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泰伯泰伯第八

論語(孔子とその弟子たちの語録) 論語 · 孔子とその弟子たち(門人の集録) · 戦国時代に集成(紀元前5〜3世紀) · 段落 20 · 漢字 667字 · 朗読 2.7分

論語(孔子とその弟子たちの語録) 全一巻 「学びて時にこれを習う、また喜ばしいことではないか」で始まる、東アジアで最も長く読まれてきた書。孔子と弟子たちの問答497章。朝鮮五百年の士の必読書であり、今も人が生きるための言葉がここから出てくる。

1礼がなければ骨折り・臆病・乱れ

子曰:「恭而無禮則勞,愼而無禮則葸,勇而無禮則亂,直而無禮則絞。君子篤於親,則民興於仁。故舊不遺,則民不偷。」

孔子が言われた。「恭しくても礼がなければ骨折りになり、慎んでも礼がなければ臆病になり、勇ましくても礼がなければ乱れ、まっすぐでも礼がなければとげとげしくなる。君子が身内に厚ければ民は仁に立ち上がり、古い友を捨てなければ民は薄情にならない。」

2私の足を開いて見よ、手を見よ

曾子有疾,召門弟子曰:「啟予足!啟予手!詩云:『戰戰兢兢,如臨深淵,如履薄冰。』而今而後,吾知免夫!小子!」

曾子が病に伏し、門下の弟子たちを呼んで言った。「私の足を開いて見よ。私の手を開いて見よ。『詩』に『おそれ慎むこと、深い淵のほとりに立つように、薄い氷を踏むように』とあるが、これからは私が免れたとわかるな、お前たち。」

3鳥は死のうとするとき鳴き声が悲しい

曾子有疾,孟敬子問之。曾子言曰:「鳥之將死,其鳴也哀,人之將死,其言也善。君子所貴乎道者三:動容貌,斯遠暴慢矣;正顏色,斯近信矣;出辭氣,斯遠鄙倍矣;籩豆之事,則有司存。」

曾子が病に伏し、孟敬子が見舞った。曾子が言った。「鳥は死のうとするとき、その鳴き声が悲しく、人は死のうとするとき、その言葉が善い。君子が道において貴ぶことは三つある。身の動かし方では荒々しさと高慢を遠ざけ、顔つきを正しては信に近づき、言葉と声の出し方では卑しさと筋違いを遠ざけることだ。祭器を扱う仕事なら、係の者がいる。」

4あっても無いように、満ちても空のように

曾子曰:「以能問於不能,以多問於寡,有若無,實若虛,犯而不校。昔者吾友,嘗從事於斯矣。」

曾子が言った。「できるのにできない人に尋ね、多く持つのに少ない人に尋ね、あっても無いようにし、満ちていても空のようにし、侵されても咎めない。昔、私の友はそのように生きていた。」

5大きな節目に心を奪われないなら

曾子曰:「可以託六尺之孤,可以寄百里之命,臨大節而不可奪也。君子人與?君子人也!」

曾子が言った。「六尺の幼い君主を託すことができ、百里の国の命運を預けることができ、大きな節目に臨んで心を奪われないなら、君子らしい人だろうか。君子らしい人である。」

