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北山経 第一北山經之首

山海経(山と海の彼方を記した経) 山海經 · 作者未詳 · 郭璞 注 · 戦国〜前漢(注は4世紀) · 段落 26 · 漢字 1,548字 · 朗読 6.2分

山海経(山と海の彼方を記した経) 山経・北山経 山の彼方と海の外の国々を記した最も古い地理書であり、神話の蔵である。一人が作ったものではなく、戦国時代から漢まで多くの手を経てできあがり、4世紀に郭璞が注を付けた。九尾の狐、精衛、夸父、刑天、西王母はみなここから出た。「東海の内、北海の隅に国があり、その名を朝鮮という」 — 朝鮮という名が残る最も早い記録の一つがこの書にある。

北山經之首,曰單狐之山,多机木,其上多華草。漨水出焉,而西流注于泑水,其中多茈石文石。

北山経の初めは単狐山である。机の木が多く、その上には華草が多い。漨水がここから出て、西へ流れて泑水に注ぐ。その水には茈石や文の入った石が多い。

又北二百五十里,曰求如之山,其上多銅,其下多玉,無草木。滑水出焉,而西流注于諸毗之水。其中多滑魚。其狀如鱓,赤背,其音如梧,食之已疣。其中多水馬,其狀如馬,文臂牛尾,其音如呼。

さらに北へ二百五十里行くと求如山である。その上には銅が多く、その下には玉が多く、草木がない。滑水がここから出て、西へ流れて諸毗の水に注ぐ。その水には滑魚が多く、形はたうなぎのようで背が赤い。その声は桐を打つ音のようで、これを食べるといぼが治る。その水には水馬が多く、形は馬のようで前足に文があり、尾は牛である。その声は人が呼ぶ声のようである。

又北三百里,曰帶山,其上多玉,其下多青碧。有獸焉,其狀如馬,一角有錯,其名曰䑏疏,可以辟火。有鳥焉,其狀如烏,五采而赤文,名曰鵸䳜,是自爲牝牡,食之不疽。彭水出焉,而西流注于芘湖之水,其中多儵魚,其狀如鶏而赤毛,三尾六足四首,其音如鵲,食之可以已憂。

さらに北へ三百里行くと帯山である。その上には玉が多く、その下には青碧が多い。ここに獣がいて、形は馬のようで角が一つあり、そこに筋が引かれている。名を䑏疏といい、火を避けることができる。ここに鳥がいて、形は烏のようで五色に赤い文がある。名を鵸䳜といい、自ら雌雄となる。これを食べると悪瘡ができない。彭水がここから出て、西へ流れて芘湖の水に注ぐ。その水には儵魚が多く、形は鶏のようで毛が赤く、尾が三つ、足が六つ、頭が四つである。その声はかささぎのようで、これを食べると憂いを払うことができる。

又北四百里,曰譙明之山。譙水出焉,西流注于河。其中多何羅之魚,一首而十身,其音如吠犬,食之已癰。有獸焉,其狀如貆而赤豪,其音如榴榴,名曰孟槐,可以禦凶。是山也,無草木,多青雄黃。

さらに北へ四百里行くと譙明山である。譙水がここから出て、西へ流れて黄河に注ぐ。その水には何羅の魚が多く、頭が一つで体が十ある。その声は犬の吠える声のようで、これを食べると腫れものが治る。ここに獣がいて、形はむじなのようで赤い剛毛が生えている。その声は榴榴のようで、名を孟槐といい、凶なるものを防ぐことができる。この山には草木がなく、青雄黄が多い。

又北三百五十里,曰涿光之山。嚻水出焉,而西流注于河。其中多鰼鰼之魚,其狀如鵲而十翼,鱗皆在羽端,其音如鵲,可以禦火,食之不癉。其上多松柏,其下多椶枏,其獸多麢羊,其鳥多蕃。

さらに北へ三百五十里行くと涿光山である。嚻水がここから出て、西へ流れて黄河に注ぐ。その水には鰼鰼の魚が多く、形はかささぎのようで翼が十ある。鱗はみな羽の先にあり、その声はかささぎのようである。火を防ぐことができ、これを食べると黄疸にならない。その上には松と柏が多く、その下にはしゅろと楠が多い。その獣は羚羊が多く、その鳥は蕃が多い。

又北三百八十里,曰虢山,其上多漆,其下多桐椐。其陽多玉,其陰多鐵。伊水出焉,西流注于河。其獸多橐駝,其鳥多寓,狀如鼠而鳥翼,其音如羊,可以禦兵。

さらに北へ三百八十里行くと虢山である。その上にはうるしが多く、その下には桐と椐が多い。その陽には玉が多く、その陰には鉄が多い。伊水がここから出て、西へ流れて黄河に注ぐ。その獣はらくだが多く、その鳥は寓が多く、形は鼠のようで翼は鳥である。その声は羊のようで、兵器を防ぐことができる。

