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日光
奥の細道(奥州へ向かう細道の記) 全一巻 「月日は百代の過客であり、行き交う年もまた旅人です」 — 芭蕉が四十六歳で江戸を離れ、奥州と北陸を五か月かけて歩いた紀行文。夏草に武士たちの夢を見、岩にしみ入る蝉の声を聞き、一つ屋根の下に眠る遊女を萩と月に見立てる。散文が終わるところごとに俳句が一句置かれる。法顕・玄奘・慧超の求法記と並ぶ、この書斎のもう一つの道である。
1日光 — この光が天一面に
卯月朔日御山に詣拜す徃昔此御山を二荒山とかきしを空海大師開基の時日光と改給ふも千歲未來をさとり給ふにや今此御光一天にかゞやきて恩澤八荒にあふれ國民安堵の栖穩かなり猶憚多くて筆をさし置ぬ あらたふと靑葉若葉の日の光 黑髮山はかすみかゝりて雪いまだ白し 剃すてゝくろかみ山に衣かへ曾良
四月一日、お山に参拝しました。昔はこのお山を二荒山(ふたらさん)と書きましたが、空海大師が開基されたときに日光とお改めになりました。千年の未来を悟っておられたのでしょうか。今、この御光は天一面に輝き、恩沢は八方に溢れて、人々が安んじて住む家々も穏やかです。それでもなお憚られることが多く、筆を置くことにします。
ああ尊い / 青葉若葉に照る日の光
黒髪山は霞がかかって、雪がまだ白く残っていました。
髪を剃り捨てて黒髪山で衣を替えます — 曾良
夾注 1
一本もナシ
異本には「も」がありません。