6荷は重く道は遠い

曾子曰:「士不可以不弘毅,任重而道遠。仁以爲己任,不亦重乎;死而後已,不亦遠乎。」

曾子が言った。「士は広く強くなければならない。荷は重く道は遠い。仁を自分の荷とするのだから、重くないだろうか。死んではじめて終わるのだから、遠くないだろうか。」

7詩で立ち上がり、礼で立ち、音楽で仕上げる

子曰:「興於詩,立於禮,成於樂。」

孔子が言われた。「詩で立ち上がり、礼で立ち、音楽で仕上げる。」

8民は従わせることはできても

子曰:「民可使由之,不可使知之。」

孔子が言われた。「民は従わせることはできても、知らせることはできない。」

9貧しさを憎むことも乱の種

子曰:「好勇疾貧,亂也。人而不仁,疾之已甚,亂也。」

孔子が言われた。「勇を好みながら貧しさを憎めば乱を起こす。人が仁でないといって憎みすぎても乱を起こす。」

10周公の才でも高慢で物惜しみなら

子曰:「如有周公之才之美,使驕且吝,其餘不足觀也已!」

孔子が言われた。「周公のような見事な才を備えていても、高慢で物惜しみするなら、ほかは見るに足りない。」

11三年学んで俸禄を思わないこと

子曰:「三年學,不至於穀,不易得也。」

孔子が言われた。「三年学んで俸禄に心が向かない人は、なかなか得られない。」

12危うい国には入らない

子曰:「篤信好學,守死善道。危邦不入,亂邦不居。天下有道則見,無道則隱。邦有道,貧且賤焉,恥也;邦無道,富且貴焉,恥也。」

孔子が言われた。「ひたむきに信じて学を好み、死をもって守って道をよく行え。危うい国には入らず、乱れた国には住まない。天下に道があれば姿を現し、道がなければ隠れる。国に道があるのに貧しく身分が低いのは恥であり、国に道がないのに富んで高い位にあるのも恥である。」

13その地位にいなければ

子曰:「不在其位,不謀其政。」

孔子が言われた。「その地位にいなければ、その政務を企てない。」

14ゆたかに耳に満ちているな

子曰:「師摯之始,關雎之亂,洋洋乎,盈耳哉!」

孔子が言われた。「楽師の摯がはじめて官についたときに奏でた関雎の終章が、ゆたかに耳に満ちているな。」

15こういう人は私にもわからない

子曰:「狂而不直,侗而不愿,悾悾而不信,吾不知之矣!」

孔子が言われた。「志ばかり大きくてまっすぐでなく、愚かでありながら誠実でなく、取り柄がないのに信もない人は、私にもどうすればよいかわからない。」

16学問は追いつけないかのように

子曰:「學如不及,猶恐失之。」

孔子が言われた。「学問は追いつけないかのようにし、それでも失うことを恐れよ。」

17舜と禹の高さ

子曰:「巍巍乎,舜、禹之有天下也,而不與焉。」

孔子が言われた。「高く高くそびえているな。舜と禹は天下を手にしながら、そこに関わられなかった。」

18大きいな、堯の君主ぶりは

子曰:「大哉,堯之爲君也!巍巍乎,唯天爲大,唯堯則之!蕩蕩乎,民無能名焉!巍巍乎,其有成功也!煥乎,其有文章!」

孔子が言われた。「大きいな、堯の君主ぶりは。高く高くそびえている。ただ天だけが大きいのに、堯だけがそれにならわれた。広く広く、民は名づけることができない。高く高く、その成し遂げた功よ。輝かしい、その文物よ。」

19人材は得がたい

舜有臣五人,而天下治。武王曰:「予有亂臣十人。」孔子曰:「『才難』,不其然乎?唐虞之際,於斯爲盛,有婦人焉,九人而已。三分天下有其二,以服事殷、周之德,其可謂至德也已矣!」

舜に優れた臣が五人いて、天下が治まった。武王は「私には国を治める臣が十人いる」と言った。孔子が言われた。「人材は得がたいと言うが、そのとおりではないか。唐虞の時代がこのときより盛んだったというが、婦人が入っているので九人にすぎない。天下の三分の二を手にしながら殷に仕えたのだから、周の徳は至り尽くした徳と言える。」

20禹にはけちをつけるところがない

子曰:「禹,吾無間然矣!菲飮食,而致孝乎鬼神;惡衣服,而致美乎黻冕;卑宮室,而盡力乎溝洫。禹,吾無間然矣!」

孔子が言われた。「禹には私がけちをつけるところがない。飲食は粗末にしながら鬼神には孝を尽くされ、衣服は粗末にしながら祭りの礼服は美を尽くされ、宮室は低くしながら水路を掘ることには力を尽くされた。禹には私がけちをつけるところがない。」