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景文大王

三国遺事(三国時代の遺聞集) 三國遺事 · 一然(イリョン) · 1281年(高麗・忠烈王7年) · 段落 5 · 漢字 610字 · 朗読 2.4分

三国遺事(三国時代の遺聞集) 紀異 第2 高麗の僧・一然が編んだ三国時代の説話集。正史が捨てた話を集めている。檀君神話を載せる最も古い書物である。

1美しい行いの者を三人見ました

四十八景文大王王諱膺廉,年十八爲國仙.至扵弱冠,憲安大王召郎宴扵殿中,問曰“郎爲國仙優遊四方見何異事.”郎曰“臣見有羙行者三.”王曰“請聞其說.”郎曰“有人爲人上者而撝謙坐扵人下其一也,有人豪富而衣儉易其二也,有人本貴勢而不用其威者三也.”王聞其言而知其賢,不覺墮淚而謂曰,“朕有二女,請以奉巾櫛.”郎避席而拜之稽首而退.告扵父母,父母驚喜㑹其子弟議曰,“王之上公主皃甚寒寢,第二公主甚羙,娶之幸矣.”

第四十八代景文大王は諱が膺廉で、十八歳で国仙となった。

二十歳になったとき、憲安大王が郎を招いて宮殿の中で宴を開き、尋ねた。

「郎は国仙となって四方を巡り遊んだが、どのような並でない事を見たか。」

郎は言った。「臣は美しい行いを持つ者を三人見ました。」

王は言った。「その話を聞きたい。」

郎は言った。

「ある者は人の上の位にありながら、謙って人の下に座ります。それが一つ。

ある者はたいそう富んでいながら、衣を質素に着ています。それが二つ。

ある者はもともと貴く力がありながら、その威を使いません。それが三つです。」

王はその言葉を聞いて賢さを知り、思わず涙を流して言った。

「わたしには二人の娘がいる。どうかそなたの妻にさせたい。」

郎は席を離れて拝し、頭を地につけて退いた。

父母に告げると、父母は驚き喜んで、その子弟を集めて相談した。

「王の長公主は顔がひどく貧相で、第二公主がとても美しいので、その人を迎えるのが幸いだ。」

2姉を迎えれば三つの美しいことがある

郎之徒上首範教師者聞之,至扵家問郎曰,“大王欲以公主妻公信乎.”郎曰“然.”曰“奚娶”郎曰“二親命我冝弟.”師曰“郎若娶弟則予必死扵郎之面前,娶其兄則必有三羙,誡之㦲.”郎曰“聞命矣.”旣而王擇辰而使扵郎曰,“二女惟公所命.”使歸以郎意奏曰,“奉長公主爾.”旣而過三朔,王疾革召群臣曰,“朕無男孫,窀穸之事冝長女之夫膺廉継之.”翌日王崩,郎奉遺詔即位.扵是範教師詣扵王曰,“吾所陳三羙者今皆著矣.娶長故今登位一也,昔之欽艶第主今易可取二也,娶兄故王與夫人喜甚三也.”王徳其言,爵為大徳賜金一百三十两.王崩謚曰景文.

郎の一党の長である範教師がこれを聞き、家に至って郎に尋ねた。

「大王が公主を公の妻にされようとしているというのは本当ですか。」

郎は「そうだ」と言った。

「どちらを迎えられますか。」

郎は言った。「両親はわたしに妹がふさわしいと言われた。」

範教師は言った。「郎がもし妹を迎えられるなら、わたしは必ず郎の目の前で死にましょう。その姉を迎えられれば、必ず三つの美しいことがあります。心されますように。」

郎は「命を聞いた」と言った。

やがて王は日を選んで郎に人を遣わし、こう言った。「二人の娘のうち、ただ公の言うとおりにしよう。」

使いが帰って郎の意を申し上げた。「長公主をお受けするとのことです。」

三か月が過ぎ、王の病が重くなって、臣下たちを呼んで言った。

「わたしには男の孫がない。後の事は長女の夫の膺廉が継ぐようにせよ。」

翌日王が世を去り、郎は遺された詔を奉じて即位した。

そこで範教師が王のもとに進み出て言った。

「わたしが申し上げた三つの美しいことは、今すべて現れました。姉を迎えられたので今王位に登られたのが一つ、以前に慕っておられた第二公主を今は容易に得られるのが二つ、姉を迎えられたので王と夫人がたいそう喜ばれたのが三つです。」

王はその言葉をありがたく思い、大徳の位を授け、金百三十両を下賜した。

王が世を去ると、諡を景文とした。

3蛇がいないと眠れない

王之寢殿每日暮無數衆虵俱集.宫人驚怖将驅遣之,王曰“寡人若無虵不得安寢,冝無禁.”每寢吐舌滿胷鋪之.

王の寝殿には毎日日が暮れると、数知れぬ蛇がみな集まった。

宮人は驚き恐れて追い出そうとしたが、王は言った。

「わたしは蛇がいないと安らかに眠れないので、妨げてはならない。」

眠るたびに蛇たちは舌を出し、胸いっぱいに敷き広がった。

4わが君の耳は驢馬の耳のようだ

乃登位,王耳忽長如驢耳.王后及宫人皆未知,唯幞頭匠一人知之.然生平不向人說,其人将死,入道林寺竹林中無人處,向竹唱云,“吾君耳如驢耳.”其後風吹則竹聲云,“吾君耳如驢耳.”王惡之,乃伐竹而植山菜萸,風吹則但聲云,“吾君耳長.”〔道林寺舊在入都林邊.〕

王位に登ると、王の耳が突然驢馬の耳のように長くなった。

王后も宮人もみな知らず、ただ幞頭を作る職人一人だけが知っていた。

しかし一生の間、人に話さずにいたが、その人が死ぬ間際に、道林寺の竹林の中の人のいない所に入り、竹に向かって叫んだ。

「わが君の耳は驢馬の耳のようだ。」

その後、風が吹くと竹の音が「わが君の耳は驢馬の耳のようだ」と言った。

王はそれを嫌って、そこで竹を切り、山茱萸を植えた。

風が吹くと、ただ「わが君の耳は長い」という音だけがした。〔道林寺は昔、入都林のほとりにあった。〕

夾注 1

道林寺舊在入都林邊.

道林寺は昔、入都林のほとりにあった。

5花郎たちが作った三つの歌

國仙邀元郎·譽昕郎·桂元·叔宗郎等逰覽金蘭,暗有為君主理邦國之意.乃作歌三首,使心弼舎知授針卷,送火炬和尚處令作三歌,初名玄琴抱曲,第二大道曲,第三問羣曲.入奏扵王,王大喜稱賞.歌未詳.

国仙の邀元郎・譽昕郎・桂元・叔宗郎らが金蘭を巡り遊びながら、密かに君主のために国を治めようという志を持っていた。

そこで歌三首を作り、心弼舎知に針巻を授けて、火炬和尚のいる所に送り、三つの歌を作らせた。

一つめは「玄琴抱曲」、二つめは「大道曲」、三つめは「問群曲」といった。

入って王に申し上げると、王は大いに喜んで称え、賞を与えた。

歌は詳しくは分からない。

夾注 1

「針巻」は底本の字がそうであるだけで、意味がはっきりしない。 ― 訳者