが、口の達者さを何に使おうか。」

6漆雕開が官を辞退する

子使漆雕開仕。對曰:「吾斯之未能信。」子說。

孔子が漆雕開を官につけようとされると、彼は答えた。「私はまだそれに自信がありません。」孔子は喜ばれた。

7いかだに乗って海に浮かべば

子曰:「道不行,乘桴浮於海,從我者,其由與?」子路聞之喜。子曰:「由也,好勇過我,無所取材。」

孔子が言われた。「道が行われないから、いかだに乗って海に浮かぼう。私に従う者は由だろう。」子路はそれを聞いて喜んだ。孔子が言われた。「由は勇を好むことでは私に勝るが、ほどを見はからうことを知らない。」

8仁であるかはわからない

孟武伯問:「子路仁乎?」子曰:「不知也。」又問,子曰:「由也,千乘之國,可使治其賦也;不知其仁也。」「求也何如?」子曰:「求也,千室之邑,百乘之家,可使爲之宰也;不知其仁也。」「赤也何如?」子曰:「赤也,束帶立於朝,可使與賓客言也;不知其仁也。」

孟武伯が尋ねた。「子路は仁でしょうか。」孔子は「わからない」と言われた。また尋ねると、言われた。「由は千乗の国で軍事を治めさせることはできるが、彼が仁であるかはわからない。」「求はいかがでしょうか。」「求は千戸の町や百乗の家で長を務めさせることはできるが、彼が仁であるかはわからない。」「赤はいかがでしょうか。」「赤は帯を締めて朝廷に立ち、賓客と応対させることはできるが、彼が仁であるかはわからない。」

9一を聞いて十を知る

子謂子貢曰:「女與回也孰愈?」對曰:「賜也何敢望回!回也聞一以知十,賜也聞一以知二。」子曰:「弗如也。吾與女,弗如也。」

孔子が子貢に「お前と回とではどちらが優れているか」と言われると、答えた。「私がどうして回を望めましょうか。回は一を聞いて十を知り、私は一を聞いて二を知るだけです。」孔子が言われた。「及ばないな。私もお前も、及ばない。」

10腐った木には彫れない

宰予晝寢。子曰:「朽木不可雕也,糞土之牆,不可杇也;於予與何誅!」子曰:「始吾於人也,聽其言而信其行;今吾於人也,聽其言而觀其行;於予與改是。」

宰予が昼寝をした。孔子が言われた。「腐った木には彫ることができず、汚れた土の壁には上塗りができない。予に何を責めようか。」また言われた。「はじめ私は人に対して、その言葉を聞いてその行いを信じた。今は人に対して、その言葉を聞いてその行いを見る。予のことでこれを改めたのだ。」

11剛い者を見たことがない

子曰:「吾未見剛者。」或對曰:「申棖。」子曰:「棖也慾!焉得剛?」

孔子が「私はまだ剛い者を見たことがない」と言われた。ある人が「申棖がおります」と言うと、言われた。「棖は欲が深い。どうして剛いことがあろうか。」

12されたくないことは人にもしない

子貢曰:「我不欲人之加諸我也,吾亦欲無加諸人。」子曰:「賜也,非爾所及也!」

子貢が言った。「人が私にしてほしくないことは、私も人にしないようにしたいと思います。」孔子が言われた。「賜よ、それはお前の及ぶところではない。」

13性と天道は聞けなかった

子貢曰:「夫子之文章,可得而聞也;夫子之言性與天道,不可得而聞也。」

子貢が言った。「先生の文章は聞くことができたが、先生が性と天道について語られるのは聞くことができなかった。」

14子路は聞いて行えていないときは

子路有聞,未之能行,唯恐有聞。

子路は教えを聞いてまだ行えていないときは、また新たに聞くことになるのを恐れた。

15文と呼ばれた理由

子貢問曰:「孔文子,何以謂之文也?」子曰:「敏而好學,不恥下問,是以謂之文也。」

子貢が尋ねた。「孔文子はなぜ文という名を贈られたのでしょうか。」孔子が言われた。「機敏でありながら学を好み、下の者に尋ねることを恥じなかった。だから文と言うのだ。」

