いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻1

江南の昔の遊び江南舊遊

東国李相国集(東国の李相国の文集) 東國李相國集 · 李奎報(イ・ギュボ) · 1241年(高麗・高宗28年)編 · 1251年に改め補う · 段落 1 · 漢字 139字 · 朗読 1.6分

東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻1 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。

結髮少年日。輕裝寄漢南。乘閑頻劇飮。遇勝輒窮探。水共魚相樂。花先蝶自貪。種荷看露嚲。愛月訴雲含。柳翫陶潛五。杯傾太白三。仙姝爭自媚。笑臉最憐𣢺。纖玉哀彈妙。流波注視媅。金釵嬌不整。羅袖弱難堪。縹帙披琴譜。紋楸鬪手談。鸎春詩思暢。鷄曉醉眠酣。久住民風熟。佳遊客意甘。江山無盡藏。聲色幾年耽。往事渾成夢。何時更理驂。湖州去何晚。杜牧得無慙。

髪を結んだ若い日に 軽い身支度で漢南に身を寄せた 暇にまかせてしばしば思うまま飲み よい所に出会えばすぐとことんまで探った 水は魚とともにたがいに楽しく 花が先に咲けば蝶がおのずから貪る 蓮を植えて露が垂れるのを眺め 月を惜しんで雲が隠すのを訴える 柳は陶潜の五本を楽しみ 杯は李太白の三斗を傾ける 仙女のような美人たちが争って媚び 笑う頬は笑窪がいちばん愛らしい 細い玉の手が悲しい調べを妙に弾き 流れる波のような眼差しを注いで興じる 金の簪はあでやかに乱れ 薄絹の袖は弱くて堪えがたい 浅葱色の帙から琴の譜を開き 木目の碁盤で手談を戦わせる 鶯の鳴く春に詩の思いがのびやかで 鶏の鳴く暁に酔った眠りが甘い 長く住めば民の風俗になじみ よい遊びに旅人の心が甘い 川と山は尽きることのない蔵であり 声と色に何年おぼれたことか 過ぎた事はすべて夢になった いつまた添え馬をつけて出かけられよう 湖州へ行くのがどうしてこんなに遅いのか 杜牧に恥ずかしくないでいられようか

夾注 1

水州一名漢南。

水州を漢南ともいう。