第44章 — 立戒立戒
1名と身、どちらが身近だろうか
名與身孰親?
名と身、どちらが身近だろうか。
注 2
尚名好高,其身必疏。
名を尊び高いところを好めば、その身は必ず疎かになる。
名遂則身退也。
名が成れば身は退く。
2身と財、どちらが多いだろうか
身與貨孰多?
身と財、どちらが多いだろうか。
注 2
貪貨無厭,其身必少。
財を貪って飽きることを知らなければ、その身は必ず少なくなる。
財多則害身也。
財が多ければ身を害する。
3得ることと失うこと、どちらが病だろうか
得與亡孰病?
得ることと失うこと、どちらが病だろうか。
注 2
得多利而亡其身,何者為病也。
多くの利を得てその身を失うなら、どちらが病であろうか。
好得利則病於行也。
利を得ることを好めば、行いに病となる。
4ひどく惜しめば大きく費える
是故甚愛必大費,多藏必厚亡,
だから、ひどく惜しめば必ず大きく費え、多く蓄えれば必ず厚く失う。
注 3
甚愛不與物通,多藏不與物散,求之者多,攻之者眾,為物所病,故大費厚亡也。
ひどく惜しめば物と通じず、多く蓄えれば物と分け合わないので、求める者が多く、襲う者が多くて、物の病となる。だから大きく費え、厚く失うのである。
甚愛色,費精神。甚愛財,遇禍患。所愛者少,所亡者多,故言大費。
色をひどく惜しめば精神を費え、財をひどく惜しめば災いと憂いに遭う。惜しむものは少なく、失うものは多いので、大きく費えるといったのである。
生多藏於府庫,死多藏於丘墓。生有攻劫之憂,死有掘塚探柩之患。
生きているうちは蔵に多く蓄え、死んでからは墓に多く蓄える。生きているうちは襲われ奪われる憂いがあり、死んでからは墓を掘られ棺をさぐられる憂いがある。
5足るを知れば恥を受けない
知足不辱,知止不殆,可以長久。
足るを知れば恥を受けず、やめどころを知れば危うくないので、長く久しくあることができる。
注 3
知足之人絕利去欲,不辱於身。
足るを知る人は利を断ち欲を捨てるので、身を恥にさらさない。
知可止,則財利不累於身,聲色不亂於耳目,則身不危殆也。
やめてよいところを知れば、財や利が身を縛らず、声や色が耳と目を乱さないので、身が危うくならない。
人能知止足則福祿在己,治身者,神不勞;治國者,民不擾,故可長久。
人がやめることと足ることを知れば、福と禄はおのれにある。身を治める者は精神が労せず、国を治める者は民が騒がないので、長く久しくあることができる。