又北四百里,至于虢山之尾,其上多玉而無石。魚水出焉,西流注于河,其中多文貝。

さらに北へ四百里行くと虢山の尾に至る。その上には玉が多く、石がない。魚水がここから出て、西へ流れて黄河に注ぐ。その水には文の入った貝が多い。

又北二百里,曰丹熏之山,其上多樗柏,其草多韭䪥,多丹雘。熏水出焉,而西流注于棠水。有獸焉,其狀如鼠,而菟首麋身,其音如獆犬,以其尾飛,名曰耳鼠,食之不䐆,又可以禦百毒。

さらに北へ二百里行くと丹熏山である。その上にはにわうるしと柏が多く、その草はにらとらっきょうが多く、丹雘が多い。熏水がここから出て、西へ流れて棠水に注ぐ。ここに獣がいて、形は鼠のようで、頭は兎、体は麋である。その声は犬の吠える声のようで、尾で飛ぶ。名を耳鼠といい、これを食べると腹が張らず、また百の毒を防ぐことができる。

又北二百八十里,曰石者之山,其上無草木,多瑤碧。泚水出焉,西流注于河。有獸焉,其狀如豹,而文題白身,名曰孟極,是善伏,其鳴自呼。

さらに北へ二百八十里行くと石者山である。その上には草木がなく、瑤と碧が多い。泚水がここから出て、西へ流れて黄河に注ぐ。ここに獣がいて、形は豹のようで額に文があり、体が白い。名を孟極といい、伏せて隠れるのが上手である。その鳴く声は自分の名を呼ぶものである。

又北百一十里,曰邊春之山,多蔥、葵、韭、桃、李。杠水出焉,而西流注于泑澤。有獸焉,其狀如禺而文身,善笑,見人則臥,名曰幽鴳,其鳴自呼。

さらに北へ百十里行くと辺春山である。ねぎとあおい、にら、桃、李が多い。杠水がここから出て、西へ流れて泑沢に注ぐ。ここに獣がいて、形はさるのようで体に文がある。よく笑い、人を見ると寝そべる。名を幽鴳といい、その鳴く声は自分の名を呼ぶものである。

又北二百里,曰蔓聯之山,其上無草木,有獸焉,其狀如禺而有鬛,牛尾、文臂、馬蹏,見人則呼,名曰足訾,其鳴自呼。有鳥焉,群居而朋飛,其毛如雌雉,名曰鵁,其鳴自呼,食之已風。

さらに北へ二百里行くと蔓聯山である。その上には草木がない。ここに獣がいて、形はさるのようでたてがみがあり、尾は牛、前足に文があり、蹄は馬である。人を見ると呼び、名を足訾という。その鳴く声は自分の名を呼ぶものである。ここに鳥がいて、群れて住み、連れ立って飛ぶ。その毛は雌の雉のようで、名を鵁という。その鳴く声は自分の名を呼ぶものであり、これを食べると風の病が治る。

又北百八十里,曰單張之山,其上無草木。有獸焉,其狀如豹而長尾,人首而牛耳,一目,名曰諸犍,善吒,行則銜其尾。居則蟠其尾。有鳥焉,其狀如雉,而文首、白翼、黃足,名曰白鵺,食之已嗌痛,可以已痸。櫟水出焉,在而南流注于杠水。

さらに北へ百八十里行くと単張山である。その上には草木がない。ここに獣がいて、形は豹のようで尾が長く、頭は人、耳は牛、目は一つである。名を諸犍といい、よく叫ぶ。歩くときはその尾をくわえ、座るときはその尾を巻く。ここに鳥がいて、形は雉のようで頭に文があり、翼が白く、足が黄色い。名を白鵺といい、これを食べると喉の痛みが治り、小児の引きつけを治すことができる。櫟水がここから出て、南へ流れて杠水に注ぐ。

又北三百二十里,曰灌題之山,其上多樗柘,其下多流沙,多砥。有獸焉,其狀如牛而白尾,其音如訆,名曰那父。有鳥焉,其狀如雌雉而人面,見人則躍,名曰竦斯,其鳴自呼也。匠韓之水出焉,而西流注于泑澤,其中多磁石。

さらに北へ三百二十里行くと灌題山である。その上にはにわうるしとやまぐわが多く、その下には流砂が多く、砥石が多い。ここに獣がいて、形は牛のようで尾が白い。その声は叫ぶ声のようで、名を那父という。ここに鳥がいて、形は雌の雉のようで顔が人である。人を見ると跳び、名を竦斯という。その鳴く声は自分の名を呼ぶものである。匠韓の水がここから出て、西へ流れて泑沢に注ぐ。その水には磁石が多い。

又北二百里,曰潘侯之山,其上多松柏,其下多榛楛,其陽多玉,其陰多鐵。有獸焉,其狀如牛,而四節生毛,或曰旄牛。邊水出焉,而南流注于櫟澤。

さらに北へ二百里行くと潘侯山である。その上には松と柏が多く、その下にははしばみと楛が多い。その陽には玉が多く、その陰には鉄が多い。ここに獣がいて、形は牛のようで、四つの節に毛が生えている。あるいはヤクともいう。辺水がここから出て、南へ流れて櫟沢に注ぐ。

