いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻6
八月十日、珪公がその院に書いてほしいと請うので、一首を作る八月十日。珪公請題其院。爲賦一首。
東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻6 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。
萬里高天斷鴈秋。閑尋古刹碧波頭。喧喧門外千帆集。寂寂巖陬丈室幽。滿院松篁僧富貴。一江烟月寺風流。莫言林下何曾見。擺却浮名欲退休。
万里の高い天に雁の列が絶えた秋 静かに青い波のほとりの古い寺を訪ねる 騒がしく門の外には千の帆が集まり ひそやかに巖の隅に方丈が静まっている 庭いっぱいの松と竹が僧の富貴であり ひと筋の川の霧と月が寺の風流である 林の下で何を見たのかと言わないでほしい 浮いた名を振り払って退き休もうと思う