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付録 — 新刻明心宝鑑附新刻前賢切要明心寶鑑

明心宝鑑(心を明らかにする宝の鏡) 明心寶鑑 · 范立本 編 · 1393年(明・洪武26年) · 段落 124 · 漢字 1,975字 · 朗読 7.9分

明心宝鑑(心を明らかにする宝の鏡) 附録 心を明らかにする宝の鏡。経典と諸子百家から善く生きる道を抜き出して編んだ箴言集で、朝鮮の書堂では千字文の次に読まれた。八反歌八首と、孫順・印観・洪耆燮といった韓国の話も併せて収められている。

1千遍読めば意味は自ずから現れる

讀書千遍,其義自現。

書を千遍読めば、その意味は自ずから現れる。

2学びは一人の下に

學在一人之下,用在萬人之上。

学ぶときは一人の下にあり、用いられるときは万人の上にある。

3厳しい師、厳しい母

嚴師出弟子,嚴母出巧女。

厳しい師はすぐれた弟子を出し、厳しい母は腕のよい娘を出す。

4死ぬほどの力を入れよ

不打不成人,打了當官人。欲求生富貴,須下死功夫。

打たなければ人にならず、打って育ててこそ官に就く人になる。生きて富貴を得ようとするなら、死ぬほどの力を入れなければならない。

5金が惜しいなら子を学ばせるな

惜錢不教子,說短莫從師。

金が惜しいなら子を学ばせようとするな。欠点を隠したいなら師のもとへ送るな。

6師を選んで子を教えよ

擇師教子,擇君嫁女。

師を選んで子を教え、夫を選んで娘を嫁がせよ。

7悪銭千貫はたやすくても

惡求千貫易,善化一文難。

悪いことをして千貫を稼ぐのはたやすいが、善いことをして一文を稼ぐのは難しい。

8夜半に戸をたたかれても驚かない

平生不做虧心事,半夜敲門心不驚。

生涯に心に背く事をしなければ、夜半に戸をたたかれても心が驚かない。

9子を安らかにしたいなら

若要小兒安,無過不飢寒。

子を安らかにしたいなら、飢えさせも凍えさせもしないことにまさる道はない。

10大きな家の犬になっても

寧做大家狗,休討小家人。小家做事慌張,大家做事尋常。

むしろ大きな家の犬になっても、小さな家の人の役を求めるな。小さな家は事ごとに慌て、大きな家は事を常に落ち着いて行う。

11父母は身を、友は志を

父母養其身,朋友長其志。

父母はその身を育て、友はその志を育てる。

12畑は土に、子は母に

種田靠土,養子靠母。

畑仕事は土に頼り、子を育てるのは母に頼る。

13朝に入る一文

家有千貫,不如朝進一文。

家に千貫が積まれていても、朝ごとに一文が入るのに及ばない。

14竜は竜を生む

龍生龍子,虎生豹兒。

竜は竜の子を生み、虎は豹の子を生む。

15善いと言う者が盗人

道吾好者是吾賊,道吾歹者是吾師。

自分を善いと言う者は自分の盗人であり、自分を悪いと言う者は自分の師である。

16軒先の雨だれ

孝順還生孝順子,忤逆還生忤逆兒。不信但看簷前水,點滴不差移。

孝で素直な人はまた孝で素直な子を生み、逆らう人はまた逆らう子を生む。信じられないなら軒先の雨だれを見よ。一滴ずつ落ちるところが違わない。

17狼と犬

狼行千里吃肉,狗行千里吃骨。

狼は千里を行っても肉を食べ、犬は千里を行っても骨を食べる。

18ひざまずいて乳を飲む恵み

雞兒不吃無功之食,羔羊乃有跪乳之恩。

鶏さえ功のない餌は食べず、羊の子はひざまずいて乳を飲む恵みを知る。

19囲いが丈夫なら

《詩》雲:「子曰:卿牢事不出,籬牢火不入。」

《詩》に言う。「孔子が言った。囲いが丈夫なら獣は出られず、垣が丈夫なら火は入れない。」

20本音をみだりに語るな

從交休說真言語,異日無情道是非。

交わっているからといって胸の内をすべて話すな。後日に情が失せれば、是非の種にされる。

21桑の枝は若いうちに曲げよ

桑條從小紐,長大紐不曲。

