趙永仁令公に奉る上趙令公永仁
某謬將爽鈍之資。早占桂仙之籍。八霜倐變。一命不霑。今伏遇恩門相國閣下掌銓部之劇權。作士倫之精鑑。實難自縮。輒欲求伸。眀鏡臺前。雖愧姸媸之易別。洪爐手下。不論利鈍以兼鎔。冀收樸樕之村。用試絃歌之任云云。
私は誤って爽やかにして鈍い資質で、早くに科挙の名簿に名を連ねましたが、八たび霜が移り変わるあいだ、官職一つ得られませんでした。いま謹んで、恩門である相国閣下が銓部の重い権を握られ、士人の群れを照らす明らかな鑑となられたのに出会いましたので、まことに自ら縮こまってはいられず、つい伸ばしていただくことを求めたいと存じます。明鏡台の前では、美醜が容易に分かたれるのが恥ずかしくはありますが、大きな炉の下では、鋭いも鈍いも問わずに共に鎔かします。願わくは、取るに足りない雑木を拾い上げ、琴と歌の任をお試しくださいますよう。
夾注 1
幷引
あわせて序を付した。
仲經扶聖漢。趙憬相皇唐。根大瓊枝盛。源深玉派長。履龜生挺質。畫鹿早占祥。筆刃千鈞重。心河萬頃汪。飛龍曾利見。威鳳歘高翔。天上文星魄。人間愛日光。判疑掀霹靂。論事振琳琅。扈聖登靑鎖。緘書拜皂囊。璧門趨閣道。璇極護文昌。鐵棟明堂固。金城敵國防。望歸裴晉國。倚重郭汾陽。大手調殷鼎。丹心補舜裳。品人同許郭。愛客似原嘗。利器金椎鑄。長材玉秤量。沈珠寧鏟彩。幽菊競披芳。無賴孤軀在。投閑十載强。妙齡初丱角。游學遠贏糧。染翰攻鉛槧。橫經對縹緗。靜關孫敬戶。坐穴管寧床。樂器堪調啞。詩篇欲補亡。登壇屠沈謝。劘壘倒班揚。科第連年捷。聲華一日彰。不曾呑墨水。聊得鍍金湯。便欲層霄擊。何思半路僵。風濤終蹭蹬。雲漢轉微茫。反蟄跳蛙井。空尋覆鹿隍。號呼逾壑底。骯髒猒門傍。有水誰霑鮒。多歧竟失羊。頗同殷咄咄。敢比孔遑遑。功寄堆文塚。窮牽送鬼檣。本雖由薄命。半亦坐佯狂。萬事經三折。虛名愧七襄。早聞明鏡照。猶及覆盆藏。果記氷鄕子。曾稱粉省堂。喜深跳欲舞。涕出拭還滂。燕谷思溫律。無鹽費靚粧。銓衡今入手。造化大專場。益復伸吭望。方期傅翼揚。沐芳新振垢。磨鈍漸生鋩。季嗣眞如玉。淸朝早綰黃。幸承靑眼眄。叨對白眉良。結髮初相識。論心誓不忘。幾熏蘭室臭。同折桂枝香。綺席嘗陪後。花堤共綴行。自呼知我鮑。狂導起予商。謬殿三千履。今移十五霜。茅菅親繢繡。瓴甋側珪璋。爲惜纍纍狀。聊廻惻惻膓。屢將金諾重。欲借衮褒煌。今日何多幸。中心竊自昂。私因誠不淺。公道亦何妨。好試淸琴撫。無嫌美錦傷。亮難堪劇郡。正合委偏鄕。最望鼇東海。還思鴈北方。窮奔何擇木。饞口不須魴。躍躍哀鳴急。懸懸仰叩忙。
仲経は聖なる漢を支え 趙憬は皇なる唐を助けた 根が大きいので玉の枝が茂り 源が深いので玉の流れが長い 亀を踏んで抜きん出た資質を授かり 鹿を描いて早くから瑞兆を占めた 筆の刃は千鈞のように重く 心の河は万頃のように広い 飛ぶ竜を早くから利あるものと見 威厳ある鳳が突然高く翔けた 天上では文星の魂であり 人の世では日を惜しむ光だ 疑いを裁くときは雷を揺り動かし 事を論ずるときは玉の音を響かせる 天子に従って青瑣門に登り 書を封じて黒い袋に拝する 璧門から閣道へ進み 北極の座で文昌星を守る 鉄の棟木で明堂は固く 金の城で敵国を防ぐ 人望は裴晋公に帰し 頼みの重さは郭汾陽のようだ 大いなる手で殷の鼎の味を調え 赤誠で舜の衣を繕う 人を品定めするのは許劭や郭泰と同じく 客を愛するのは平原君や孟嘗君に似ている 鋭い器は金の槌で鋳造し 長い材は玉の秤で量る 沈んだ珠がどうして輝きを削られよう 奥深い菊が競って香りを放つ 