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季氏季氏第十六

論語(孔子とその弟子たちの語録) 論語 · 孔子とその弟子たち(門人の集録) · 戦国時代に集成(紀元前5〜3世紀) · 段落 14 · 漢字 995字 · 朗読 4.0分

論語(孔子とその弟子たちの語録) 全一巻 「学びて時にこれを習う、また喜ばしいことではないか」で始まる、東アジアで最も長く読まれてきた書。孔子と弟子たちの問答497章。朝鮮五百年の士の必読書であり、今も人が生きるための言葉がここから出てくる。

1顓臾を討とうとする — 憂いは垣根の内に

季氏將伐顓臾。冉有季路見於孔子曰:「季氏將有事於顓臾。」孔子曰:「求!無乃爾是過與?夫顓臾,昔者先王以爲東蒙主,且在邦域之中矣,是社稷之臣也。何以伐爲?」冉有曰:「夫子欲之,吾二臣者,皆不欲也。」孔子曰:「求!周任有言曰:『陳力就列,不能者止。』危而不持,顚而不扶,則將焉用彼相矣?且爾言過矣!虎兕出於柙,龜玉毀於櫝中,是誰之過與?」冉有曰:「今夫顓臾,固而近於費;今不取,後世必爲子孫憂。」孔子曰:「求!君子疾夫舍曰欲之,而必爲之辭。丘也,聞有國有家者,不患寡而患不均,不患貧而患不安。蓋均無貧,和無寡,安無傾。夫如是,故遠人不服,則修文德以來之。既來之,則安之。今由與求也,相夫子,遠人不服而不能來也;邦分崩離析而不能守也,而謀動干戈於邦內。吾恐季孫之憂,不在顓臾,而在蕭牆之內也!」

季氏が顓臾を討とうとした。冉有と季路が孔子にお目にかかり「季氏が顓臾に事を起こそうとしています」と言うと、孔子が言われた。「求よ、これはお前の過ちではないか。あの顓臾は、昔、先王が東蒙山の祭主とされ、しかも国の領域の中にあるのだから、社稷の臣である。どうして討つことがあろうか。」冉有が「季氏が望んでいるのであって、我々二人の臣はどちらも望んでいません」と言うと、孔子が言われた。「求よ、周任の言葉に『力を尽くして職位につき、できなければやめよ』とある。危ういのに支えず、倒れるのに助け起こさないなら、その介添え役をどこに用いるのか。それにお前の言葉は行き過ぎだ。虎や野牛が檻から飛び出し、亀の甲や玉が箱の中で壊れたなら、これは誰の過ちか。」冉有が「今、顓臾は城が堅固で費の邑に近いので、今取らなければ後の世に必ず子孫の憂いとなります」と言うと、孔子が言われた。「求よ、君子は望んでいると言わずにわざわざ言い訳を作ることを憎む。私が聞くところでは、国を持つ者も家を持つ者も、少ないことを憂えずに均しくないことを憂え、貧しいことを憂えずに安らかでないことを憂えるという。おおよそ均しければ貧しさはなく、和合すれば少なさはなく、安らかであれば傾くことはない。このようであるから、遠い土地の人が従わなければ文徳を修めて来させ、すでに来たならば安らかにしてやるのだ。今、由と求は季氏を助けながら、遠い土地の人が従わないのに来させることができず、国が分かれ崩れ離れていくのに守ることができず、国の内で干戈を動かすことを謀っている。私は季孫の憂いが顓臾にあるのではなく、垣根の内にあるのではないかと恐れる。」

2天下に道があれば

孔子曰:「天下有道,則禮樂征伐自天子出;天下無道,則禮樂征伐自諸侯出。自諸侯出,蓋十世希不失矣;自大夫出,五世希不失矣;陪臣執國命,三世希不失矣。天下有道,則政不在大夫。天下有道,則庶人不議。」

孔子が言われた。「天下に道があれば、礼楽と征伐は天子から出る。天下に道がなければ、礼楽と征伐は諸侯から出る。諸侯から出れば、おおよそ十代で失わないことはまれであり、大夫から出れば五代で失わないことはまれであり、家臣が国の命令を握れば三代で失わないことはまれである。天下に道があれば、政治は大夫の手にはない。天下に道があれば、庶民は政治を論じない。」

3禄が公室を離れて五代

孔子曰:「祿之去公室,五世矣。政逮於大夫,四世矣。故夫三桓之子孫,微矣。」

孔子が言われた。「禄が公室を離れてから五代、政治が大夫に移ってから四代になる。だから、あの三桓の子孫は衰えたのだ。」

4有益な三つの友、害になる三つの友

孔子曰:「益者三友,損者三友:友直,友諒,友多聞,益矣;友便辟,友善柔,友便佞,損矣。」

孔子が言われた。「有益な友が三つ、害になる友が三つある。正直な人を友とし、誠実な人を友とし、見聞の広い人を友とすれば有益である。見かけを飾ることに慣れた人を友とし、こびへつらう人を友とし、口先だけうまい人を友とすれば害になる。」

5有益な三つの楽しみ、害になる三つの楽しみ

孔子曰:「益者三樂,損者三樂:樂節禮樂,樂道人之善,樂多賢友,益矣;樂驕樂,樂佚遊,樂宴樂,損矣。」

孔子が言われた。「有益な楽しみが三つ、害になる楽しみが三つある。礼楽を節度をもって楽しみ、人の善を語ることを楽しみ、賢い友の多いことを楽しめば有益である。おごり高ぶった快楽を楽しみ、怠けて遊び回ることを楽しみ、宴の享楽を楽しめば害になる。」

