いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 後集 巻3
三月二十日、南の軒でふと吟ずる三月二十日。南軒偶吟。
東国李相国集(東国の李相国の文集) 後集 巻3 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。
南軒獨坐負朝陽。一幅紗巾五尺床。室似鳥籠如可挈。誰言宰相此隈藏。
南の軒にひとり座って朝日を背にする 一幅の紗の頭巾と五尺の寝台があるだけだ 部屋は鳥籠のようで、提げて運べそうなほど 誰が宰相がこの隅に隠れていると言えよう
換身東閣寄南軒。人靜何須更杜門。已著衲衣爲長老。夢中宰相莫重論。
東閣から身を移して南の軒に寄せた 人は静かなのに、どうしてさらに門を閉ざす必要があろう すでに衲の衣を着て長老となったのだから 夢の中の宰相のことは、重ねて言ってくれるな
夾注 1
予自號南軒長老。
わたしはみずから南軒長老と号した。