身の寄せどころのない孤独な体があって 暇に投げ捨てられて十年あまりになる 若い年に初めて角髪を結い 遊学のため遠くまで糧を担いだ 筆を染めて鉛と木簡に励み 経書を広げて淡黄の書に向かった 静かに孫敬の戸を閉ざし 座って管寧の床を穿った 楽器は唖のものさえ調えられ 詩篇は失われたものを補おうとした 壇に登って沈約と謝霊運を屠り 塁を削って班固と揚雄を倒した 科挙は年を続けて及第し 名声は一日で明らかになった いまだかつて墨の水を呑んだことはなく ともかくも金めっきの湯を得た そのまま幾重もの空を打とうとしたのに どうして道半ばで倒れるとは思っただろう 風と波に結局よろめき 天の川はかえって遠くかすんだ かえって井戸の蛙のように跳ねて潜み むなしく覆い隠した鹿の堀を探す 叫ぶ声は谷底にあふれ ごつごつと構えて門のかたわらを厭う 水があっても誰が鮒を潤してくれよう 分かれ道が多くて結局羊を失った かなり殷浩の舌打ちと同じだが どうして孔子のあわただしさに比べられよう 功は積み上げた文の塚に託し 窮乏は鬼を送る帆柱に引かれる もとは薄い命のせいだというが 半分はまた狂ったふりをしたせいだ 万事は三たび折れることを経て むなしい名は七たび機を織ることに恥じる 早くから明るい鏡が照らすと聞いていたので 伏せた盆に隠れたものにまで及ぶ 果たして氷の里の子を書き留めてくださり かつて粉省の堂だと称してくださった 喜びが深くて跳び上がり舞おうとし 涙が出て拭いてもまた溢れる 燕の谷で温かい律を思い 無塩の女が美しい化粧を費やす 銓衡がいま手に入ったので 造化が大いに一場を独り占めする いっそうまた喉を伸ばして望み まさに翼を付けて飛び立たせてくださるのを期す 香りに浴して新たに垢を払い 鈍いものを磨いて次第に刃先が生じる 末の御子はまことに玉のようで 清らかな朝廷で早くから黄色い印綬を結んだ 幸いに青い眼で顧みられるのを受け かたじけなくも白眉の賢者に向かい合った 髪を結ったころ初めて知り合い 心を語り合って忘れまいと誓った 幾度、蘭の部屋の香りに薫じられ 共に桂の枝の香りを折ったことか 綾の席ではかつて後ろに侍り 花の堤では共に列をなして歩いた 自ら私を知る鮑叔だと名乗り 勢いよく導いて私を奮い立たせた子夏であった 誤って三千の履の後ろに付き いま十五たび霜が移った 茅や菅に自ら刺繍を施してくださり 瓦や煉瓦を玉のかたわらに置いてくださった うらぶれた有様を惜しんでくださり しばらく痛ましく思う心を向けてくださった しばしば金のような承諾を重んじてくださり 輝かしい褒め言葉を貸そうとしてくださった 今日はなんと幸いが多いことか 心の中でひそかに自ら高ぶる 私的な縁はまことに浅くないが 公の道にもまた何の妨げがあろう 清らかな琴を撫でて試してくださるのがよい 美しい錦が傷むのを厭わないでください まことに煩わしい郡は堪えがたいので ちょうど片隅の里を任せるのがふさわしい 最も望むのは鼇のいる東海で また思うのは雁の行く北の方だ 窮して走るのにどうして木を選ぼう 食い意地の張った口は魴を求めるまでもない 跳ね躍って哀しく鳴くのが急で 心を懸けて仰ぎ叩くのがあわただしい
夾注 3
上卽祚。公與定策。
天子が即位するとき、公が策を定めることに加わった。
聞相國屢稱笏於省中。故云。
相国が省中でしばしば笏を称えたと聞いたので、こう言った。
僕與季嗣最親。且同年。
私は末の御子と最も親しく、また同じ年に及第した。