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言語篇

明心宝鑑(心を明らかにする宝の鏡) 明心寶鑑 · 范立本 編 · 1393年(明・洪武26年) · 段落 28 · 漢字 677字 · 朗読 2.7分

明心宝鑑(心を明らかにする宝の鏡) 本編 心を明らかにする宝の鏡。経典と諸子百家から善く生きる道を抜き出して編んだ箴言集で、朝鮮の書堂では千字文の次に読まれた。八反歌八首と、孫順・印観・洪耆燮といった韓国の話も併せて収められている。

1人も言葉も失うな

子曰:「中人以上,可以語上也;中人以下,不可以語上也。可與言而不與之言失人,不可與言而與之言失言。知者不失人,亦不失言。」

孔子が言った。「中ぐらい以上の人には高いことを語ってよいが、中ぐらい以下の人には高いことを語ってはならない。ともに語るに足る相手に語らなければ人を失い、ともに語るに足らない相手に語れば言葉を失う。知恵のある者は人を失わず、言葉も失わない。」

2相手に応じて語ること

士相見,《禮》曰:「與君言,言使臣;與大夫言,言事君;與老者言,言使弟子;與幼言,言孝弟於父兄;與眾言,言忠信慈祥;與居官者言,言忠信。」

士が互いに会うときの礼について《礼記》は言う。「君と語るときは臣を用いる道を語り、大夫と語るときは君に仕える道を語り、老いた人と語るときは弟子を導く道を語り、幼い者と語るときは父や兄に孝であり恭しくあることを語り、多くの人と語るときは忠と信と慈しみを語り、官にある人と語るときは忠と信を語れ。」

