于闐国の行像
1于闐 — 家ごとに門前の塔
在道一月五日,得到于闐。其國豐樂,人民殷盛,盡皆奉法,以法樂相娛。衆僧乃數萬人,多大乘學,皆有衆食。彼國人民星居,家家門前皆起小塔,最小者可高二丈許。作四方僧房,供給客僧及餘所須。國主安堵法顯等於僧伽藍。僧伽藍名瞿摩帝,是大乘寺,三千僧共犍槌食。入食堂時,威儀齊肅,次第而坐,一切寂然,器鉢無聲。淨人益食不得相喚,但以手指麾。
道中一月五日を経て、于闐に至った。その国は豊かで楽しく、人民は多くて栄え、みな仏法を奉じて、法の楽しみをもって互いに楽しんでいる。僧は数万人にのぼり、多くは大乗を学び、みな衆僧のための食が備えられている。その国の人民は星のように散らばって住み、家ごとに門前に小さな塔を建てていて、最も小さいものでも高さが二丈ほどある。四方僧房を造って、客僧やそのほか必要なものを供給する。国主は法顕らを僧伽藍に落ち着かせた。僧伽藍の名は瞿摩帝で、大乗の寺であり、三千の僧が犍槌の音に合わせてともに食事をする。食堂に入るときは威儀が整って厳かで、順序どおりに座り、一切が静まって、器や鉢の音もしない。浄人が食を加えるときも互いに声をかけることができず、ただ手で指し示すだけである。
2行像を見るために三月とどまる
慧景、道整、慧達先發,向竭叉國。法顯等欲觀行像,停三月日。
慧景・道整・慧達は先に発って、竭叉国へ向かった。法顕らは行像を見ようとして、三月とどまった。
3行像 — 王が裸足で仏像を迎える
其國中十四大僧伽藍,不數小者。從四月一日,城裏便掃灑道路,莊嚴巷陌。其城門上張大幃幕,事事嚴餝,王及夫人、采女皆住其中。瞿摩帝僧是大乘學,王所敬重,最先行像。離城三四里,作四輪像車,高三丈餘,狀如行殿,七寶莊校,懸繒幡蓋。像立車中,二菩薩侍,作諸天侍從,皆以金銀彫瑩,懸於虛空。像去門百步,王脫天冠,易著新衣,徒跣持華香,翼從出城迎像,頭面禮足,散華燒香。像入城時,門樓上夫人、采女遙散衆華,紛紛而下。如是莊嚴供具,車車各異。一僧伽藍則一日行像。自月一日爲始,至十四日行像乃訖。行像訖,王及夫人乃還宮耳。
その国には大きな僧伽藍が十四あり、小さなものは数に入れない。四月一日から、城内では道を掃いて水をまき、街路を飾り立てる。その城門の上には大きな帷幕を張り、事ごとに飾りを整えて、王と夫人・采女がみなその中にいる。瞿摩帝の僧は大乗を学び、王が敬い重んじるので、最も先に行像を行う。城から三、四里離れた所で四輪の像車を造る。高さは三丈あまりで、形は動く宮殿のようであり、七宝で飾り、絹の幡と天蓋を懸けてある。仏像が車の中に立ち、二体の菩薩が侍り、諸天の侍従をつくって、みな金銀で彫り磨き、虚空に懸けている。像が門から百歩のところに来ると、王は天冠を脱ぎ、新しい衣に着替え、裸足で花と香を持ち、供を従えて城を出て像を迎え、頭を地につけて足に礼拝し、花を散らし香を焚く。像が城に入るときは、門楼の上の夫人・采女が遠くから数々の花を散らし、ひらひらと降りそそぐ。このような荘厳な供養の具が、車ごとにそれぞれ違う。一つの僧伽藍が一日ずつ行像を行うので、一日に始まって、十四日になってようやく行像が終わる。行像が終わると、王と夫人は宮に帰るのである。
4王新寺
其城西七八里有僧伽藍,名王新寺。作來八十年,經三王方成。可高二十五丈,彫文刻鏤,金銀覆上,衆寶合成。塔後作佛堂,莊嚴妙好,梁柱、戶扇、䆫牖,皆以金薄。別作僧房,亦嚴麗整餝,非言可盡。
その城の西七、八里に王新寺という僧伽藍がある。造りはじめてから八十年、三代の王を経てようやく成った。高さは二十五丈ほどで、文様を彫り刻み、金銀を上に覆い、数々の宝を合わせて造ってある。塔の後ろに仏堂を造ってあり、荘厳で妙にうつくしく、梁と柱、扉、窓はみな金箔である。別に僧房を造っており、これもまた厳かに麗しく整え飾られていて、言葉で尽くせるものではない。
5六国の王の供養
嶺東六國諸王,所有上價寶物,多作供養,人用者少。
葱嶺の東の六国の王たちは、持っている高価な宝物の多くを供養に捧げるので、人が使うものは少ない。
6僧韶が罽賓へ向かう
既過四月行像,僧韶一人,隨胡道人向罽賓。
四月の行像が過ぎると、僧韶が一人、胡の道人に従って罽賓へ向かった。