盤古と天地開闢混沌形狀如鷄子
1鶏の卵のような混沌
混沌形狀如鷄子, ○盤古生於混沌裏.
混沌の形は鶏の卵のようであり、 その混沌の中から盤古が生まれた。
夾注 1
三五曆紀曰, “未有天地之時, 混沌而狀如鷄子.” 通鑑外紀曰, “天地混沌如鷄子, 盤古生其中, 萬八千歲, 陽淸爲天, 陰濁爲地地.”
『三五暦紀』に「天地のまだなかったとき、混沌としてその形は鶏の卵のようであった」といい、『通鑑外紀』に「天地が鶏の卵のように混沌とした中から盤古が生まれ、一万八千年を生きると、清らかな陽は天となり、濁った陰は地となった」という。
2天と地が分かれる
生後一萬八千歲, 上淸下濁分天地.
生まれて一万八千年ののち、 上の清らかなものと下の濁ったものが天と地に分かれた。
3盤古が死んで山と海になる
又萬八千歲之後, 攝提之歲元氣始, 頭爲五岳膏爲海, 眼爲日月盤古死.
また一万八千年がたったのち、 摂提(せってい)の年に元気が始まり、 頭は五岳となり脂は海となり、 眼は日と月となって盤古は死んだ。
夾注 1
三五曆紀曰, “歲在攝提, 元氣肇始.”
『三五暦紀』に「年が摂提にあるとき、元気がはじめて始まった」という。
4三皇が次々に立つ
爰有三皇次第作, ○天皇 ○地皇 ○人皇氏.
そこで三皇が次々に立ち、 天皇氏・地皇氏・人皇氏である。
夾注 3
三五曆紀曰, “有神人, 一姓十二頭. 注云, ‘頭卽人也.’ 在崑崙山, 理一萬八千歲.” 云云. 天地旣位, 君臣道生, 君有五期. 注云, ‘誦五行也.’ 臣有三名, 注云, ‘公大夫也.’ 此詩, 必使其以明其事, 容或使於他字, 亦必使其意, 而未嘗妄加一字, 蓋效老杜之詩史也. 其世系·姓名·諡號·年代·都邑, 具載於詩, 則詞語重疊, 故不盡擧, 略標各下.
『三五暦紀』に「神人があって、一つの姓に頭が十二あり — 注に、頭とは人のことであるという — 崑崙山にあって一万八千年を治めた」という。天地が位を定めると君と臣の道が生まれ、君には五つの期があり — 注に、五行を唱えることであるという — 臣には三つの名がある — 注に、公と大夫であるという。この詩は必ずその字でその事を明らかにさせており、ほかの字を用いることがあっても必ずその意のとおりにして、一字もみだりに加えたことがない。おおよそ老杜(杜甫)の詩史に倣ったものである。世系・姓名・諡号・年代・都邑を詩にすべて載せると言葉が重なるので、すべては挙げず、それぞれの字の下に大略を示す。
一姓十一人, 興於龍門山, 代天皇, 理一萬一千歲. 定星辰, 分晝夜, 以三十日爲月, 十一月, 爲冬至.
一つの姓に十一人が龍門山から起こり、天皇を継いで一万一千年を治めた。星座を定め、昼と夜を分け、三十日を一月とし、十一月を冬至とした。
一姓九人, 生於荊馬山, 代地皇, 理一百五十代, 合四萬五千六百年.
一つの姓に九人が荊馬山から生まれ、地皇を継いで一百五十代、合わせて四万五千六百年を治めた。
5有巣氏と燧人氏
始作巢居號○有巢, 初興火熟, 名爲○煫.
はじめて木の上の巣に住んだので有巣(ゆうそう)と呼び、 はじめて火で煮炊きしたので名は燧人(すいじん)である。
夾注 2
有天下百餘年, 或云百餘代.
天下を治めたのは百余年、あるいは百余代ともいう。
以火德, 有天下百餘代, 八萬年. 已上年代, 或說不同. 以五行立德, 始於此.
火徳によって天下を治めたのは百余代八万年である。以上の年代は説が同じでない。五行によって徳を立てることは、ここから始まった。