東宮の妃主に諡を奉る冊文東宮妃主諡冊文
維大歲丁酉十月朔己卯初七日乙酉。王若曰。天不畀年。愴矣英靈之奄逝。諡能成德。欲其芳跡之丕揚。咨爾敬穆賢妃金氏。千年故國之王孫。三葉功臣之侯閥。夙將婉孌。升配元良。謂成內助之功。增耀重暉之德。何遽嬰於危頓。曾不假於須臾。脫可挽牽。奈此迫忽。始來兮猶月未滿。倏往兮如花易凋。不圖至斯。何嗟及矣。噫閱世猶無幾歲。況入宮纔及數年。旣得生男之祥。尋臻誕女之慶。凡事大早。惟朕自疑。果於乃齡而有斯故。嗚呼。禮莫爲重。宜豐送往之儀。行所由生。將擧易名之典。今遣大尉具官某,大常卿具官某等。備禮冊命。贈諡曰某。汗靑筠而灑翰。代彤管之流輝。二字之稱。萬世之美。貞魂如在。懿冊是膺。嗚呼哀哉。
丁酉の年十月の朔である己卯から七日目の乙酉に、王はこう仰せられた。
天が年を与えず、すぐれた御霊がたちまち逝かれたのが悲しい。諡は徳を成すことができるので、その芳しい跡が大きく揚がることを願う。
ああ、そなた敬穆賢妃の金氏よ。千年の古い国の王孫であり、三代にわたる功臣の家柄である。早くから麗しく愛らしい身で東宮の配として上り、内助の功を成し、重ねて輝く徳をいっそう明らかにするであろうと思っていた。それがどうしてにわかに危うい病にかかり、しばしの猶予も得られなかったのか。引き留められたならよかったものを、この切迫と忽然とをどうしようか。
初めて来られたときは、まだ月も満ちぬうちであった たちまち去られたのは、花が散りやすいようである
ここまで至ろうとは思いもよらなかったので、嘆いても何に及ぼうか。ああ、世を過ごしたのもなお幾年にもならず、まして宮に入ってはわずか数年に及んだだけである。すでに男子を生む祥を得て、ついで女子を生む慶びに至った。何事も早すぎたので、私は自ら訝しんでいたが、果たしてその年でこのような事があった。
ああ、礼より重いものはないのだから、送る儀をゆたかにしよう。行いは生きてきたところから出るのだから、やがて諡を贈る典を挙げよう。いま太尉某官某、太常卿某官某らを遣わし、礼を備えて冊命し、某という諡を贈る。青竹を火にあぶって筆を走らせ、彤の管の流れる輝きに代える。二字の称えは万世の美しさである。貞らかな魂がそこに在るように、この麗しい冊を受けよ。ああ、哀しい哉。