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南山経の首南山經之首

山海経(山と海の彼方を記した経) 山海經 · 作者未詳 · 郭璞 注 · 戦国〜前漢(注は4世紀) · 段落 10 · 漢字 1,300字 · 朗読 5.2分

山海経(山と海の彼方を記した経) 山経・南山経 山の彼方と海の外の国々を記した最も古い地理書であり、神話の蔵である。一人が作ったものではなく、戦国時代から漢まで多くの手を経てできあがり、4世紀に郭璞が注を付けた。九尾の狐、精衛、夸父、刑天、西王母はみなここから出た。「東海の内、北海の隅に国があり、その名を朝鮮という」 — 朝鮮という名が残る最も早い記録の一つがこの書にある。

南山經之首曰䧿山。其首曰招搖之山,臨於西海之上,多桂,多金玉。有草焉,其狀如韭而青華,其名曰祝餘,食之不饑。有木焉,其狀如榖而黑理,其華四照,其名曰迷穀,佩之不迷。有獸焉,其狀如禺而白耳,伏行人走,其名曰狌狌,食之善走。麗𪊨之水出焉,而西流注於海,其中多育沛,佩之無瘕疾。

南山経の最初は䧿山である。その最初の山を招搖山という。西の海を見下ろす位置にあり、桂の木が多く、金と玉が多い。ここに草があり、形はニラのようで花は青い。名を祝餘といい、これを食べれば飢えない。ここに木があり、形は榖のようで木目が黒く、その花は四方を照らす。名を迷穀といい、これを身に着ければ道に迷わない。ここに獣があり、形は禺のようで耳が白い。這って歩き、また人のように走る。名を狌狌といい、これを食べればよく走る。麗𪊨の水がここから出て、西に流れて海に入る。その水には育沛が多く、これを身に着ければ腹に虫のわく病を患わない。

夾注 10

在蜀,伏山山南之西頭,濱西海也。

蜀の地にある。伏山の南、その西の端であり、西の海に臨んでいる。

桂葉似枇杷,長二尺餘,廣數寸,味辛白花,叢生山峯。冬夏常青,間無雜木。《呂氏春秋》曰:「招搖之桂」

桂の葉はビワの葉に似ている。長さは二尺余り、幅は数寸で、味は辛く花は白い。山の峰に群がって生える。冬も夏も常に青く、その間に他の木が混じらない。『呂氏春秋』に「招搖の桂」とある。

璨曰:韭音九。《爾雅》云:「霍山亦多之」

璨がいう、韭は九と同じ音である。『爾雅』に「霍山にもこれが多い」とある。

或作桂荼

桂荼と記したものもある。

榖,楮也,皮作紙。璨曰:榖亦名構。名榖者以其實如榖也

榖は楮である。皮で紙を作る。璨がいう、榖は構ともいう。榖と名づけたのは、その実が穀物のようだからである。

言有光燄也。若木、華赤其光照地,亦此類也。見《離騷經》

光が立つという意味である。若木は花が赤く、その光が地を照らすので、これも同じ類である。『離騒経』に見える。

禺似獼猴而大赤目,長者不了此物名禺。作牛字圖,亦做牛形或作猴,皆失之也。禺字音遇,

禺は猿に似ているが大きく、目が赤い。年長の者もこの獣の名が禺であることを知らず、牛の字で描いたり、牛の姿で描いたり、猿で描いたりするので、どれも誤りである。禺の字は遇と同じ音である。

狌狌,禺獸。狀如猿,伏行交足亦此類也。見《京房易》

狌狌は禺の類の獣である。形はテナガザルのようで、這って歩き足を交えるので、これも同じ類である。『京房易』に見える。

𪊨音几

𪊨は几と同じ音である。

瘕,蟲病也。

瘕は腹に虫のわく病である。

又東三百里,曰堂庭之山,多棪木,多白猿,多水玉,多黃金。

さらに東へ三百里行くと堂庭山である。棪の木が多く、白いテナガザルが多く、水晶が多く、黄金が多い。

夾注 3

棪,別名連。其子似柰而赤,可食,音剡

棪は別名を連という。その実はリンゴのようで赤く、食べられる。剡と同じ音である。

今猿似獼猴而大臂,腳長便捷。色有黑有黃。鳴其聲哀

今のテナガザルは猿に似ているが腕が大きく、脚が長くて身軽である。色は黒いものも黄色いものもある。鳴けばその声は哀しい。

水玉,今水晶也。相如《上林賦》曰:「水玉磊砢,赤松子所服。」見《列仙傳》

水玉は今の水晶である。司馬相如の「上林賦」に「水玉が幾重にも積み重なり、赤松子が服用したものである」とある。『列仙伝』に見える。

又東三百八十里,曰猨翼之山,其中多怪獸,水多怪魚,多白玉,多腹虫,多怪蛇,多怪木,不可以上。

さらに東へ三百八十里行くと猨翼山である。その中には怪しい獣が多く、水には怪しい魚が多い。白い玉が多く、腹虫が多く、怪しい蛇が多く、怪しい木が多くて、登ることができない。

