いにしえの文 › 懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) › 巻5 芹曝集

忠清監司の書状により兵を選び農を勧めつつ民心を騒がせないことを論じ申し上げる啓因忠淸監司狀。啓論抄軍勸農勿使民心騷擾。啓

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 懲毖錄 · 柳成龍(リュ・ソンリョン) · 1633年刊行(壬辰倭乱の後に著す) · 段落 1 · 漢字 189字 · 朗読 1.7分

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 巻5 芹曝集 壬辰倭乱が終わった後、領議政の柳成龍が自らの目で見たものを記して残した記録。「過ぎたことを懲らして後の憂いを慎む」という意で名を付けた。戦争がどのように始まり、朝廷が何を見落としたかを言い逃れなく記した。李舜臣を推挙したこと、明の軍とのいざこざ、民が経た惨状がそのまま収められている。

忠淸監司書狀據司。啓目帖連。啓下云云凡事不論難易皆當以措置得宜順便民情不至騷動而能致集事爲貴若使民心驚擾互爲逃避則雖盡發民下爲兵而何補於實用哉况今百役叢集民困已甚雖有不得已調發之擧所當多般區處先聚控弦可用之士不務其多惟取其精而老弱疲民之不堪戰鬪者趁此農耕之月無失農業然後方可爲戰守良圖若囚繫太多怨號徹天則事未集而邦本先搖殊非要遣巡邊之意更察事目本意緩急適中施行事巡邊使李鎰處。下諭何如

忠清監司の書状により、備辺司が啓目を具え、その書状を添えて上げましたところ、そのままお下しになりました。

おおよそ事は難しさ易しさを選ばず、みな措置が宜しさを得て民情に順い便宜で、騒動に至らずして事を成すのを貴ぶべきです。もし民心が驚き乱れて互いに逃げ避けるなら、民をことごとく出して兵としたとしても、実際の用に何の助けになりましょうか。

まして今は百般の役が寄り集まって民の困しみがすでに甚しいのです。たとえやむを得ず兵を選び出す事があっても、当然いろいろに慮って処すべきです。まず弓を引いて用いるに足る兵を集めるにしても、多さに努めず、ただ精鋭な者だけを取り、老い弱り疲れて戦いに堪えない民は、この農耕の月に乗じて農業を失わせないようにして後、はじめて戦い守る良い図となるでしょう。もし捕らえ繋ぐことが多すぎて怨む声が天に届けば、事の成る前に国の本が先に揺らぎますから、巡辺使を遣わした意ではまったくありません。

事目の本意を改めて察し、緩急が適度になるよう施行する事を巡辺使の李鎰に書で下されるのはいかがでしょうか。