明の糧を急いで運んで来ることを請う請急運唐糧狀
天兵入京畿界今已十五日糧料接濟百計無䇿前後船運後西江者五千餘石以黃海道金郊站所儲米豆二千餘石更取於海州延安牛峯兎山等邑添補而猶未能足在東坡者米豆幷四千餘石今方更爲流下後西江以爲添補之計提督初欲於今日進兵不意天雨連日道路泥濘馬腹皆沒勢難進兵連留若此而日氣猶未快晴此後遲速亦難預料加以開城府人民渙散尙未還集凡事不成頭緒三道體察使俞泓因。天將發牌來到聞持平柳夢寅所言已遞體察之任卽發向江華臣本以愚昧且初非所管地方凡運糧調軍等事茫不知首水末而倉卒當此罔知攸措雖文移於全羅忠清監司督南方之糓而遠水不救近火何能及時調度且京畿以及江原之界兵火之餘數百里內無復人煙軍民無不飢困負戴運糧者相繼道死而平安節度使李薲之軍時在坡州絕糧已久死者甚多更無推移接濟之路尤爲痛憫京城倭賊體探之人皆言尙無出去之狀昨日谷山郡守馳報內安邊賊將奉。二王子向入德源云賊謀兇譎難測得無堅守窟穴以待後兵乎事事可慮。朝廷各別講求善䇿唐糧輸到之事星火措置而北道防備等事亦十分申勅待變以防意外之患
明の軍が京畿の境に入ってから、今すでに十五日になります。糧を供給するのに百計を尽くしても策がありません。前後して後西江へ船で運んだものが五千余石、黄海道の金郊站に積んであった米と豆二千余石に、海州・延安・牛峯・兎山などの邑から改めて取って補いましたが、それでもなお足りません。東坡にある米と豆あわせて四千余石は、今まさに改めて後西江へ流し下して補う計りでおります。
提督は初め今日兵を進めようとしましたが、思いがけず雨が幾日も降って道が泥濘となり、馬の腹までみな没しますので、形勢として兵を進めるのは難しいのです。このように続けて留まっておりますが、空はまだ快く晴れませんので、この後の遅速もまた前もって計りがたいのです。加えて開城府の民が散り乱れてまだ帰り集まらず、万事が糸口をなしません。
三道体察使兪泓は、明の将が牌文を出したゆえに来ましたが、持平柳夢寅の言ったことを聞き、すでに体察の任を代えられて、ただちに江華へ発ちました。臣はもとより愚かで暗いうえ、初めから管する地方でもなく、糧を運び兵を調える類の事には頭も末も茫として知らぬまま、にわかにこれに当たって為す術を知りません。全羅・忠清の監司へ公文を送って南の穀を督促してはおりますが、遠い水は近い火を救いませんから、どうして時に間に合って調達できましょうか。
また京畿から江原の境に至るまで、兵火を経た後で数百里のうちに人家の煙がもうありません。兵も民も飢え苦しまぬ者がなく、背負い頭に載せて糧を運んでいた者が続いて路に死にます。平安節度使李薲の軍は坡州にありますが、糧が絶えてすでに久しく、死んだ者がはなはだ多く、改めて融通して供給する路もありませんので、いっそう痛ましく悩ましく存じます。
京城の倭賊を偵察に行った人は、みなまだ出て行く気配がないと申します。昨日、谷山郡守の早馬の報せに、安辺の敵将が二人の王子を奉じて徳源へ入ったとございます。敵の謀は凶く狡くて計りがたいものですから、巣窟を固く守って後に続く兵を待っているのではありませんか。事ごとに気がかりでありますから、朝廷では格別によい策を講じ求めてください。明の糧を運び着ける事を星火のごとく急いで処置され、北道を守り備える事もまた十分に申し渡し、変に備えて思いがけぬ患いを防いでください。
夾注 1
二月九日
二月九日。