上京で捧げる毬庭醮礼文 — 三度目の杯の青詞上京行毬庭醮禮文 三獻靑詞
天地肇分。於是有神祗之別。陰陽不測。故嘗司禍福之權。苟傾懇倒之誠。尋荷提撕之賜。咨予冲眇。職此艱難。適遭家國之搶攘。頻致羌戎之侵突。雖有金城之險勢。於心猶且慮危。迺遷天府之奧區。其計要將避患。何大敵尙窺於邇境。抑祅星屢見於上穹。是否德所招。自可甘蒙其孽。而愚民何識。忍令同被乎災。如疾在心。維憂用老思。所以善閑之術。凡莫如陰佑之私。况殊庭克祀之儀。是歷代不删之典。肆循成例。益罄精衷。肅陳潦酌之潔蠲。敬佇飈遊之臨格。冀歆微薄。僉借扶維。致令沴氣旋消。善祥荐至。羌兵自熄。若火滅以無遺。王業中興。如竹苞而益固。璣衡不忒。箕畢常調。
天と地が初めて分かれたことで、天の神と地の神の分かれがあり、陰と陽は測りがたいので、かつてから禍と福の権を司られました。まことに切に傾ける誠を尽くせば、そのまま導き諭してくださる恵みを頂きます。
ああ、私は幼く小さな身で、この難しい位を預かりました。ちょうど国が乱れた時に遭って、胡の侵しをたびたび招きました。鉄で巡らせた城の険しい地勢はありますが、心ではなお危うさを心配しました。そこで天が与えた蔵のような奥深い地に移りましたが、その策は患いを避けようとするものでした。
ところがどうして大きな敵はいまも近い境を窺い、また妖しい星はたびたび天の上に現れるのでしょう。これが至らない徳の招いたものなら、自らその災いを甘んじて受けます。しかし愚かな民が何を知りましょう。どうして共に災いを被らせられましょう。病が胸に入ったようで、憂いで老いてゆきます。
よく防ぐ術を思えば、およそひそかに佑けてくださる恵みに及ぶものはありません。まして格別な庭で祭りを捧げる儀は、代々削り取らなかった法です。そこで出来上がった例に従って、いっそう誠の内心を傾け尽くします。謹んで清く濾した粗末な酒を並べ、恭しく風に乗って遊ばれるお歩みが至ることをお待ちします。
どうか粗末なものでも召し上がり、みな支えてくださる力をお貸しください。悪しき気がすぐに消えて良い瑞が重なって至るようにし、胡の兵がおのずと絶えることが、火が燃え尽きて残るものがないようであり、王業が中ごろで再び起こることが、竹の根が茂るようにいっそう固くなり、日と月と星の運行が違わず、風と雨が常に等しくあるようにしてください。
夾注 1
維憂用老思 — 底本の句読は思を前の句に付けていたが、『詩経』小弁の「維憂用老」で切って、思を後の句の頭(思所以善閑之術)として読んだ。― 訳者