夾注 2

凡言怪者,皆謂兒狀倔奇不常也。尸子曰:「徐偃王好怪,沒深水而得怪魚,入深山而得怪獸者多列於庭。」

およそ怪しいというのは、どれもその姿が異様で尋常でないという意味である。『尸子』に「徐偃王は怪しいものを好み、深い水に入って怪しい魚を得、深い山に入って怪しい獣を得て、庭に並べたものが多かった」とある。

腹虫色如綬,文鼻,上有針。大者百餘斤,一名反鼻虫,古虺字

腹虫は色が印の組紐のようで、鼻に文様があり、上に針がある。大きいものは百余斤もあり、反鼻虫ともいう。古い虺の字である。

又東三百七十里,曰杻陽之山,其陽多赤金,其陰多白金。有獸焉,其狀如馬而白首,其文如虎而赤尾,其音如謠,其名曰鹿蜀,佩之宜子孫。怪水出焉,而東流注於憲翼之水。其中多玄龜,其狀如龜而鳥首虺尾,其名曰旋龜,其音如判木,佩之不聾,可以為底。

さらに東へ三百七十里行くと杻陽山である。日の当たる側には赤い金が多く、陰の側には白い金が多い。ここに獣があり、形は馬のようだが頭が白く、文様は虎のようで尾が赤い。その声は歌のようである。名を鹿蜀といい、これを身に着ければ子孫に恵まれる。怪水がここから出て、東に流れて憲翼の水に入る。その水には黒い亀が多く、形は亀のようだが頭は鳥のようで尾は蝮のようである。名を旋亀といい、その声は木を割る音のようである。これを身に着ければ耳が聞こえなくならず、たこを治すことができる。

夾注 7

音紐

杻は紐と同じ音である。

銀也,見《爾雅》。山南爲陽,山北爲陰

銀である。『爾雅』に見える。山の南が陽であり、山の北が陰である。

如人歌聲

人が歌う声のようである。

佩,謂帶其皮尾

身に着けるとは、その皮と尾を身に帯びるという意味である。

虺,尾銃

蝮は尾が尖っている。

如破木聲

木を割る音のようである。

底,躪也,爲猶治也。《外傳》曰:「疾不可爲。」一作底猶病愈也

底はたこである。為は治すという意味と同じである。『外伝』に「病は治すことができない」とある。「底は病が癒えるという意味と同じである」と記したものもある。

又東三百里柢山,多水,無草木。有魚焉,其狀如牛,陵居,蛇尾有翼,其羽在魼下,其音如留牛,其名曰鯥,冬死而夏生,食之無腫疾。

さらに東へ三百里行くと柢山である。水が多く、草も木もない。ここに魚があり、形は牛のようだが陸に住む。尾は蛇のようで翼があり、その羽は脇の下にある。その声は留牛のようである。名を鯥といい、冬に死んで夏に生き返る。これを食べれば腫れる病を患わない。

夾注 5

音蔕

柢は蔕と同じ音である。

亦作脅

魼は脅とも記す。

莊子曰:「執犂之狗」謂此牛也。《穆天子傳》曰:「天子之狗執虎豹」

『荘子』に「執犂の狗」とあるのは、この牛を指す。『穆天子伝』に「天子の狗が虎や豹を捕らえる」とある。

音六

鯥は六と同じ音である。

此亦蟄类也。谓之死者言其蟄,無所知如死耳。

これも冬眠する類である。死ぬといったのは、冬眠して何も知らないのが死んだのと同じだという意味に過ぎない。

又東四百里,曰亶爰之山,多水,無草木,不可以上。有獸焉,其狀如狸而有髦,其名曰類,自為牝牡,食者不妬。

さらに東へ四百里行くと亶爰山である。水が多く、草も木もなく、登ることができない。ここに獣があり、形はヤマネコのようだがたてがみがある。名を類といい、自ら雌にも雄にもなる。これを食べた者は妬まない。