又北二百三十里,曰小咸之山,無草木,冬夏有雪。

さらに北へ二百三十里行くと小咸山である。草木がなく、冬も夏も雪がある。

北二百八十里,曰大咸之山,無草木,其下多玉。是山也,四方,不可以上。有蛇名曰長蛇,其毛如彘豪,其音如鼓柝。

北へ二百八十里行くと大咸山である。草木がなく、その下には玉が多い。この山は四角で、登ることができない。蛇がいて、名を長蛇という。その毛は豚の剛毛のようで、その声は拍子木を打つ音のようである。

又北三百二十里,曰敦薨之山,其上多椶枏,其下多茈草。敦薨之水出焉,而西流注于泑澤。出于昆侖之東北隅,實惟河原。其中多赤鮭,其獸多兕,旄牛,其鳥多鳲鳩。

さらに北へ三百二十里行くと敦薨山である。その上にはしゅろと楠が多く、その下には茈草が多い。敦薨の水がここから出て、西へ流れて泑沢に注ぐ。この水は崑崙の東北の隅から出るもので、まことに黄河の源である。その水には赤い鮭が多く、その獣は兕とヤクが多く、その鳥はかっこうが多い。

又北二百里,曰少咸之山,無草木,多青碧。有獸焉,其狀如牛,而赤身、人面、馬足,名曰窫窳,其音如嬰兒,是食人。敦水出焉,東流注于鴈門之水,其中多䰽䰽之魚。食之殺人。

さらに北へ二百里行くと少咸山である。草木がなく、青碧が多い。ここに獣がいて、形は牛のようで体が赤く、顔は人、足は馬である。名を窫窳といい、その声は赤子のようで、人を食う。敦水がここから出て、東へ流れて鴈門の水に注ぐ。その水には䰽䰽の魚が多く、これを食べると人が死ぬ。

又北二百里,曰嶽法之山。瀤澤之水出焉,而東北流注于泰澤。其中多抄魚,其狀如鯉而雞足,食之已疣。有獸焉,其狀如犬而人面,善投,見人則笑,其名山𤟤,其行如風,見則天下大風。

さらに北へ二百里行くと嶽法山である。瀤沢の水がここから出て、東北へ流れて泰沢に注ぐ。その水には抄魚が多く、形はこいのようで足が鶏である。これを食べるといぼが治る。ここに獣がいて、形は犬のようで顔が人である。よく物を投げ、人を見ると笑う。その名を山𤟤といい、歩くのが風のようである。これが現れると天下に大風が吹く。

又北二百里,曰北嶽之山,多枳棘剛木。有獸焉,其狀如牛,而四角、人目、彘耳,其名曰諸懷,其音如鳴鴈,是食人。諸懷之水出焉,而西流注于嚻水,其中多鮨魚,魚身而犬首,其音如嬰兒,食之已狂。

さらに北へ二百里行くと北嶽山である。からたちといばら、堅い木が多い。ここに獣がいて、形は牛のようで角が四つ、目は人、耳は豚である。その名を諸懐といい、その声は雁の鳴く声のようで、人を食う。諸懐の水がここから出て、西へ流れて嚻水に注ぐ。その水には鮨魚が多く、体は魚で頭は犬であり、その声は赤子のようである。これを食べると狂気が治る。

又北百八十里,曰渾夕之山,無草木,多銅玉。嚻水出焉,而西北流注于海。有蛇一首兩身,名曰肥遺,見則其國大旱。

さらに北へ百八十里行くと渾夕山である。草木がなく、銅と玉が多い。嚻水がここから出て、西北へ流れて海に注ぐ。蛇がいて、頭が一つで体が二つである。名を肥遺といい、これが現れるとその国に大きな旱が起こる。

又北五十里,曰北單之山,無草木,多蔥韭。

さらに北へ五十里行くと北単山である。草木がなく、ねぎとにらが多い。

又北百里,曰羆差之山,無草木,多馬。

さらに北へ百里行くと羆差山である。草木がなく、馬が多い。

又北百八十里,曰北鮮之山,是多馬。鮮水出焉,而西北流注于涂吾之水。

さらに北へ百八十里行くと北鮮山である。ここには馬が多い。鮮水がここから出て、西北へ流れて涂吾の水に注ぐ。

又北百七十里,曰隄山,多馬。有獸焉,其狀如豹而文首,名曰狕。隄水出焉,而東流注于泰澤,其中多龍龜。

さらに北へ百七十里行くと隄山である。馬が多い。ここに獣がいて、形は豹のようで頭に文がある。名を狕という。隄水がここから出て、東へ流れて泰沢に注ぐ。その水には龍亀が多い。

凡北山經之首,自單狐之山至于隄山,凡二十五山,五千四百九十里,其神皆人面蛇身。其祠之,毛用一雄雞彘瘞,吉玉用一珪,瘞而為不糈。其山北人,皆生食不火之物。

およそ北山経の初めは単狐山から隄山まで、全部で二十五の山、五千四百九十里である。その神はみな顔が人で体が蛇である。これを祭るときは、毛の揃った雄鶏と豚を埋め、吉玉には珪一つを用いる。埋めるが、供えの米は用いない。その山の北の人々は、みな火を通さないものを生で食べる。