いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻11

六月一日、安和寺に遊び、尋芳門から環碧亭に登って感慨にふけり、夜は幢禅老の方丈に泊まって百四十字を書く六月一日。遊安和寺。自尋芳門登環碧亭。悵然有感。夜宿幢禪老方丈。書一百四十字。

東国李相国集(東国の李相国の文集) 東國李相國集 · 李奎報(イ・ギュボ) · 1241年(高麗・高宗28年)編 · 1251年に改め補う · 段落 1 · 漢字 140字 · 朗読 1.5分

東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻11 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。

玉欄誰更葺。芝蓋不重遊。環碧雲空鎖。尋芳草正稠。畫簷欹縟翮。苔石臥蒼虬。園鹿遊臺榭。巖僧記冕旒。廢興餘老木。今古獨寒流。往事憑誰問。幽懷只自愁。好花嬌笑靨。啼鳥送歌喉。舊代仙蹤遠。中興王氣浮。烟花愜淸賞。山水入窮搜。吊往孤亭寂。尋眞一室幽。白蓮邀靖節。黃蘗引裴休。桂魄三更晝。松風六月秋。鍾聲敲樹外。人語落巖頭。萬景吟難盡。他年入夢不。

玉の欄干を誰がまた葺き直そう 芝の蓋はもう重ねて遊びに来ない 環碧亭は雲がむなしく閉ざし 尋芳門には草がまさに茂っている 絵の軒には飾りの垂木が傾き 苔むした石には蒼い虬が臥している 園の鹿が台や榭に遊び 岩の僧が冕旒を覚えている 興りと滅びののちに老いた木が残り 昔も今も、ただ冷たい流れだけがある 過ぎた事を誰に尋ねよう 奥深い思いに、ただ自分で愁えるばかり よい花は艶やかに笑う笑窪で 鳴く鳥は歌う喉を響かせてくる 古い御代の仙の跡は遠く 中興の王気が浮かんでいる 靄の中の花は清らかな眺めにかない 山と水は尽きるまで探る心に入る 過ぎた事を弔えば孤り立つ亭は寂しく 真を尋ねれば一間の室は奥ゆかしい 白い蓮が靖節を迎え 黄檗が裴休を導く 月の光に三更も昼のようで 松の風に六月も秋のようだ 鐘の音が木々の外で鳴り 人の声が岩の上に落ちる 万の景色は吟じ尽くしがたい いつの年か、夢に入って来るだろうか

夾注 2

毅廟遊賞處。

毅宗が遊び眺めたところである。

有老僧自言。親見前朝來遊。

老いた僧がいて、前の御代に来て遊ばれたのを自分で見たと言った。