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第43章 — 遍用徧用

道徳経(道と徳を説く経典) 道德經 · 老子、注釈 王弼・河上公 · 紀元前4〜3世紀(王弼の注は3世紀) · 段落 3 · 漢字 39字 · 朗読 0.2分

道徳経(道と徳を説く経典) 徳経 八十一章、五千字。墓から出た帛書本は今日用いる版本と字が異なり、同じ句をめぐって読みの分かれる箇所が多い。王弼は哲学として、河上公は治めと養生として読む。

1もっとも柔らかいものがもっとも硬いものを駆りまわす

天下之至柔,馳騁天下之至堅。

天下でもっとも柔らかいものが、天下でもっとも硬いものを駆りまわす。

注 2
王弼

氣無所不入,水無所不出於經。

気は入らないところがなく、水はその通り道のどこからでも出てくる。

河上公

至柔者,水也。至堅者,金石也。水能貫堅入剛,無所不通。

もっとも柔らかいものは水である。もっとも硬いものは金属と石である。水は硬いものを貫き剛いものに入り込んで、通らないところがない。

2無が隙のないところへ入る

無有入無間,吾是以知無為之有益。

無が隙のないところへ入る。わたしはこれによって、何も為さないことの利を知る。

注 3
王弼

虛無柔弱,無所不通,無有不可窮,至柔不可折,以此推之,故知無為之有益也。

虚ろで無く、柔らかく弱いものは通らないところがなく、無は尽きることがなく、きわめて柔らかいものは折ることができない。これによって推し測るので、何も為さないことの利を知るのである。

河上公

無有謂道也。道無形質,故能出入無間,通神明濟群生也。

無とは道をいう。道は形も質もないので、隙のないところへ出入りし、神明に通じ、多くの生きものを救うことができる。

河上公

吾見道無為而萬物自化成,是以知無為之有益於人也。

わたしは、道が何も為さないのに万物が自ずから変わって成るのを見た。これによって、何も為さないことが人に利することを知る。

3言葉のない教え

不言之教,無為之益,天下希及之。

言葉のない教えと、何も為さないことの利に、天下で及ぶものはまれである。

注 3
河上公

法道不言,師之以身。

道に倣って言わず、みずからの身で師となる。

河上公

法道無為,治身則有益於精神,治國則有益於萬民,不勞煩也。

道に倣って何も為さなければ、身を治めるときには精神に利があり、国を治めるときには民すべてに利があって、労も煩わしさもない。

河上公

天下,人主也。希能有及道無為之治身治國也。

天下とは君主である。何も為さない道によって身を治め国を治めることに及べる者はまれである。