学田と寺の位田、海沢田の税を収めて軍糧に補い、また火車を多く造って戦いに備えることを請うた状啓請收學田寺位海澤田稅以補軍餉且多造火車以備戰用狀
臣觀今日之勢一向危迫所恃者惟唐兵而唐兵之來又無期限看其唐將處置未必不出於講解之計狡猾倭奴非可以約誓戢其凶鋒且天時已寒士卒暴露凍餒銳氣先衰萬一賊聚類西下事極寒心。朝廷請兵之後及沈遊擊渡江後未知消息如何日夜憂慮糧餉則前日所備粗可以支給萬兵若三四萬出來則亦不可以此繼餉似當別樣措置更備二三萬兵之食然後可無匱乏之憂而郡邑倉庫一樣蕩竭無計推移道內學田書院諸寺位田及諸宮折受海澤田等今年姑令各官推尋收入可得數千餘石可補一隅之用亦令該司急速商量施行且兵家之要莫先於精利器械我國惟恃弓矢數百步之外不能禦鐵丸數步之內不能敵短兵以故動輒敗北其勢然也近日唐將往來時亦言我軍全無器械爲之恠歎云其實我國非無器械持有之而不用耳臣竊觀火車之制極爲便利誠制勝之妙器而安州所在只二十兩寧邊則但二兩而古制頗不適宜臣略加增損修繕運轉甚易每車戰勝字銃筩十五箇試令合放則亂丸如雨聲振山野所當之處人不得立若加造百餘兩四面排陣間以射手徐行直進則賊兵雖多似難來犯此意臣已通於都元帥巡察使其意亦欲用之故臣時方聚會匠人修造而但車數不足聞義州所儲火車其數最多急時收出一依新樣造作勝字銃筩如不足則以宙吳字皮翎箭相問編之亦可用也臣聞有蘇忠漢者頗解此術而時在義州又火炮匠金繼守等以京破陣軍亦在義州云急速發送軍前以備戰用允爲便益臣職事之外不當瀆陳而事係悶迫敢此妄發惶恐無地
臣が今日の形勢を見ますと、いよいよ危うく迫っております。頼るものはただ明の軍だけですのに、明の軍が来ることにはまた期限がありません。明の将の処し方を見ますと、おそらく和解を図るところから出たように思われます。狡い倭奴は、約束や誓いでその凶い鋒を収められる者たちではありません。
その上、日がすでに寒く、軍士たちが露のもとで凍え飢えて、鋭い気がまず衰えました。もし敵が輩を集めて西へ下れば、事はひどく寒心すべきことです。朝廷が兵を請うた後と、沈遊撃が江を渡った後の消息がどうであるかを知ることができず、昼夜憂慮しております。
軍糧は先日備えたもので、大方、万名の軍へ給するに足ります。もし三、四万が出て来れば、これでは軍糧を継ぎ給せません。別に処して改めて二、三万の軍の食を備えて後に、乏しくなる憂いがなくなるでしょう。ところが邑の倉は一様に空ろで、融通して用いる路がありません。
道中の学田と書院、諸寺の位田、そして諸宮家が割き受けた海沢田などを、本年はまず各邑に探し出して収め入れさせれば、数千余石を得て一隅の用に補うことができます。これもまた掌る官衙に命じて急ぎ量って施行させてください。
また兵事の要は、器械を精しく鋭くすることより先立つものはありません。我が国はただ弓と矢だけを頼ります。数百歩の外では鉄丸を防げず、数歩の内では短い兵器に当たりきれません。ですから動けばすぐ崩れますが、その形勢がそうなのです。近ごろ明の将が往き来する時にも、我が軍にはまったく器械がないと申して怪しみ嘆いたそうです。実のところ我が国に器械がないのではなく、持っていながら用いないだけです。
臣がひそかに火車の制を見ますと、非常に便宜で利があり、まことに勝ちを制する妙な器です。ところが安州に在るものは二十両だけ、寧辺には二両だけで、古い制はなかなか宜しくありませんでした。臣が少し加え減らして修め繕いますと、転がし運ぶのが非常に易しくなりました。車ごとに勝字銃筒十五個を載せ、試みに一度に放たせますと、乱れた丸が雨のようで、音が山と野を振わせ、当たる所には人が立っていられません。
もし百両余りを加え造って四面に陣を並べ、その間に射手を置いてゆるゆるとまっすぐ進めば、敵兵がたとえ多くとも来て犯しがたいように思われます。この意を臣はすでに都元帥と巡察使に通じましたが、その意もまた用いようというものです。ですから臣は今、匠人を集めて修め造っておりますが、ただ車の数が足りません。
聞きますに、義州に蓄えた火車はその数が最も多いと申します。急ぎ収め出して、一様に新しい様どおりに造らせてください。勝字銃筒が足りなければ、宇字・宙字の銃筒に皮の羽の箭を互いに間に挟んで編んでも用いるに足ります。
臣が聞きますに、蘇忠漢という者がこの術をなかなか解していて、今、義州に在ると申します。また火砲匠の金継守らが都の破陣軍として、やはり義州に在ると申します。急ぎ軍の前へ遣わして戦いに用いさせられれば、まことに便宜で利があるでしょう。
臣の職事の外ですから、当然、煩わしく申し上げるべきことではありませんが、事が悩ましく迫ることにかかっておりますので、あえてこのように妄りに申し上げます。恐れ入るばかりです。
夾注 1
壬辰九月十四日
壬辰の年九月十四日。