羊馬城を築いて土地の神に祭る文築羊馬城祭土地文
1板築のやかましさを辞さず、金湯の固さを成してください
年月日。具銜某以兵戎未息。禦備是勤。乃命修築羊馬城。遂遣某官某乙告于土地之神曰。夫城郭之設。邑居所憑。陋之則狡者或窺。美之則寡能固守。況今豺聲競發。虺毒遍吹。易動難安。何處能爲樂境。暫勞永泰。此時須建良功。遂乃揣高卑議遠近。便令百堵皆作。終可三旬而成。徵名於伏櫪觸楹。接勢於長雲斷岸。不假龜行之跡。豈須龍見之期。衆旣叶心。事無費力。神其德惟博載。道實流謙。勿辭板築之喧。勉致金湯之固。使雲鍬雷杵。遠振歡聲。烏堞隼墉。高標壯觀。北呑淮月。南吸江煙。平欺鐵甕之名。迥壓金甌之記。有備無患。神其聽之。
某年某月某日、官職を具えた某は、兵と戎がまだ息まず、防ぎ備えることに勤めているので、羊馬城を修め築くよう命じ、そこで某官某乙を遣わして土地の神に告げます。そもそも城郭を設けるのは、邑に住む者が頼るところです。粗末であれば狡い者がうかがうことがあり、立派であっても固く守りうる者は少ないものです。まして、いま豺の声が競って起こり、虺の毒があまねく吹いて、動きやすく安んじにくいのですから、どこが楽しい境となりえましょう。しばらく労して永く泰らかであろうとするなら、この時にこそ良い功を建てなければなりません。そこで高い低いを揣り、遠い近いを議して、ただちに百の堵をみな作らせます。三十日あれば成すことができるでしょう。名は櫪に伏し楹に触れるところから徴り、勢いは長い雲と断たれた岸に接ぎます。亀の行く跡を借りることもなく、どうして竜の見れる期を待つ必要がありましょう。人々はすでに心を合わせているので、事に力は費えません。神は、その徳がただ博く載せ、道がまことに謙に流れるものです。板築のやかましさを辞さないでください。努めて金と湯のような固さを致し、雲のような鍬と雷のような杵が遠く歓びの声を振るい、烏い堞と隼のような墉が壮んな観を高く標して、北は淮の月を呑み、南は江の煙を吸い、鉄甕の名を平らかに欺き、金甌の記を遥かに圧するようにしてください。備えがあれば患いはありません。神よ、これを聴いてください。
夾注 1
「烏」を「黒い」、「隼」を「隼のように高くそびえる」と見て訳した。二字を鳥の名と読む道もある。 ― 訳者