京城を収復したことを賀する堂状賀收復京城狀
1楊復光と李克用が取り戻した長安
右得河中節度使王司空牒報。四月十日。當道與雁門節度使李僕射及都監楊驃騎下諸道馬軍。齊入京城。與賊軍交戰。約殺賊步軍一萬餘人。其馬軍賊便走出城。黃巢亦未知存亡。其逃遁賊徒。尋差兵馬追奔。並已收復京闕訖者。伏以逆賊黃巢。藏姦匿暴。惡積禍盈。久於輦下偸生。固是檻中待死。楊驃騎受聖君之重寄。李僕射傳飛將之雄名。旣無慮於二心。果有成於一力。想其霜鋒電擊。月羽風驅。壓雀卵之威高。燎鴻毛之勢猛。遂使賊巢。困不能鬪。亂無所歸。雖爲漏網之鱗。已是傷弓之翼。則期加顯戮。永掃群兇。加以熊據六宮。豕豗九陌。今玆克復。免致焚燒。佇望翠華。便歸丹闕。稍豁上天之怒。實除下土之災。此皆相公靜運廟謀。遠揚戎略。旣叶一匡之妙道。北極何憂。將流萬古之美談。東封可俟。某登壇有忝。仗鉞無功。遠聽歡聲。始除慙色。限拘守鎭。陳賀末由。下情無任抃躍之至。謹錄狀上。
右のとおり、河中節度使の王司空の牒報を受け取りますに、四月十日、当道が雁門節度使の李僕射および都監の楊驃騎のもとの諸道の馬軍とともに、そろって京城に入り、賊の軍と交戦して賊の歩軍およそ一万余人を殺しましたところ、その馬軍の賊はただちに城を出て走り去り、黄巣もまだ生死がわからず、逃げ去った賊徒についてはただちに兵馬を遣わして追わせ、すでに京闕を収復し終えたとのことです。伏して思いますに、逆賊黄巣は姦を蔵し暴を匿して、悪が積もり禍いが盈ち、長く輦の下で生を偸んでいたのですから、まことに檻のなかで死を待つものです。楊驃騎は聖なる君の重い寄せごとを受け、李僕射は飛将軍の雄々しい名を伝えていますので、すでに二つの心を慮ることがなく、はたして一つの力で成すところがありました。その霜の鋒が電のように撃ち、月の羽が風のように駆けて、雀の卵を圧する威が高く、鴻の毛を燎く勢いが猛かったことを想いますと、ついに賊の黄巣を、困って鬪うことができず、乱れて帰るところもないようにさせましたので、網を漏れた鱗となったとはいえ、すでに弓に傷ついた翼ですから、顕らかな戮しを加えて、長く群れた凶を掃うことを期します。そのうえ熊が六宮に拠り、豕が九陌に豗ったのに、いまこうして克ち復されて焚き焼かれることを免れましたので、翠の華をお待ちして、ただちに丹の闕にお帰りになり、いささか上天の怒りを豁き、まことに下の土の災いを除かれるでしょう。これはみな相公が静かに廟の謀を運らし、遠く戎の略を揚げられて、すでに一たび匡す妙なる道に叶われたからで、北極は何を憂えましょう、まさに万古の美しい語り草を流されるのですから、東の封をお待ちできます。某は壇に登ったことが忝なく、鉞を仗いて功がありませんので、遠く歓びの声を聴いて、ようやく慙じる色を除きました。鎮を守ることに限られて賀を陳べる由もなく、下の情は手を打ち躍る至りに堪えません。謹んで状を録して上げます。