3言えば必ずかなう

子曰:「夫人不言,言必有中。」

孔子が言った。「この人はあまり物を言わないが、言えば必ず理にかなっている。」

4理にかなわないなら言うな

劉會曰:「言不中理,不如不言。一言不中,千言無用。」

劉会が言った。「言葉が理にかなわないなら、言わないほうがよい。一言がかなわなければ、千の言葉も役に立たない。」

5多くの人の前での一言

《景行錄》雲:「稠人廣坐,一言之失,顏色之差,便有悔吝。」

《景行録》に言う。「人が多く集まった広い席では、一言の過ちや顔色の一度の行き違いにも、すぐに悔いと恥がある。」

6こまごました言葉が道を破る

子曰:「小辨害義,小言破道。」

孔子が言った。「細かな言い争いは義を損ない、こまごました言葉は道を破る。」

7口と舌は禍の門

君平曰:「口舌者,禍患之門,滅身之斧也。」

君平が言った。「口と舌は禍と憂いの門であり、身を滅ぼす斧である。」

8言葉で人を傷つければ

四皓謂子房曰:「向獸彈琴,徒盡其聲。以言傷人,痛如刀戟。」

四皓が子房に言った。「獣に向かって琴を弾けば、ただその音を無駄にするだけである。言葉で人を傷つければ、その痛みは刀や戟のようだ。」

9布のように暖かい言葉

荀子曰:「與人善言,暖如布帛。傷人之言,深如矛戟。」

荀子が言った。「人にかける善い言葉は、布や絹のように暖かい。人を傷つける言葉は、矛や戟のように深く刺す。」

10蜜のような言葉、刀のような言葉

《離騷經》雲:「甜言如蜜,惡語如刀。人不以多言為益,犬不以善吠為良。」

《離騒経》に言う。「甘い言葉は蜜のようであり、きつい言葉は刀のようである。人は言葉の多いことを益とせず、犬はよく吠えることを良しとしない。」

11刀の傷は癒えても

刀瘡易好,惡語難消。

刀で切られた傷は癒えやすいが、きつい言葉は消えがたい。

12綿のように暖かく、茨のように鋭い

利人之言,暖如綿絲。傷人之語,利如荊棘。一言半句,重值千金。一語傷人,痛如刀割。

人を益する言葉は綿のように暖かく、人を傷つける言葉は茨のように鋭い。一言半句が千金の値であり、一言で人を傷つければ、痛みは刀で切られたようである。

13口を閉じて舌を隠せ

口是傷人斧,唇是割舌刀。閉口深藏舌,安身處處牢。

口は人を傷つける斧であり、唇は舌を切る刀である。口を閉じて舌を深く隠せば、身を置くところはどこでも安らかである。

14言葉は慎まないわけにはいかない

子貢曰:「一言以為智,一言以為不智。言不可不慎也。」

子貢が言った。「一言で知恵があると思われ、一言で知恵がないと思われるのだから、言葉は慎まないわけにはいかない。」

15一言で国を興す

《論語》雲:「一言可以興邦,一言可以喪邦。」

《論語》に言う。「一言で国を興すことができ、一言で国を失うことができる。」

16急なときの善い一言

《藏經》雲:「人於倉卒沛之際,善用一言者,上資祖考,下蔭兒孫。」

《蔵経》に言う。「人が急で乱れたときに善い一言をうまく使えば、上は祖先を助け、下は子孫を覆い守る。」

17話は三分だけにせよ

逢人且說三分話,未可全拋一片心。不怕虎生三個口,只恐人懷兩樣心。

人に会ったら話は三分だけにし、ひとかたまりの心をすべて投げ出してはならない。虎が三つの口を開けることは恐れないが、ただ人が二つの心を抱くことが恐ろしい。

18巧みな言葉と飾った顔色

子曰:「巧言令色,鮮矣仁。」

孔子が言った。「巧みな言葉と飾った顔色には、仁がまれである。」

19知己に会えば千杯でも少ない

酒逢知己千鐘少,話不投機半句多。

酒は知己に会えば千杯でも少なく、話は気が合わなければ半句でも多い。

20よく語り、心の広い人

能言能語解人,胸寬腹大。

よく語りよく話して人の心を解く者は、胸が寛やかで度量が大きい。

21珠玉のような一句

荀子雲:「贈人一句,重如金石珠玉。勸人以言,美如詩賦文章。聽人以言,樂如鐘鼓琴瑟。」

荀子が言う。「人に一句を贈ることは、金石や珠玉のように重い。人に言葉で勧めることは、詩賦や文章のように美しい。人の言葉を聞いてやることは、鐘や鼓や琴のように楽しい。」

夾注 1

以言

「言葉によって」という意味である。

22悪人と言葉を交わすな

子曰:「惡人難與言,遜避以自勉。」

孔子が言った。「悪人とはともに語りがたいから、謙って避けて自ら努めよ。」

23道で聞いて道で話せば

道聽而途說,德之棄也。

道で聞いて道で話してしまうのは、徳を捨てることである。

24言うだけで行えないなら

先儒曰:「能行不能言,無損其行。能言不能行,不如勿言。」

昔の儒者が言った。「行えても言葉が巧みでないのは、その行いに損がない。言葉は巧みでも行えないのは、言わないほうがよい。」

25病人の前で死を語るな

對病夫勿言某死,對貪夫勿言己廉。言雖無意,聽者必厭。

病んでいる人の前で誰かが死んだと言うな。貪る人の前で自分の清廉を言うな。言葉に意図がなくても、聞く人は必ず嫌がる。

26女の言葉

婦人之言不可聽,婢妾之言尤不可聽。

女の言葉は聞いてはならず、召し使いや妾の言葉はなおさら聞いてはならない。

27性命を語るのは俗事よりまさる

說性命,雖不必真,強似說情慾;言道德,雖不必行,強似講俗事。

性命を語ることは、まことでなくても情欲を語るよりまさり、道徳を語ることは、行えなくても俗事を話すよりまさる。

28弁舌の誇りよりも沈黙

顧東橋先生曰:「好辯以招尤,不若默以怕性。誇能以詬妬,不若韜精以示拙。」

顧東橋先生が言った。「論じるのを好んで咎めを招くよりは、黙って性を養うほうがよい。才を誇って妬みを買うよりは、精気を包み隠して拙いように見せるほうがよい。」