桑の枝は若いうちに曲げるべきで、育ってからでは曲げても曲がらない。

22悪人とは言葉も交わすな

寧向好人相罵,休對惡人說話。

むしろ善い人と互いに責め合っても、悪い人とは言葉を交わすな。

23人は千の言葉を受けきれない

人不受千言,木不受萬斧。

人は千の言葉を受けきれず、木は万の斧を受けきれない。

24善い一言は真冬でも暖かい

好言一句三冬暖,話不投機六月寒。

善い一言は真冬でも暖かく、気の合わない言葉は六月でも冷たい。

25慎みが人の根本

小心為人之本,剛強惹禍之根。

慎むことが人となりの根本であり、強く荒いことは禍を招く根である。

26みだりに食べても、みだりに語るな

寧可胡吃,不可胡說。

みだりに食べても、みだりに語るな。

27抜け目のない目、是非を言う唇

一雙伶俐眼,都是是非唇。

抜け目のない二つの目は、どれも是非を言う唇と対になっている。

28心づかいは七分だけ使え

十分心機使七分,留下三分與子孫。

心づかいが十あるなら七だけ使い、残りの三は子孫に残してやれ。

29役所に用もなく行くな

山上有地須天種,衙門無事莫去行。

山の上の畑は天に頼って作るものであり、役所には用もなく出入りするな。

30怠け者二人に働き者一人

兩懶夾一勤,和勤一下懶。兩勤夾一懶,和懶一下勤。

怠け者二人が働き者一人を挟めば働き者も怠け、働き者二人が怠け者一人を挟めば怠け者も働く。

31日が赤くなるまで寝るな

勸君莫睡日頭紅,蚤起三朝當一工。若還全家都蚤起,免得求人落下風。

あなたに勧める、日が赤くなるまで寝ているな。三日早く起きれば一日の手間になる。家中がみな早く起きれば、人に頼んで頭を下げることを免れる。

32千種の美味も塩に及ばない

千般滋味不如吃鹽,富貴榮華不如種田。

千種の美味も塩を食べるのに及ばず、富貴栄華も畑を耕すのに及ばない。

33国は農が根本

國以農為本,民以食為先。

国は農を根本とし、民は食を第一とする。

34鍬だけは人を偽らない

經紀道路眼前花,鋤頭落地是莊家。走盡天涯並海角,只有鋤頭不悮人。

商いの道は目の前の花であり、鍬の刃が地に届くことが百姓の暮らしである。天の果て海の隅まで歩き尽くしても、ただ鍬だけは人を偽らない。

夾注 1

慫:即「誤」。

「悮」は「誤(あやまる)」である。

35まず心の火を消せ

除了心頭火,何用佛前燈。口內摩訶娑,船裡蛆喳上。

心の火を消したのなら、仏前の灯が何の役に立とうか。口では摩訶薩を唱えながら、腹の中では蛆が湧いている。

36春風を広げれば夏の雨が来る

布得春風有夏雨,冬來寒冷禮義生。

春風を広げておけば夏の雨があり、冬が来て寒くなれば礼と義が生きる。

37情は広げるもの、仇は結ぶもの

人情布的,冤家結的。

人の情は広げておくものであり、仇は結んでおくものである。

38歩みはゆっくり、言葉は低く

行須緩步,語要低聲。

歩みはぜひゆっくりと、言葉は低い声でせよ。

39文武の芸を成せば

學成文武藝,方作帝王臣。

文と武の芸を学び終えてこそ、はじめて帝王の臣となる。

40水の滴が川を成す

聚少成多,滴水成河。

少ないものが集まって多くを成し、水の滴が集まって川を成す。

41第一は縁、第二は命

一緣二命三風水,四積陰功五讀書。

第一は縁、第二は命、第三は風水、第四は陰徳を積むこと、第五は書を読むことである。

42骨は描きがたい

畫龍畫虎難畫骨,知人知面不知心。

竜を描き虎を描いても骨は描きがたく、人を知り顔を知っても心は知れない。

43善い言葉は得がたい

千金易得,好話難求。

千金は得やすいが、善い言葉は求めがたい。

44恥を知るところ

學到知羞處,原是藝不精。

学んで恥ずかしいところが分かるようになるのは、もともと芸が熟していないからである。

45悪を恐れず、善を偽らず

逢惡莫怕,遇善莫欺。