夾注 4

亶音蟬

亶は蟬と同じ音である。

言崇峭也

高く険しいという意味である。

類或作沛,髦或作髮

類を沛と記したものもあり、髦を髮と記したものもある。

莊子亦曰:「類自爲雌雄而化,今貆豬亦自爲雌雄」

『荘子』にも「類は自ら雌雄となって子を生む」とある。今のアナグマも自ら雌雄となる。

又東三百里,曰基山,其陽多玉,其陰多怪木。有獸焉,其狀如羊,九尾四耳,其目在背,其名曰猼訑,佩之不畏。有鳥焉,其狀如雞而三首六目、六足三翼,其名曰𪁺𩿧,食之無臥。

さらに東へ三百里行くと基山である。日の当たる側には玉が多く、陰の側には怪しい木が多い。ここに獣があり、形は羊のようだが尾が九つ、耳が四つあり、目は背にある。名を猼訑といい、これを身に着ければ恐れを抱かない。ここに鳥があり、形は鶏のようだが頭が三つ、目が六つ、足が六つ、翼が三つある。名を𪁺𩿧といい、これを食べれば眠らなくなる。

夾注 4

愽施二音。施一作阤

愽と施の二つの音である。施を阤と記したものもある。

不知恐畏

恐れを知らない。

𪁺𩿧急性,敞孚二音

𪁺𩿧は気が短い。敞と孚の二つの音である。

使人必眠

人を必ず眠らせる。

又東三百里,曰青丘之山,其陽多玉,其陰多青雘。有獸焉,其狀如狐而九尾,其音如嬰兒,能食人;食者不蠱。有鳥焉,其狀如鳩,其音若呵,名曰灌灌,佩之不惑。英水出焉,南流注于即翼之澤。其中多赤鱬,其狀如魚而人面,其音如鴛鴦,食之不疥。

さらに東へ三百里行くと青丘山である。日の当たる側には玉が多く、陰の側には青雘が多い。ここに獣があり、形は狐のようだが尾が九つある。その声は赤子のようで、人を食う。これを食べた者は蠱にかからない。ここに鳥があり、形は鳩のようで、その声は叱る声のようである。名を灌灌といい、これを身に着ければ惑わされない。英水がここから出て、南に流れて即翼の沢に入る。その水には赤鱬が多く、形は魚のようだが顔が人である。その声はオシドリのようで、これを食べれば疥癬にかからない。

夾注 5

亦有青丘國在海外水經云。即《上林賦》云:「秋田於青丘」

青丘国もあり、海の外にあると「水経」にいう。すなわち「上林賦」に「秋に青丘で狩りをする」とあるその地である。

雘,黝屬,音瓠

雘は黒ずんだものの類である。瓠と同じ音である。

即九尾狐

すなわち九尾の狐である。

敢其肉,令人不逢妖邪之氣,或曰蠱毒

その肉を食べれば、人が妖しい邪気に出会わないようにする。蠱毒ともいう。

如人相呵呼聲

人が互いに叱り呼ぶ声のようである。

又東三百五十里,曰箕尾之山,其尾踆於東海,多沙石。汸水出焉,而南流注於淯,其中多白玉。

さらに東へ三百五十里行くと箕尾山である。その尾は東の海にうずくまっており、砂と石が多い。汸水がここから出て、南に流れて淯水に入る。その水には白い玉が多い。

夾注 3

踆,古蹲字。言臨海上音存。

踆は古い蹲の字である。海の上に臨んでいるという意味である。存と同じ音である。

音芳

汸は芳と同じ音である。

音育

淯は育と同じ音である。

凡䧿山之首,自招搖之山,以至箕尾之山,凡十山,二千九百五十里。其神狀皆鳥身而龍首,其祠之禮毛:用一璋玉瘞,糈用稌米,一璧,稻米、白菅為席。

およそ䧿山の最初は、招搖山から箕尾山まで、合わせて十の山、二千九百五十里である。その神々はどれも鳥の体に龍の頭の姿をしている。これを祀る礼では、毛色の整った生贄を用いる。璋玉一つを埋め、供米にはもち米を用い、璧玉一つにうるち米を添え、白い菅を敷物とする。

夾注 4

言擇牲怪其毛色也。《周官》曰:「陽祀用騂牲之毛」

生贄を選ぶにあたり、その毛色を見分けるという意味である。『周官』に「陽祀には赤い生贄の毛を用いる」とある。

半珪爲璋,瘞埋也。

珪を半分にしたものが璋である。瘞は埋めるという意味である。

糈,祀神之米,名先呂反。今江東音所一音壻。稌,稌稻也,他覩反。糈或作疏非也

糈は神に供える米である。先と呂の反切である。今、江東では所と読み、壻と読むこともある。稌はもち米である。他と覩の反切である。糈を疏と記したものもあるが誤りである。

菅,茅屬也。音間

菅は茅の類である。間と同じ音である。