いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻19

乙酉年、大倉の泥庫の上棟文乙酉年大倉泥庫上樑文

東国李相国集(東国の李相国の文集) 東國李相國集 · 李奎報(イ・ギュボ) · 1241年(高麗・高宗28年)編 · 1251年に改め補う · 段落 8 · 漢字 438字 · 朗読 4.6分

東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻19 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。

兒郞偉。有屋曰廩。實惟穀藏之源。在天爲星。蓋是庫樓之象。於國莫大。其制宜宏。我國家宅萬世之都。受四方之貢。知一日食之爲重。峙千斯倉以爲儲。水轉而泊岸者舟尾相銜。陸輸而亘路者車輪如織。取人也薄。雖公田什一而征。均地所生。尙歲計百千以數。然率多於露積。不奈幾於慢藏。無可奈何。姑息而已。恭惟聖上陛下政先富國。高貴便時。謂自昔已來。縱有圓囷方庾。作支久之計。莫如崇搆高墉。爰命有司。俾成不日。曳一木也。塵蔽百里。隳一石也。雷鳴萬山。經之營之。壯矣麗矣。爲功若此。雖公輸督墨無以加。容穀幾何。使隷首持籌莫能算。乃涓穀旦。將擧脩梁。敢揚七偉之聲。輒貢六方之頌。

えいとう。家であって廩と呼ぶものは、まことに穀物を蔵める源であり、天にあっては星となって、おおよそ庫楼の形である。国にこれより大きなものは無いので、その造りは当然大きく広くあるべきだ。わが国は万世の都に居を定め、四方の貢ぎ物を受け、一日の食が重いことを知って、千の倉を立てて蓄えとしている。水路で運んで岸に着ける舟は艫と舳が互いに噛み合い、陸路で運んで道に連なる車は車輪が機を織るように続く。人から取るものは薄く、公田から十に一を徴するだけだが、地の産するものを均すので、一年の計は百千をもって数えられる。それなのに野積みにしておくものが多く、蔵めることを怠るのに近いので、どうしようもなく、その場しのぎで過ごしてきただけだ。

謹んで思いますに、聖上陛下は政において国を富ませることを第一とされ、高く貴いお立場が時にかなっておられて、昔から円い倉や四角い倉はあったけれども、長く持ちこたえる策とするには高い建物と高い塀を築くにまさるものはないと言われ、そこで有司に命じて幾日もかからず成し遂げさせられた。一本の木を引くにも塵が百里を覆い、一つの石を落とすにも雷が万の山に鳴った。測り、営んでみると、壮大で麗しい。工事がこのようなので、公輸が墨縄を取って監督したとしても加えるところは無く、穀物をどれほど容れられるかは、隷首に算木を持たせても数えきれない。そこで良い日を選び、まさに長い梁を上げようとするので、敢えて「えいとう」の声を揚げ、六方の頌を奉る。

夾注 1

誥院奉宣述

誥院が勅を奉じて述べた。

2東

兒郞偉拋梁東。直指蒼龍角尾中。歲講春郊親籍禮。會看腐粟積陳紅。

えいとう、梁を東へ投げよう まっすぐ蒼龍の角と尾の中を指す 年ごとに春の郊で自ら籍田の礼を行われるので 古い粟が赤く積まれて朽ちるのを見ることになろう

3西

兒郞偉拋梁西。廻首平看華岳低。已懾罽賓饌象翠。更徵身毒貢犛犀。

えいとう、梁を西へ投げよう 首を回して並べて見ると華岳が低い すでに罽賓を懾れさせて象と翡翠を供えさせ さらに身毒を召して犛と犀を貢がせよう

4南

兒郞偉拋梁南。正對嵩山王氣涵。欲識阜民歌詠洽。熏風解慍德遐覃。

えいとう、梁を南へ投げよう まっすぐ嵩山に向かい合って王の気が籠る 民を豊かにした歌が満ち足りたことを知りたいか 薫る風が怒りを解くので徳が遠くまで及ぶ

5北

兒郞偉拋梁北。威服雁門編髮狄。莫問巍峨高幾何。積金至斗何曾極。

えいとう、梁を北へ投げよう 雁門の髪を編んだ狄を威もって服させる 巍々として高さがどれほどかと問うな 積んだ金が北斗に届いてもどうして限りがあろうか

6上

兒郞偉拋梁上。蔽日韜霞高百丈。何患公田未稔豐。已將天庫侔宏壯。

えいとう、梁を上へ投げよう 日を蔽い霞を包んで高さは百丈だ 公田が豊かに実らないことを何で憂えようか すでに天の庫と宏壮さを競っている

7下

兒郞偉拋梁下。更敞門閎容萬馬。流衍何須較海陵。方苞已聽歌固雅。

えいとう、梁を下へ投げよう さらに大きな門を広く開いて万の馬を容れる 溢れ流れることをどうして海陵と較べる必要があろうか 四角く苞まれたものについて、すでに固く雅しいという歌を聞く

伏願上梁已後。神明幽贊。福祿來成。天生時地生財。三農稔豐。男餘粟女餘布。萬姓阜安。府庫充盈。邦家鞏固云云。

伏して願いますに、梁を上げた後は神明が幽かに助けて福禄が来り成り、天は時を生み地は財を生んで三つの農りが豊かに実り、男には粟が余り女には布が余って万民が豊かに安んじ、府庫が満ち溢れ、国家が鞏く固いことを。云云。