悪に出会っても恐れるな。善に出会っても偽るな。

46両方とも間違っている道理はない

人無兩不是,車無坐倒地。

両方ともが間違っている人はなく、座ったまま倒れる車はない。

47貧しい家の甘やかされた子

窮漢養嬌子,富漢得奴使。

貧しい男は甘やかされた子を育て、富んだ男は使う召し使いを得る。

48筆と硯、弓と矢

文官坐處筆硯,武官坐處弓箭。

文官が座る所には筆と硯があり、武官が座る所には弓と矢がある。

49自分の仕事でなければ手を出すな

不是秀才莫看書,不是屠行莫殺豬。不是船家手,休要弄篙竿。

秀才でなければ書を見るな。屠る者でなければ豚を殺すな。船乗りの腕でなければ、竿を扱おうとするな。

50天が黄ばめば雪、人が黄ばめば病

天黃有雪,人黃有病。

天が黄ばめば雪が降り、人が黄ばめば病がある。

51筆で天下を安らかにする

文官把筆安天下,武將提刀定太平。

文官は筆を取って天下を安らかにし、武将は刀を提げて太平を定める。

52ずるい者は仲立ち、鈍い者は保証人

乖漢當媒,癡漢做保。

ずるい男は仲立ちをし、鈍い男は保証人になる。

53毛筋の差が千里

差之毫釐,失之千里。

毛筋ほど外れれば、千里を失う。

54大きくなれば結婚するもの

男大當婚,女長必嫁。

男が大きくなればまさに妻を迎え、女が大きくなれば必ず嫁ぐ。

55人の前で笑えば人の後ろに遅れる

笑人前,落人後。

人の前で笑っていると、人の後ろに落ちる。

56花は再び咲いても少年は二度ない

花有重開日,人不再少年。

花はまた咲く日があるが、人は再び少年にならない。

57賢い妻、有能な夫

家有賢妻,男兒不遭禍。家有能夫,妻兒不吃淡飯。

家に賢い妻がいれば男は災いに遭わず、家に有能な夫がいれば妻子は味のない飯を食べない。

58独りの一身がかえって難しい

養家千口易,獨自一身難。

千人の家族を養うのはたやすいが、独りで一身を暮らすのは難しい。

59もっと早く行く人がいる

莫道君行早,更有早行人。

あなたが早く行くと言うな。もっと早く行く人がいる。

60斧の刃が小さければ木は倒れない

砍樹不倒斧口小,論人不過文字少。

木を切っても倒れないのは斧の刃が小さいからであり、人を論じられないのは学びが足りないからである。

61母に従う千日のほうがよい

寧可隨娘千日好,莫教隨爺一日孤。

むしろ母に従って千日を良く過ごしても、父に従って一日を寂しくさせるな。

62竜が浅い水で遊べば

龍遊淺水遭蝦戲,虎落平陽被犬欺。

竜が浅い水で遊べば海老にからかわれ、虎が平地に下りれば犬に侮られる。

63一歩ずつ進めば遠くない

一步一趨,路也不遠。

一歩ずつ進めば、道も遠くない。

64蛇は踏んで噛まれる

蛇咬踏著,狗咬撞著。

蛇は踏んで噛まれ、犬はぶつかって噛まれる。

65人相の話

鼻如鷹嘴,啄人腦髓。面上無肉,必是怪物。

鼻が鷹のくちばしのようなら人の脳髄をつつき、顔に肉がなければ必ず怪しい者である。

66至りの善は孝、至りの悪は淫

古人雲:「至善無如孝,極惡不過淫。我若淫人婦,人必淫我妻。」

昔の人が言う。「至りの善は孝にまさるものがなく、至りの悪は淫らさを越えるものがない。自分が人の妻を犯せば、人も必ず自分の妻を犯す。」

67窮すれば志が短くなる

人窮志短,馬瘦毛長。

人が窮すれば志が短くなり、馬が痩せれば毛ばかり長くなる。

68経てこそ育つ

不經一事,不長一志。

一つの事を経なければ、一つの志が育たない。

69聞かなければ自ずからない

是非終日有,不聽自然無。

是非は一日中あっても、聞かなければ自ずからない。

70渋い顔の汁は飲むな

寧可吃飲稱眉水,從前不吃皺眉湯。

むしろ笑った顔でくれる水を飲んでも、はじめから渋い顔でくれる汁は飲むな。

71人から害を受けたらどうするのか

寧可等你害人,莫叫別人害你。你害別人猶自可,別人害你卻如何?

