晉卿丞相に送る書送晉卿承相書
右啓。冬寒。伏想台候淸勝萬福。瞻戀瞻戀。恭惟承相閣下。以磊落奇偉命世之才。際風雲之慶會。孕育周孔。吹噓高舜。擅文章道德之美。潤色帝化。發揮廟謨。使淸風爽韻橫被四海者久矣。予以邈寄海外窅遠之邦。故猶不得早聞紫鳳紅鸞之出瑞於上朝。昧昧焉眞可笑也。近憑小國使介。略聞緖餘。大恨知之之晚。然在此幽僻之中。尙能逖聽風聲者。豈以其白玉騰精而靈暉之所燭者遠矣。靑蘭挺質而餘芳之所播者多焉者歟。猶愈於聾者之便不聞金玉之音也。瞻望瓊樹。傾渴不已。兼聞閣下迺眷小邦。遇我賤介也。溫然如春。扶護甚力。遂使之遄還。不至淹久。銘感之心。言所不盡也。今者又遣使介詣皇帝闕下。伏望閣下益復護短。特於旒冕之下。乘間伺隙。善爲之辭。使小國可矜之狀。得入聰聽。求求保安弊邑。則予雖不敏。敢不報效萬一耶。此言如飾。天日照臨。無任惶悚之至。云云。
申し上げます。冬の寒さのなか、ご尊体が清らかに健やかで、万福でおられることとつつしんで存じ、仰ぎ慕っております。
つつしんで思いますに、丞相閣下は、磊落で奇偉、世に名を成す才をもって、風雲のめでたい出会いに巡り合われました。周公と孔子を胸に育み、堯と舜を高く持ち上げられました。文章と道徳の美を一身に集められ、皇帝の教化に彩りを添え、朝廷の謀りごとを押し広げられました。清らかな風と爽やかな響きが四海を覆うようにされて、すでに久しくなります。
私は海の外の遥かに遠い国に身を寄せております。そのため、紫の鳳と紅の鸞のような瑞祥が皇帝の朝廷に現れたことを早くに聞くことができず、暗く愚かで、まことに笑うべきことです。近ごろ小国の使者に頼って、その残りだけでもおおよそ聞きましたので、知るのが遅かったことをひどく恨んでおります。けれども、この奥深く辺りの地にありながら、遠くからでも風の便りを聞くことができたのは、白玉が精気を放って霊妙な輝きの照らすところが遠く、青い蘭が本質を際立たせて残る香りの広がるところが多いからではないでしょうか。それでも、耳の聞こえぬ者が金や玉の音をまったく聞けないのよりはましです。玉の木を仰ぎ見て、慕う心は尽きません。
あわせて聞きますに、閣下は小国を顧みてくださり、私どもの賤しい使者を遇されることが春のように温かく、助け守ってくださることが大変に力強く、ついに速やかに帰らせて、長く留まらせなかったとのことです。胸に刻んで感激する心は、言葉では尽くせません。
今また使者を遣わして皇帝の宮門の下へ参らせます。伏してお願いいたします。閣下にはいよいよ私どもの短いところを庇ってくださり、とくに御冠の下で折を見て、よきようにお取り計らいください。小国の哀れな有り様が明らかな御耳に入るようにして、私どもの邑を守り安らかにしてくださいますよう。そうしてくださるなら、私は機敏ではありませんが、どうして万分の一でもお報いせずにおられましょうか。この言葉に飾りがあるならば、天の日が照らしてご覧になるでしょう。恐れ入るばかりです。