真聖女大王と居陀知眞聖女大王·居陀知
1道の上に投げられた文
真聖女大王居陁知第五十一真聖女王臨朝有年,乳母鳬好夫人與其夫魏弘匝干等三·四寵臣擅權撓政,盗賊蜂起.國人患之,乃作陁羅尼隠語書投路上.王與權臣䓁得之,謂曰“此非王居仁,誰作此文.”乃囚居仁扵獄.居仁作詩訴于天,天乃震其獄囚以免之.詩曰.燕丹泣血虹穿日,鄒衍含悲夏落霜.今我失途還似舊,皇天何事不垂祥.陁羅尼曰,“南無亡國刹尼那帝判尼判尼蘇判尼于干三阿干鳬伊裟婆訶.”說者云,“刹尼那帝者言女主也,判尼判尼蘇判尼者言二蘇判也,蘇判爵名,于于三阿十也,鳧伊者言鳬好也.”
真聖女大王と居陀知。
第五十一代真聖女王が朝廷に臨んで数年、乳母の鳬好夫人とその夫の魏弘匝干ら三、四人の寵臣が権勢を振るって政を乱したので、盗賊が蜂のように起こった。
国の人々はこれを憂え、そこで陀羅尼の隠し言葉で文を作り、道の上に投げた。
王と権勢ある臣下たちがそれを手に入れて言った。「王居仁でなければ、誰がこの文を作ったであろうか。」
そこで居仁を牢に閉じ込めた。
居仁が詩を作って天に訴えると、天はその牢に雷を落として、囚われた者を放った。
詩はこうである。
燕の太子丹が血の涙を流すと虹が日を貫き 鄒衍が悲しみを含むと夏に霜が降りた。 いま私が道を失ったのは、かえって昔と同じなのに 天はどういうわけで瑞祥を垂れないのか。
陀羅尼はこうである。
「南無亡国 刹尼那帝 判尼判尼 蘇判尼 于干三阿干 鳬伊 裟婆訶。」
説く者が言うには、「『刹尼那帝』は女の主を言い、『判尼判尼 蘇判尼』は二人の蘇判を言う。蘇判は官の名である。『于干三阿干』は十を言い、『鳬伊』は鳬好を言う」ということである。
2木片を水に入れて籤を引く
此王代阿飧良貝王之季子也.奉使扵唐,聞百濟海賊梗扵津鳬,選弓士五十人隨之.舡次鵠島〔鄕云骨大島〕,風濤大作信宿俠旬.公患之,使人卜之,曰“島有神池,祭之可矣.”扵是具奠扵池上,池水湧髙丈餘.夜夢有老人謂公曰,“善射一人留此島中,可得便風.”公覺而以事諮於左右曰,“留誰可矣.”衆人曰“冝以木簡五十片書我軰名,沉水而鬮之.”公從之.軍士有居陁知者名沉水中,乃留其人,便風忽起舡進無滯.
この王の代、阿飡の良貝は王の末の子であった。
唐へ使いに行くことになり、百済の海賊が渡し場を塞いでいると聞いて、弓の上手な者五十人を選んで従わせた。
船が鵠島に〔土地の言葉で骨大島という。〕留まったが、風と波が大いに起こって、十日あまり泊まった。
公は憂えて人に占わせると、こう言った。「島に神なる池がありますので、祭ればよいでしょう。」
そこで供え物を整えて池のほとりに供えると、池の水が一丈あまり湧き上がった。
夜、夢に老人が現れて公に言った。「弓の上手な者を一人この島に残せば、順風を得られるだろう。」
公は目覚めてその事を左右の者と相談して言った。「誰を残せばよいか。」
一同は言った。「木片五十枚にわたしたちの名を書いて、水に入れて籤を引かれるのがよいでしょう。」
公はその通りにした。
兵士の中に居陀知という者の名が水に沈んだので、そこでその人を残すと、順風が突然起こって、船は滞りなく進んだ。
夾注 1
鄕云骨大島
土地の言葉で骨大島という。
3沙弥が老いた狐に変わる
居陁愁立島嶼,忽有老人從池而出謂曰,“我是西海若.每一沙弥日出之時從天而降,誦陁羅尼三繞此池,我之夫婦子孫皆浮水上,沙弥取吾子孫肝腸食之盡矣,唯存吾夫婦與一女爾.來朝又必來,請君射之.”居陁曰“弓矢之事吾所長也,聞命矣.”老人謝之而没,居陁隠㐲而待.明日扶喿旣暾,沙弥果來誦呪如前,欲取老龍肝.時居陁射之,中沙弥即變老狐,墜地而斃.扵是老人出而謝曰,“受公之賜.全我性命,請以女子妻之.”居陁曰,“見賜不遺固所願也.”老人以其女變作一枝花納之懷中,仍命二龍捧居陁趂及使舡,仍護其舡入扵唐.境唐人見新羅舡有二龍負之,具事上聞,帝曰“新羅之使必非常人.”賜宴坐扵羣臣之上,厚以金帛遺之.旣还國居陁出花枝,變女同居焉.
居陀知が憂いながら島に立っていると、突然老人が池から出てきて言った。
「わたしは西の海の神である。毎日、一人の沙弥が日の出るとき天から降りてきて、陀羅尼を唱えてこの池を三度巡る。すると、わたしの夫婦と子孫がみな水の上に浮かび上がる。
沙弥はわたしの子孫の肝と腸を取って食べ尽くし、ただわたしたち夫婦と娘一人だけが残っているばかりだ。
明日の朝もまた必ず来るだろうから、あなたに射てほしいと頼みたい。」
居陀知は言った。「弓矢の事はわたしの得意とするところです。命を聞きました。」
老人は礼を言って消え、居陀知は隠れて伏せて待った。
翌日、日がすでに昇ると、沙弥は果たして来て、前のように呪を唱え、老いた龍の肝を取ろうとした。
そのとき居陀知が射ると、沙弥に当たり、たちまち老いた狐に変わって地に落ちて死んだ。
そこで老人が出てきて礼を言った。「公の恵みを受けて、わたしの命を全うできた。どうか娘を妻にしてほしい。」
居陀知は言った。「お与えくださって捨てられないとは、まことに願っていたことです。」
老人はその娘を一枝の花に変えて懐の中に入れてやり、そのうえで二匹の龍に命じて居陀知を奉じて使者の船に追いつかせ、その船を守って唐に入らせた。
唐の人が新羅の船を二匹の龍が背負っているのを見て、事の次第をすべて申し上げると、帝は言った。「新羅の使者は必ず並の人ではない。」
宴を設けて臣下たちの上に座らせ、金と絹を厚く与えた。
国に帰った後、居陀知が花の枝を取り出すと、女に変わって、ともに暮らした。