むしろ自分が人から害を受けても、人を害するな。自分が人を害するのはまだよいとして、人が自分を害したらどうするのか。

72長江にも六月はない

《漢書》雲:「長江無六月,青山有時寒。」

《漢書》に言う。「長江に六月はなく、青い山にも時に寒さがある。」

73子は母の醜さをとがめない

子不嫌母醜,犬不怨家寒。

子は母の醜さをとがめず、犬は家の貧しさを怨まない。

74犬は千里の道を覚える

狗記千里路,牛還百日鄉。

犬は千里の道を覚え、牛は百日経っても自分の故郷に帰る。

75一日の満腹で百日の飢えを忘れる

討得一日飽,忘了百日饑。

一日の満腹を得て、百日の飢えを忘れる。

76学ばなければ牛馬と同じ

人不通古今,馬牛如襟裾。人不知學,譬如牛羊。嗚呼老矣,歲不我延。

人が古今に通じなければ牛馬に衣を着せたようであり、人が学びを知らなければ、たとえば牛や羊のようである。ああ老いてしまった。年月は自分のために延びてはくれない。

77千行の文字を知れば

珍珠是寶玉,文章做高官。識千行字,自然禮義生。

真珠は宝の玉であり、文章は高い官を作る。千行の文字を知れば、自ずから礼と義が生きる。

78筆を取れば万人を圧する

夫子文章貴,提筆壓萬人。

孔子の文章は貴く、筆を取れば万人を圧する。

79一度与えると言ったなら

許人一物,千金不移。

人に一つの物を与えると言ったなら、千金を積まれても変えない。

80遠くの縁者、近くの仇

遠處是親家,近處是冤家。

遠くにいる人は縁者となり、近くにいる人は仇となる。

81人が集まれば長短がある

三四五六人,七長八短漢。

三人四人五人六人と集まれば、長いも短いもばらばらの男たちである。

夾注 1

「七長八短」はばらばらで不ぞろいなことを言う決まった言い方である。人数を数えたものではない。 ― 訳者

82気ままであれば人にならない

愛好勤洗服,貪懶不梳頭。成人不自在,自在不成人。

清潔を好む人はまめに衣を洗い、怠けを好む人は髪も梳かない。人になろうとするなら気ままにはできず、気ままであれば人にならない。

83怠ければ草ばかりが青い

大富由命,小富由勤。若還懶做,厥草生青。

大きな富は命により、小さな富は勤めによる。それでも怠けていれば、畑には草ばかりが青く育つ。

84山の下の道は行き来する人に尋ねよ

要行山下路,便問去來人。

山の下の道を行こうとするなら、行き来する人に尋ねよ。

85麝香は自ずから香る

有麝自然香,何必當風立?

