いにしえの文 › 懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) › 巻11 辰巳錄

経略へ速やかに懇ろに請って兵を進めることを図られるよう請う状啓請速懇請於經略以圖進兵狀

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 懲毖錄 · 柳成龍(リュ・ソンリョン) · 1633年刊行(壬辰倭乱の後に著す) · 段落 1 · 漢字 140字 · 朗読 1.3分

懲毖録(過ちを懲らし後の憂いを慎む記録) 巻11 辰巳錄 壬辰倭乱が終わった後、領議政の柳成龍が自らの目で見たものを記して残した記録。「過ぎたことを懲らして後の憂いを慎む」という意で名を付けた。戦争がどのように始まり、朝廷が何を見落としたかを言い逃れなく記した。李舜臣を推挙したこと、明の軍とのいざこざ、民が経た惨状がそのまま収められている。

臣將兵部牌文謄書上送提督今此擧措每以爲非其本意出於經略指揮勢難自由以此爲辭今雖懇請於提督而勢無所益臣前日呈文云將在軍君令有所不受苟有可乘之機豈能千里請戰提督不答其意可知大槪主張之權在於經略故得以此爲言且牌文內有候本部議處之語似有可議之端。朝廷急速懇請於經略有萬分可望痛迫之中更爲陳達

臣は兵部の牌文を写し書いて上げ送ります。提督は今回の振る舞いを、常に自分の本意ではなく経略の指揮から出たもので、形勢として自分の思うままにしがたいと申して、これを口実とします。こうでありますから、今たとえ提督へ懇ろに請うても、形勢に益がありません。

臣が先日書を上げて、「将が軍中にあれば、君の命であっても受けないところがあります。まことに乗ずべき機があるのなら、どうして千里の外へ戦うことを請いましょうか」と申しましたのに、提督は答えませんでしたので、その意は察するに足ります。

おおよそ主張する権が経略にありますので、これを言い種とするのです。また牌文の中に「本部が議して処するのを待て」という語がありますから、議すべき糸口があるように思われます。朝廷において急ぎ経略へ懇ろに請われれば、万に一つでも望めます。痛ましく差し迫った中で、改めて申し上げます。

夾注 1

四月十九日

四月十九日。