16子産の君子らしい四つ

子謂子產:「有君子之道四焉:其行己也恭,其事上也敬,其養民也惠,其使民也義。」

孔子が子産について言われた。「君子の道を四つ備えていた。身の振る舞いは恭しく、上に仕えるときは敬い、民を養うときは恵み深く、民を使うときは義にかなっていた。」

17晏平仲の交わり

子曰:「晏平仲善與人交,久而敬之。」

孔子が言われた。「晏平仲は人と交わるのが上手だな。長くたっても敬いを保っている。」

18臧文仲の分不相応な家

子曰:「臧文仲居蔡,山節藻梲。何如其知也?」

孔子が言われた。「臧文仲は大亀を置き、柱の上に山を彫り、束柱に水草を描いた。どうして彼を知恵があると言えようか。」

19忠実だ、清らかだ — だが仁は

子張問曰:「令尹子文,三仕爲令尹,無喜色;三已之,無慍色。舊令尹之政,必以吿新令尹。何如?」子曰:「忠矣。」曰:「仁矣乎?」曰:「未知,焉得仁?」「崔子弒齊君,陳文子有馬十乘,棄而違之,至於他邦,則曰:『猶吾大夫崔子也!』違之,之一邦,則又曰:『猶吾大夫崔子也!』違之。何如?」子曰:「淸矣。」曰:「仁矣乎?」曰:「未知,焉得仁?」

子張が尋ねた。「令尹の子文は三度官につき令尹となっても喜ぶ色がなく、三度やめさせられても怒る色がなく、前の令尹の政務を必ず新しい令尹に伝えました。いかがでしょうか。」孔子は「忠実だ」と言われた。「仁でしょうか。」と言うと、「わからない。どうして仁になろうか」と言われた。「崔子が斉の君主を殺すと、陳文子は馬十乗を持っていたのに、それを捨てて去り、他の国に着くと『我が大夫の崔子と同じだ』と言って去り、また別の国に行っても『我が大夫の崔子と同じだ』と言って去りました。いかがでしょうか。」孔子は「清らかだ」と言われた。「仁でしょうか。」と言うと、「わからない。どうして仁になろうか」と言われた。

20二度で十分だ

季文子三思而後行。子聞之曰:「再,斯可矣!」

季文子は三度考えてから行った。孔子はそれを聞いて言われた。「二度で十分だ。」

21甯武子の愚かさには及べない

子曰:「甯武子,邦有道則知;邦無道則愚。其知可及也,其愚不可及也。」

孔子が言われた。「甯武子は国に道があれば知恵があり、国に道がなければ愚かであった。その知恵には及ぶことができるが、その愚かさには及ぶことができない。」

22帰ろう、帰ろう

子在陳,曰:「歸與!歸與!吾黨之小子狂簡,斐然成章,不知所以裁之。」

孔子が陳にいらしたとき言われた。「帰ろう、帰ろう。我が里の若者たちは志は大きいが事には粗く、見事に文章を成しても、それを裁ち整えることを知らない。」

23伯夷と叔齊は古い恨みを留めなかった

子曰:「伯夷、叔齊,不念舊惡,怨是用希。」

孔子が言われた。「伯夷と叔齊は古い恨みを心に留めなかったから、恨まれることもまれであった。」

24誰が微生高をまっすぐだと言うのか

子曰:「孰謂微生高直?或乞醯焉,乞諸其鄰而與之。」

孔子が言われた。「誰が微生高をまっすぐだと言うのか。ある人が酢を借りに来ると、自分の隣から借りて渡したのだ。」

25取り入るための恭しさを恥じる

子曰:「巧言、令色、足恭,左丘明恥之,丘亦恥之。匿怨而友其人,左丘明恥之,丘亦恥之。」

孔子が言われた。「巧みな言葉、飾った顔つき、度を越した恭しさを左丘明は恥じたが、私も恥じる。恨みを隠してその人と親しくすることを左丘明は恥じたが、私も恥じる。」

26それぞれの願いを言う

顏淵、季路侍。子曰:「盍各言爾志?」子路曰:「願車馬衣裘,與朋友共,敝之而無憾。」顏淵曰:「願無伐善,無施勞。」子路曰:「願聞子之志。」子曰:「老者安之,朋友信之,少者懷之。」

顏淵と季路が側に控えていたとき、孔子が「それぞれ自分の願いを言ってみないか」と言われた。子路は「車や馬や衣や毛皮の衣を友と共に使い、すり切れても心残りがないようにしたいと思います」と言い、顏淵は「よいことを誇らず、人に骨折りをかけないようにしたいと思います」と言った。子路が「先生の願いを聞きたいです」と言うと、孔子が言われた。「老いた人を安らかにし、友に信を得て、若い人を包み込むことだ。」

27自分の過ちを見て自分を責める人

子曰:「已矣乎!吾未見能見其過,而內自訟者也。」

孔子が言われた。「もうおしまいだな。私はまだ自分の過ちを見て、内に向かって自分を問いただす者を見たことがない。」

28学を好むことでは私に並ぶ者はいまい

子曰:「十室之邑,必有忠信如丘者焉,不如丘之好學也。」

孔子が言われた。「十戸の町にも、忠と信が私くらいの人は必ずいるだろう。だが私ほど学を好むことはできないだろう。」