いにしえの文 › 懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) › 巻5 芹曝集
慶尚道で守る事を言い授けることを申し上げる啓慶尙道把守事宜指授。啓
懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 巻5 芹曝集 壬辰倭乱が終わった後、領議政の柳成龍が自らの目で見たものを記して残した記録。「過ぎたことを懲らして後の憂いを慎む」という意で名を付けた。戦争がどのように始まり、朝廷が何を見落としたかを言い逃れなく記した。李舜臣を推挙したこと、明の軍とのいざこざ、民が経た惨状がそのまま収められている。
都元帥從事官崔尙重巡邊使從事官邊以中今將下去凡所指授之事別爲開錄以送何如
都元帥の従事官の崔尚重と巡辺使の従事官の辺以中が今下って行きますので、およそ言い授ける事を別に書き記して送るのはいかがでしょうか。
天兵分駐慶州大丘三嘉以防三路之賊今慶州三嘉二處兵已撤而只有劉總兵大丘之軍亦將不久幷撒其勢極爲危急昨見劉總兵送金命元箚付令我軍代守三處營壘其欲撤回可知三嘉則旣有山城及唐將所駐營柳擇其形勢可守處當使宜寧留駐諸將守之八莒則都元師率防禦使金應瑞駐箚慶州則高彥伯權應銖洪季男鄭希玄朴毅長金太虛等守之三處連絡形勢招集精勇之軍悉詣陣中且措置粮餉接濟無乏以爲必守之計若賊勢有所指向則都元帥隨其急處䇿應事
明の軍が慶州・大丘・三嘉に分かれて留まり、三つの路の敵を防いでいました。今、慶州と三嘉の二か所の軍はすでに退き、ただ劉総兵の大丘の軍があるばかりですが、これもほどなく併せて退きますので、その形勢は極めて危急です。昨日、劉総兵が金命元に送った箚付を見ますと、我が軍に三か所の営壘を代わって守らせよとありましたので、退き帰ろうとする意が分かります。
三嘉はすでに山城と明の将が留まっていた営がありますので、その形勢の守るに足る所を選び、宜寧に留まる諸将に守らせるべきです。大丘は都元帥が防御使の金応瑞を率いて留まり、慶州は高彦伯・権応銖・洪季男・鄭希玄・朴毅長・金太虚らに守らせます。三か所が形勢を互いに連ね、精鋭で勇ましい軍を招き集めてことごとく陣中に至らせ、また軍糧を措置して継ぎ足すことを欠かさず、必ず守る計策とします。もし敵の形勢に向かう所があれば、都元帥がその急な所に従って策を以て応ずる事です。