麝香を持っていれば自ずから香るのに、どうして風の前に立つ必要があろうか。

86志があるなら家の前で誇るな

有志莫來屋邊逞,放牛兒子叫大名。

志があるなら自分の家の前で誇るな。牛を飼う子にまで名を軽々しく呼ばれる。

87太平には昔の将軍を用いない

太平還是將軍定,太平不用舊將軍。

太平は将軍が定めたのに、太平になれば昔の将軍を用いない。

88知己に会えば千杯でも少ない

酒逢知己千杯少,話不投機半句無。

酒は知己に会えば千杯でも少なく、話は気が合わなければ半句でも多い。

夾注 1

「無」疑為「多」之誤。

「無」は「多」の誤りと思われる。

89人に千日の良さはない

人無千日好,花無百日紅。

人に千日ずっと良い日はなく、花に百日ずっと赤い日はない。

90魚を捕り海老を探るうちに

撈魚摸蝦,餓殺渾家。

魚を捕り海老を探っているうちに、家中を飢え死にさせる。

91火を焚き庭を掃くさまを見れば

有志無志,但看燒火掃地。

志があるかないかは、火を焚き庭を掃くさまを見るだけでも分かる。

92酒を飲む姿

男人飲酒,搖腳擺手;女人飲酒,無醜可醜。

男が酒を飲めば足を揺らし手を振り回し、女が酒を飲めばその醜さは言い尽くせない。

93礼義と盗人

禮義生富貴,賊盜出飢寒。

礼と義は富貴から生まれ、盗人は飢えと寒さから生まれる。

94人は古い人がよい

人是舊的好,衣是新的好。

人は古い人がよく、衣は新しい衣がよい。

95老いれば言葉が多い

人老話多,樹老根多。

人が老いれば言葉が多く、木が老いれば根が多い。

96酒は君子を酔わせられない

酒不醉君子,棒不打好人。

酒は君子を酔わせることができず、棒は善い人を打つことができない。

97人の心は鉄、官の法は炉

人心似鐵,官法如爐。

人の心は鉄のようであり、役所の法は炉のようである。

98君子の一言

君子一言,快馬一鞭。

君子の一言は、速い馬への一鞭である。

99君子は席を、小人は寝床を

君子爭坐位,小人爭臥處。

君子は席を争い、小人は寝る場所を争う。

100まっすぐな言葉で人に勧めよ

人有小大,口無尊卑。涼藥苦口,直言勸人。

人には大小があっても、口には尊卑がない。涼やかな薬は口に苦いのだから、まっすぐな言葉で人に勧めよ。

101どの水に魚がいないだろうか

何公無私?何水無魚?

どの公に私心がなく、どの水に魚がいないだろうか。

102醜い昔の人が大きな賢人

古人貌醜,常出大賢;今人貌美,常出大姦。

昔の人は醜いところから大きな賢人がよく出て、いまの人は美しいところから大きな奸物がよく出る。

103黄金に満ちた家より畑を耕せ

黃金滿屋,不如種田。

黄金が家に満ちていても、畑を耕すのに及ばない。

104鼓を打って雨を乞えば

打鼓求雨,高山也是田;禳星求得命,道士活千年。

鼓を打って雨を乞って降るのなら高い山も畑になるだろうし、星に祈って命を得られるのなら道士は千年生きるだろう。

105善い思いには天が従う

人有善念,天必從之。

人に善い思いがあれば、天は必ずそれに従う。

106朝夕の一本の香

無物可配天地德,全憑早晚一炷香。

天地の徳に並ぶ物がないのだから、ひたすら朝夕の一本の香に託すだけである。

107命は命で、借りは金で

殺人償命,欠債還錢。

人を殺せば命で償い、借りを負えば金で返す。

108富んだ者は千人も少ないと言う

富嫌千口少,貧恨一身多。

富んだ者は千人の家族も少ないと言い、貧しい者は一身さえ多いと嘆く。

109籠で水を汲む

瞞人似籃挑水,騙人一似網張風。

人を隠しごとでごまかそうとするのは籠で水を汲むようであり、人を誘って騙そうとするのは網で風を捕らえるようである。

110経典を習わなければ

不習一經,不知禮義。

経典の一つも習わなければ、礼と義を知らない。

111千里の客をよくもてなせ

好看千里客,萬裡去傳名。

千里から来た客をよくもてなせ。万里に行って名を伝えてくれる。

112控えて使えば満ち足りる

損錢易飽,浪用還飢。

控えて使えばたやすく満ち足り、浪費すればまた飢える。

113挨拶を知らなければ

見人不唱喏,必定是蠢物。

人を見ても挨拶を知らないなら、きっと愚かな者である。

114破れた衣は貧しさのしるし

身穿破衣裳,必是少錢糧。

身に破れた衣をまとっているなら、きっと金と食糧が少ないのである。

115千首を覚えれば詩が出る

好詩記得千百首,不會吟詩也會吟。

善い詩を千首百首覚えていれば、詩を作れなくても詠むことはできる。

116里に従って風習に従え

隨鄉入鄉,積麻入籃框。

里に行けばその里の風習に従い、麻を取り入れれば籠に納めよ。

117盗みを三年すれば

做賊三年偷百家,禍至門庭不須嗟。

盗みを三年して百軒を荒らせば、禍が門前に来ても嘆くことはない。

118忍ぶことが第一

孔子曰:「百行之本,忍之為上。」子張曰:「何為忍之?」夫子曰:「天子忍之國無害,諸侯忍之成其大,官吏忍之進其位,兄弟忍之家富貴,夫妻忍之終其世,朋友忍之終其好,自身忍之無禍患。」子張曰:「不忍何如?」夫子曰:「天子不忍國空虛,諸侯不忍喪其位,官吏不忍刑法誅,兄弟不忍各分居,夫妻不忍子孫稀,朋友不忍情義疏,自身不忍禍不除。」子張曰:「善哉!善哉!難忍!難忍!非人不忍,不忍非人。」