6お仕えしているときの三つの過ち

孔子曰:「侍於君子有三愆:言未及之而言,謂之躁;言及之而不言,謂之隱;未見顏色而言,謂之瞽。」

孔子が言われた。「君子にお仕えしているときに三つの過ちがある。話す順が来ていないのに話すのを、せっかちという。話す順が来たのに話さないのを、隠すという。顔色を見ないで話すのを、目が見えないという。」

7君子の三つの戒め

孔子曰:「君子有三戒:少之時,血氣未定,戒之在色;及其壯也,血氣方剛,戒之在鬭;及其老也,血氣既衰,戒之在得。」

孔子が言われた。「君子に三つの戒めがある。若いときは血気がまだ定まっていないから、色事を戒める。壮年になれば血気が今まさに強いから、争いを戒める。老いれば血気がすでに衰えているから、得ることを戒める。」

8君子の三つの畏れ

孔子曰:「君子有三畏:畏天命,畏大人,畏聖人之言。小人不知天命而不畏也,狎大人,侮聖人之言。」

孔子が言われた。「君子に三つの畏れがある。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言葉を畏れる。小人は天命を知らないから畏れず、大人をなれなれしく扱い、聖人の言葉を侮る。」

9生まれながらに知る者が最上

孔子曰:「生而知之者,上也;學而知之者,次也;困而學之,又其次也。困而不學,民斯爲下矣!」

孔子が言われた。「生まれながらに知る者が最上であり、学んで知る者がその次であり、行き詰まってから学ぶ者がまたその次である。行き詰まっても学ばなければ、民として最も下になる。」

10君子の九つの思い

孔子曰:「君子有九思:視思明,聽思聰,色思溫,貌思恭,言思忠,事思敬,疑思問,忿思難,見得思義。」

孔子が言われた。「君子に九つの思いがある。見るときは明らかであることを思い、聞くときははっきり聞き取ることを思い、顔色は穏やかであることを思い、身ごなしはうやうやしいことを思い、言葉は誠実であることを思い、事に当たっては敬うことを思い、疑わしければ問うことを思い、腹が立てば後に来る難を思い、得るものを見れば義を思う。」

11善を見れば及ばないかのように

孔子曰:「『見善如不及,見不善如探湯。』吾見其人矣,吾聞其語矣。『隱居以成其志,行義以達其道。』吾聞其語矣,未見其人也。」

孔子が言われた。「『善を見れば及ばないかのようにし、不善を見れば熱湯に手を入れるかのようにする』 — 私はそういう人を見たし、そういう言葉も聞いた。『隠れ住んで自分の志を成し、義を行って自分の道を広める』 — 私はそういう言葉は聞いたが、そういう人はまだ見ていない。」

12斉の景公と伯夷・叔斉

(『誠不以富,亦祇以異。』)齊景公有馬千駟,死之日,民無德而稱焉。伯夷叔齊餓於首陽之下,民到于今稱之。其斯之謂與?

(「まことに富のためではなく、ただ珍しさを追うだけだ。」)斉の景公は馬四千頭を持っていたが、死んだ日に民が徳として称えるものはなかった。伯夷と叔斉は首陽山のふもとで飢えたが、民は今に至るまで称えている。このことを言ったのであろう。

13子だからといって特別に教えはしなかった

陳亢問於伯魚曰:「子亦有異聞乎?」對曰:「未也。嘗獨立,鯉趨而過庭。曰:『學《詩》乎?』對曰:『未也。』『不學《詩》,無以言。』鯉退而學《詩》。他日,又獨立,鯉趨而過庭。曰:『學禮乎?』對曰:『未也。』『不學禮,無以立!』鯉退而學禮。聞斯二者。」陳亢退而喜曰:「問一得三:聞《詩》,聞禮,又聞君子之遠其子也。」

陳亢が伯魚に尋ねた。「あなたは特別に聞いたことがありますか。」伯魚が答えた。「ありません。かつて父が独りで立っておられたとき、私が小走りで庭を通りますと『詩を学んだか』と言われ、『まだ学んでいません』と答えますと『詩を学ばなければ、物を言うよりどころがない』と言われたので、退いて詩を学びました。別の日、また独りで立っておられたとき、小走りで庭を通りますと『礼を学んだか』と言われ、『まだ学んでいません』と答えますと『礼を学ばなければ、身を立てることができない』と言われたので、退いて礼を学びました。この二つを聞きました。」陳亢は退いて喜んで言った。「一つ尋ねて三つを得た。詩を聞き、礼を聞き、さらに君子が自分の子を遠ざけることを聞いた。」

14君主の妻の呼び名

邦君之妻,君稱之曰「夫人」,夫人自稱曰「小童」;邦人稱之曰「君夫人」,稱諸異邦曰「寡小君」;異邦人稱之,亦曰「君夫人」。

国の君主の妻を、君主は「夫人」と呼び、夫人は自分を「小童」と言い、国の人々は「君夫人」と呼び、他国に向かって言うときは「寡小君」と言い、他国の人が呼ぶときもやはり「君夫人」と言う。