いにしえの文 › 懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) › 巻3 芹曝集

塩と鉄の路を開いて国の用いるものを足らせることを請う啓請開鹽鐵之路以足國用。啓

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 懲毖錄 · 柳成龍(リュ・ソンリョン) · 1633年刊行(壬辰倭乱の後に著す) · 段落 1 · 漢字 526字 · 朗読 4.7分

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 巻3 芹曝集 壬辰倭乱が終わった後、領議政の柳成龍が自らの目で見たものを記して残した記録。「過ぎたことを懲らして後の憂いを慎む」という意で名を付けた。戦争がどのように始まり、朝廷が何を見落としたかを言い逃れなく記した。李舜臣を推挙したこと、明の軍とのいざこざ、民が経た惨状がそのまま収められている。

兵興三載財穀殫盡生財之道不可不極力措置前者設立鹽鐵使使管鹽鐵之利苟能善爲區畫則不擾一民而利益必多議者但以近來檢察使等官多以無賴之人稱爲煮鹽官列邑苦之遂幷與鹽鐵使而廢之誠可恨也夫人不能一日無鹽其切於生人之需與五穀相等而出於海水者無有竆極昔齊桓公問爲國於管仲而仲以鹽筴對其後自漢唐宋以及。皇朝無不以此爲理財足食之源特我國之人狃於尋常不知要領而泛規爲等閒無益之事乍興乍廢有同戱劇實爲未便今則以鹽鐵之任歸於度支此則果爲得體蓋戶曹盡管財利之政如善爲之不必別出一使也但爲之亦當得其要領蓋沿海處處本有鹽戶可以興煮無竆第綠徭役煩重苛政相侵故鹽戶日漸流散鹽戶流散故鹽盆數少而鹽貴如金公私交病今盡除許多紛紜張設之事惟减其鹽戶之役使之安集而逐日所煮與之相約以幾石爲公鹽其餘使之自食一年公鹽其數不可勝紀於是戶曹通計各處見在之數從時直許民和賣又以舟船連次輸運散布於山谷稀鹽之處隨時平價務在便民則穀物流行公私兩便生財之道無過於此竊見中原遼東志載鹽盆幾處鹽軍幾名今亦只知某邑鹽戶幾何鹽盆多少而已其事豈不簡省而易行哉至於鐵則亦儘有可行之方雖不必一時幷擧而近日中江開市唐人多求水鐵故以此貿穀其利亦多此亦在有司詳參利害如鹽戶安集之規使鐵物興產則似亦有通行之路右兩條命戶曹堂上一員專管責成如何

兵を起こして三年、財も穀も尽きましたので、財を生み出す路を力を尽くして備えないわけにはいきません。さきに塩鉄使を立てて塩と鉄の利を掌らせましたので、まことによく分けて量れるなら、民一人も乱さずとも利はかならず多いでしょう。ところが議する者たちが、ただ近ごろ検察使などの官員に無頼の人が多く、塩を焼く官と称して諸々の邑が苦しんでいるとして、ついに塩鉄使まであわせて無くしてしまいましたので、まことに恨めしいことです。

およそ人は一日も塩なしには生きられません。生きている人の用いるものとして切なことは五穀と並ぶのに、海の水から出るものですから尽きることがありません。昔、斉の桓公が管仲に国を治める法を問うと、管仲は塩の計で答え、その後、漢・唐・宋から皇朝に至るまで、これを財を治め食を足らせる源としなかった国はありません。ただわが国の人は常のことに慣れて要領を知らず、なおざりに閑かで無駄な事と見て、しばらく起こしてはしばらく廃することを遊びのようにしますので、まことに当たっておりません。

いま塩と鉄の任を度支に帰しましたので、これは果たして体を得ております。おおよそ戸曹が財と利の政をみな掌っておりますので、よく行えるなら別に使い一人を出す必要はありません。ただ行うにしても、まさにその要領を得るべきです。

おおよそ海の辺の所々にもともと塩戸があって、限りなく焼き出せます。ただ役が煩わしく重く、苛い政が互いに侵すために塩戸は日ごとに散り、塩戸が散るので塩の釜の数が少なく、塩が金のように貴くて、国も民もともに病みました。いま煩わしく列べたさまざまの事をみな無くし、ただ塩戸の役を減らして安らかに集まり住まわせ、日ごとに焼くものをあらかじめ約して、何石は公塩とし、その残りは塩戸が自分の分として食べるようにすれば、一年の公塩の数は記し尽くせないでしょう。

そこで戸曹が所々にある数をひととおり量って、時の相場に従って民が売り買いすることを許し、また船で続けて運んで、山の谷の塩の貴い所に散らし放ち、時に従って値を平らかにして民を安らかにすることに力を尽くすなら、穀が回って国も民もともに安らかになるでしょう。財を生む路として、これに勝るものはありません。

ひそかに見ますに、中原の『遼東志』には塩の釜が幾か所、塩を焼く兵が幾名と載っております。いまもまた、どの邑に塩戸がどれほど、塩の釜がどれほどかを知れば足りるだけですから、その事がどうして簡略で行いやすくないことがありましょう。

鉄についても、行える方はいくらでもあります。一度にあわせて挙げる必要はありませんが、近ごろ中江に市を開くと中国の人が鋳物の鉄を多く求めますので、これで穀を換えれば、その利もまた多いのです。これもまた有司が利害を詳しく量り、塩戸を安らかに集める法のとおりに鉄の物を多く生ませるなら、これもまた通る路があるようです。

右の二つの条は、戸曹堂上一人に命じて専ら掌って成させられてはいかがでしょうか。