孔子が言った。「あらゆる行いの根本は、忍ぶことが第一である。」子張が「どのように忍ぶのですか」と言うと、孔子が言った。「天子が忍べば国に害がなく、諸侯が忍べばその大を成し、官吏が忍べばその位が上がり、兄弟が忍べば家が富み貴くなり、夫婦が忍べば一生をともに終え、友が忍べばその好みを終わりまで守り、自分の身が忍べば禍と憂いがない。」

子張が「忍ばなければどうなりますか」と言うと、孔子が言った。「天子が忍ばなければ国が空しくなり、諸侯が忍ばなければその位を失い、官吏が忍ばなければ刑法で死に、兄弟が忍ばなければそれぞれ分かれて住み、夫婦が忍ばなければ子孫がまれになり、友が忍ばなければ情と義が疎くなり、自分の身が忍ばなければ禍が除かれない。」

子張が言った。「善いお言葉です、善いお言葉です。忍びがたく忍びがたいのですから、人でなければ忍べず、忍べなければ人ではないのですね。」

119悪は流れるようにたやすく、善は登るように難しい

為惡從流,從善如登。

悪を行うのは流れ下るようにたやすく、善に従うのは坂を登るように難しい。

120孝と素直さが第一

五行百常,孝順為先。

五つの行い、あらゆる道理の中で、孝と素直さが第一である。

121かわいがるばかりでは人にならない

惜子嬌孫難訓誨,說長道短不成人。

子をかわいがるばかりで孫を甘やかせば教えがたく、長いだの短いだのと言葉ばかり並べれば人にならない。

122生きて仕えず、死んで泣く

生前不承有限之歡,死後空灑無情之淚。

生きておられるうちに限りある喜びを差し上げられず、亡くなった後に空しく情のない涙ばかりを流す。

123十二の不孝

有因分析家產,而怨父母不均者;有聽信妻言,而誹謗父母不愛者;有放縱驕奢,而憎父母防閒者;有飲酒嫖賭,而恨父母拘束者;有私其妻子,而吝父母衣食者;有厚於親朋,而薄父母用度者;有執定輪養,而致父母飢寒者;有子常出外,媳婦忤逆,而明知父母受氣者;有出外多年,忘歸定省,而不顧父母奉養者;有父在經營母勞井臼,而夫妻貪逸,還說父母不是者;有父母患病,不請醫藥,而藉言老病難治者;種種不堪,言之痛心。

暮らしを分けるときに親が公平でないと怨む者がいる。妻の言葉ばかりを信じて、親が愛してくれないとそしる者がいる。気ままに驕りぜいたくをして、親の引き締めを憎む者がいる。酒を飲み賭け事をして、親の束縛を怨む者がいる。自分の妻子ばかりを大事にして、親の衣と食に物惜しみする者がいる。友には厚いのに、親の費いには薄い者がいる。順番に養うことだけを言い張って、親を飢えさせ凍えさせる者がいる。息子は常に外に出ていて嫁は逆らい、親が心を痛めていると分かりきっている者がいる。何年も外に出て、帰って安否を伺うことを忘れ、親の世話を顧みない者がいる。父は暮らしに骨折り母は水汲みと臼つきに働いているのに、自分たち夫婦は安楽ばかりを貪り、かえって親が悪いと言う者がいる。親が病んでいるのに、医者と薬を頼まず、老いの病で治しがたいと言い逃れる者がいる。どれも見るに堪えないことで、言うだけで心が痛む。

夾注 1

防閒:防備和禁阻。

防閒とは、防ぎ禁じることを言う。

124まことの富貴は帝王の家

要之,人間真富貴,還是帝王家。

要するに、人の世のまことの富貴は、やはり帝王の家であろうか。