軍の糧を備える方を条ごとに列べて申し上げる啓條列措置粮餉。啓
粮餉竭乏最爲今日切迫之患此若不爲措置則他無可爲之䇿今內則經費浩多而太倉所儲不足以支數月之用外則官儲罄盡私蓄亦無許多。天兵支供我國諸軍調度之事皆無辦出之地盡有潰散之憂其爲憫迫莫此爲甚然其措置粮糓不過數條一曰作米二曰收稅三曰募粟四曰貿粟此四條若料理得宜著實行之則庶有繼粟之路謹以應行事宜條列于後
軍の糧が尽きて足らないことが、今日もっとも切り迫った憂えです。これを備えられなければ、他に行える計がありません。いま内では用いるものがはなはだ多いのに太倉に積まれたものが二つ三つの月を用いるにも足らず、外では官の家に積まれたものがことごとく空で、私に積んだものも多くありません。明の兵に送り与えるものと、わが国の諸々の軍に回して用いるものを、みな備え出す所がなくて、すべてが崩れ散る憂えがありますので、困り急なことがこれより甚だしいものはありません。
しかし軍の糧を備える道は、二つ三つの条に過ぎません。一つは米で収めること、二つは税を収めること、三つは穀を集めること、四つは穀を買い入れることです。この四つの条を適うように量って実のあるように行えば、穀をつないで送る道があるでしょう。伏して、まさに行うべき事を後に条ごとに列べて記します。
一京城上番軍士騎步兵戶奉足定別甲戶奉足通融均鋪皆令納米每一人納大小米中五斗各司奴婢諸員匠人樂生樂工奉足皆納米五斗則其數將至於十餘萬石矣但忠淸京畿黃海江原道軍士則時方上番于京師若遽罷上番而令納米其官則中間處置未及之前無守衛之軍今年則姑爲先試於全羅道從其見在軍數輕便捧納各置于其官或以漕船輸運於京師或補南方軍粮事爲事目施行
一つ。都に番を上がって来る兵と、騎兵・歩兵の戸と奉足、別甲戸と奉足をひととおり平らかに展べて、みな米を納めさせ、一人ごとに米と小さな米のうち五斗を納めさせ、各々の官司の奴婢と諸々の員、工匠、楽生と楽工の奉足にも、みな米五斗を納めさせれば、その数はまさに十余万石に至るでしょう。ただ忠清・京畿・黄海・江原道の兵はいま都に番を上がっておりますので、不意に番を罷めてその邑に米を納めさせれば、中ほどで措置が及ぶ前に守る兵がなくなります。今年はまず全羅道で先に試して、いまある兵の数に従って軽く便に収め、それぞれその邑に置いて、あるいは漕運の船で都に運び、あるいは南の方の軍の糧に足す事を事目として施し行うこと。
一京中常時所用各處散料一月二千七百餘石別例經費不在此數戶曹先計一年十二月用度若一月該用三千石則一年共三萬六千石此外如。天兵往來支給之數亦必有一二萬石然後可以擬用今年田稅元數總會計除經費及別例上下之數其餘盡數別儲專擬軍餉勿得他用以待軍興然如慶尙道則常時納稅每於明年四月納于可興倉今年則旣不爲上納當於秋冬穀賤之時卽爲捧納于各其官以爲軍餉事
一つ。都でいつも用いる所々の散料が一月に二千七百余石であり、別例の用いるものはこの数に入りません。戸曹がまず一年十二か月に用いるものを量って、一月に三千石を用いるなら一年であわせて三万六千石であり、この他に明の兵が行き来するときに送り与える数も、かならず一、二万石はあってこそ用いるものを量れます。今年の田税の元の数をひととおり会計して、用いるものと別例で上がり下がりする数を減らし、その残りは余さず別に積んで、専ら軍の糧として押さえておき、他に用いずに兵を起こす時を待つこと。しかし慶尚道のような所は、いつも税を納めるとき翌年の四月に可興倉に納めていたのに、今年はすでに上し納めておりませんので、まさに秋と冬の穀が多い時に、すぐにそれぞれその邑に収めて軍の糧とすること。
夾注 1
散料 — 所々に散らして与える料米、すなわち給料として与える米である。― 訳者
一募粟事民間不無願納之人特以定數太多中人之產不能辦納又恐國家失信皆深藏不出以其如此而抑勒括出則民怨騰起所得不多近日募粟之弊徒爲病民而無益於事者職此故也令戶曹更爲勘定石數使之輕便易納又隨其所納多少登時行賞無使如前失信於民使民樂從事
一つ。穀を集める事は、民のあいだに納めることを願う人がないわけではありませんが、ただ定めた数があまりに多くて、中ほどの暮らしでは備えて納められず、また国が信を失うことを恐れて、みな深く隠して出しません。それなのに無理に抑えて掻き出せば、民の怨みが沸き立って、得るものは多くありません。近ごろ穀を集める弊が、ひたすら民を病ませるだけで事に助けにならないのは、まさにこのためです。戸曹にあらためて石の数を量り定めさせて、軽く便に納めやすいようにし、また納めたところの多少に従って時に合わせて賞を与え、前のように民に信を失わず、民が喜んで従うようにすること。
一貿粟所得終是不優不足以補一隅之用似爲無益然義州中江方爲開市遼東之糓頗有轉輸之路量發銀兩乘秋來糓賤時多數貿得積置州倉事
一つ。穀を買い入れることは、得るところがついに優かでなく、一隅の用いるものを満たすにも足りませんので、甲斐がないようです。しかし義州の中江にまさに市を開きますので、遼東の穀を運んで来る路がかなりあります。銀を量って出し、秋になって穀が多い時に乗じて多く買い入れ、邑の倉に積んでおくこと。
已上諸條令兵曹及戶曹詳定節目急速擧行使有實效何加
右の諸々の条を兵曹と戸曹に節目を詳しく定めさせ、急ぎ行って実のある甲斐があるようにされてはいかがでしょうか。
夾注 1
底本は何加であるが、何如の誤りと見る。