茂羅三部盧国茂羅三部盧國
茂羅三部盧國周四千餘里,國大都城周三十餘里。居人殷盛,家室富繞。役屬磔迦國。土田良沃,氣序調順。風俗質直,好學尚德。多事天神,少信佛法。伽藍十餘所,多已圮壞,少有僧徒,學無專習。天祠八所,異道雜居。
茂羅三部盧国は周り四千余里である。国の大都城は周り三十余里である。居る人は殷んに盛んで、家々が富み饒かである。磔迦国に役われ属している。土も田も良く沃えて、気候は調い順しい。風俗は質しく直く、学を好み徳を尚ぶ。多く天の神に事え、仏法を信じる者は少ない。伽藍は十余ヶ所あるが、多くはすでに圮れ壊れており、僧徒は少ししかなく、学に専ら習うところがない。天祠は八ヶ所、異道の者が雑じり住む。
夾注 1
底本は「家室富繞」であるが、繞では意味が立たず、「富饒」の誤りと見て「家々が富み饒かである」と改めて読んだ。 ― 訳者
2黄金で鋳た日天
有日天祠,莊嚴甚麗。其日天像鑄以黃金,飾以奇寶。靈鑒幽通,神功潛被,女樂遞奏,明炬繼日,香花供養,初無廢絕。五印度國諸王豪族,莫不於此舍施珍寶,建立福舍,以飲食醫藥給濟貧病。諸國之人來此求願,常有千數。天祠四周,池沼花林,甚可遊賞。
日天の祠があり、荘りも厳りもはなはだ麗しい。その日天の像は黄金で鋳て、奇しい宝で飾っている。霊しい鑒らしが幽かに通い、神しい功が潜かに被い、女の楽が遞り奏でられ、明るい炬が日に継ぎ、香と花の供養が、初めから廃れ絶えることがない。五つのインドの国の諸々の王や豪族は、ここに珍しい宝を舍て施し、福の舍を建て立てて、飲み食いと医薬で貧しい者や病む者を給け済わないことがない。諸々の国の人がここに来て願を求めるのが、つねに千を数える。天祠の四周には、池も沼も花も林もあって、たいそう遊び賞でるに足りる。
從此東北行七百餘里,至缽伐多國。
ここから東北へ七百余里行くと、缽伐多国に至る。
夾注 1
北印度境。
北インドの境である。