二人の子を思う憶二兒
我有一弱女。已識呼爺孃。牽衣戱我膝。得鏡學母粧。別來今幾月。忽若在我傍。我本放浪士。落魄寓他鄕。沈醉數十日。病臥三旬强。廻首望京闕。山川欝蒼茫。今朝忽憶汝。流淚濕我裳。僕夫速秣馬。歸意日轉忙。
私には弱々しい娘が一人いて もう父母を呼ぶことを知っている 衣を引いて私の膝で戯れ 鏡を手にすれば母の化粧を真似る 別れてから今で何か月になるか ふと私のかたわらにいるような気がする 私はもとより放浪の士で 落ちぶれて他郷に身を寄せている 幾日も続けてしたたか酔い 病んで臥したのが三十日あまりになる 首をめぐらせて都の宮殿を望むと 山と川がはるかに茂り渡っている 今朝、ふとお前を思うと 涙が流れて私の裳を濡らす 馬方よ、早く馬に飼葉をやってくれ 帰りたい心が日ごとにいよいよ急く
夾注 1
二首
二首。
我有一愛子。其名曰三百。將興指李宗。來入驚姜夕。爾生骨角奇。眼爛面復晢。磊落三學士。作爾湯餠客。綴詩賀弄璋。詞韻鏘金石。願汝類其人。才名轥元白。我生少展眉。得汝長笑謔。往往向人誇。始得譽兒癖。仲夏五月天。初別長安陌。遷延客萬里。忽見霜葉赤。時節日遷代。我病日云劇。無由撫犀顱。惻惻傷胸膈。
私には愛する息子が一人いて その名を三百という やがて立って李氏の宗統を担うはずであり 生まれた夕に母を驚かせて来た お前が生まれた時、骨と額が奇しく 眼がきらめき、顔もまた白かった すぐれた三人の学士が お前の湯餅の祝いの客となった 詩を作って男子の誕生を祝い その詩の響きは金や石のように鳴り渡った 願わくは、お前はその人たちに似て 才と名が元稹と白居易を踏み越えてほしい 私は生きてきて眉を開くことが少なかったが お前を得てからはいつも笑い戯れる ときおり人に向かって自慢するので はじめて子を誉める癖がついた 真夏の五月の空に 初めて長安の街を離れた ぐずぐずとしながら万里の旅人となったが ふと霜にあたった葉が紅いのを見る 時節は日ごとに移り変わり 私の病は日ごとに重くなる 犀の角のような額を撫でる手だてもなく 悲しく悲しく胸が痛む
夾注 2
予和吳郞中三百韻詩。是日兒生。因以爲名。
私が呉郎中の三百韻の詩に和したが、この日に子が生まれたので、それを名とした。
兒生七日。吳郞中世文,鄭員外文甲,兪東閣瑞廷來訪。作詩相賀。
子が生まれて七日目に、呉世文郎中・鄭文甲員外・兪瑞廷東閣が訪ねてきて、詩を作って祝ってくれた。