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庫莫奚
周書 異域伝(周書に記された異域の記録) 全一巻 北周が見た隣人たち。高麗の十三の官職と骨蘇の冠、百済の於羅瑕・鞬吉支と十六の品階が詳しく、蛮・獠・宕昌羌・稽胡など中国の内外のさまざまな族の話が続く。版本を比べた校勘記66条を夾注として併せて訳した。
1庫莫奚
庫莫奚,鮮卑之別種也。其先為慕容晃所破,竄於松漠之間。後種類漸多,分為五部:一曰辱紇主,二曰莫賀弗,三曰契箇,四曰木昆,五曰室得。每部置俟〔斤〕一人。有阿會氏者,最為豪帥,五部皆受其節度。役屬於突厥,而數與契丹相攻。虜獲財畜,因而行賞。死者則以葦薄裹尸,懸之樹上。大統五年,遣使獻其方物。
庫莫奚は鮮卑の別種である。その先祖が慕容晃に破られて、松漠のあたりに逃げ隠れた。のちに種族がしだいに多くなって五つの部に分かれ、一つを辱紇主、二つを莫賀弗、三つを契箇、四つを木昆、五つを室得という。部ごとに俟斤を一人置く。阿会氏という者がいて、最も有力な首長で、五つの部はみなその指図を受ける。突厥に使役されて属し、しばしば契丹と互いに攻めあった。捕らえ獲た財物や家畜によって賞を与える。死んだ者は葦の簾で屍を包み、木の上に懸ける。大統五年、使いを遣わして土地の産物を献じた。
夾注 2
(斥)
もとの版本の字は「斥」である。
每部置俟(斥)〔斤〕一人張森楷云:「各傳並作『俟斤』,疑『斥』字誤。」按通典卷二00厙莫奚條、冊府卷九五六一一二五四頁、御覽卷八0一三五五六頁正作「俟斤」,今據改。
「部ごとに俟(斥)〔斤〕を一人置く」——張森楷は「どの伝もみな『俟斤』としているので、『斥』の字は誤りらしい」といった。通典の厙莫奚の条・冊府元亀・太平御覧ではまさに「俟斤」となっているので、いまそれに従って改めた。