第81章 — 顯質顯質
1信ずべき言葉は美しくない
信言不美,
信ずべき言葉は美しくなく、
注 2
實在質也。
実が質にあるのである。
信者,如其實也。不美者,朴且質也。
信ずべき言葉とは、その実のとおりの言葉である。美しくないとは、素朴で飾らないということである。
2美しい言葉は信ずるに足りない
美言不信。
美しい言葉は信ずるに足りない。
注 2
本在樸也。
本が樸にあるのである。
美言者,滋美之華辭。不信者,飾偽多空虛也。
美しい言葉とは、味を添えて飾った華やかな言葉である。信ずるに足りないとは、偽り飾って空虚なところが多いということである。
3知る者は博くない
善者不辯,辯者不善。知者不博,
善い者は言葉を飾らず、言葉を飾る者は善くない。知る者は博くなく、
注 4
極在一也。
極まるところが一にあるのである。
善者,以道修身也。不綵文也。
善い者とは、道によって身を修める人である。言葉を彩り飾らない。
辯者,謂巧言也。不善者,舌致患也。山有玉,掘其山;水有珠,濁其淵;辯口多言,亡其身。
言葉を飾る者とは、巧みな言葉を使う人を指す。善くないとは、舌が患いを招くということである。山に玉があればその山が掘られ、水に珠があればその淵が濁らされ、口を飾って言葉が多ければその身を失う。
知者,謂知道之士。不博者,守一元也。
知る者とは、道を知る士を指す。博くないとは、一つの元を守るということである。
4聖人は積まない
博者不知。聖人不積,
博い者は知らない。聖人は積まないから、
注 3
無私自有,唯善是與,任物而已。
私して自分のものとすることがなく、ただ善のみを与え、物に任せるだけである。
博者,多見聞也。不知者,失要真也。
博い者とは、見聞きしたことが多い人である。知らないとは、要となる真を失ったということである。
聖人積德不積財,有德以教愚,有財以與貧也。
聖人は徳を積んで財を積まない。徳があれば愚かな者を教え、財があれば貧しい者に与える。
5人のために為せば為すほど自分はいよいよ有る
既以為人己愈有,
人のために為せば為すほど自分はいよいよ有り、
注 2
物所尊也。
物が尊ぶところである。
既以為人施設德化,己愈有德。
人のために徳を施して教え導くから、自分にいよいよ徳が有るのである。
6人に与えれば与えるほど自分はいよいよ多い
既以與人己愈多。
人に与えれば与えるほど自分はいよいよ多い。
注 2
物所歸也。
物が帰するところである。
既以財賄布施與人,而財益多,如日月之光,無有盡時。
財を人に施し与えるのに、財はいよいよ多くなる。日や月の光のように、尽きるときがない。
7天の道は利して害さない
天之道,利而不害;
天の道は利して害さず、
注 2
動常生成之也。
動いてつねに生じ成すのである。
天生萬物,愛育之,令長大,無所傷害也。
天は万物を生み、愛して育て、大きく育たせて、傷め害するところがない。
8聖人の道は為して争わない
聖人之道,為而不爭。
聖人の道は為して争わない。
注 2
順天之利不相傷也。
天の利に順って互いに傷つけないのである。
聖人法天所施為,化成事就,不與下爭功名,故能全其聖功也。
聖人は天が施し為すところに法り、教化が成り事が就っても、下の者と功や名を争わない。だからその聖なる功を全うすることができるのである。