いにしえの文 › 道徳経(道と徳を説く経典) › 徳経

第44章 — 立戒立戒

道徳経(道と徳を説く経典) 道德經 · 老子、注釈 王弼・河上公 · 紀元前4〜3世紀(王弼の注は3世紀) · 段落 5 · 漢字 39字 · 朗読 0.2分

道徳経(道と徳を説く経典) 徳経 八十一章、五千字。墓から出た帛書本は今日用いる版本と字が異なり、同じ句をめぐって読みの分かれる箇所が多い。王弼は哲学として、河上公は治めと養生として読む。

1名と身、どちらが身近だろうか

名與身孰親?

名と身、どちらが身近だろうか。

注 2
王弼

尚名好高,其身必疏。

名を尊び高いところを好めば、その身は必ず疎かになる。

河上公

名遂則身退也。

名が成れば身は退く。

2身と財、どちらが多いだろうか

身與貨孰多?

身と財、どちらが多いだろうか。

注 2
王弼

貪貨無厭,其身必少。

財を貪って飽きることを知らなければ、その身は必ず少なくなる。

河上公

財多則害身也。

財が多ければ身を害する。

3得ることと失うこと、どちらが病だろうか

得與亡孰病?

得ることと失うこと、どちらが病だろうか。

注 2
王弼

得多利而亡其身,何者為病也。

多くの利を得てその身を失うなら、どちらが病であろうか。

河上公

好得利則病於行也。

利を得ることを好めば、行いに病となる。

4ひどく惜しめば大きく費える

是故甚愛必大費,多藏必厚亡,

だから、ひどく惜しめば必ず大きく費え、多く蓄えれば必ず厚く失う。

注 3
王弼

甚愛不與物通,多藏不與物散,求之者多,攻之者眾,為物所病,故大費厚亡也。

ひどく惜しめば物と通じず、多く蓄えれば物と分け合わないので、求める者が多く、襲う者が多くて、物の病となる。だから大きく費え、厚く失うのである。

河上公

甚愛色,費精神。甚愛財,遇禍患。所愛者少,所亡者多,故言大費。

色をひどく惜しめば精神を費え、財をひどく惜しめば災いと憂いに遭う。惜しむものは少なく、失うものは多いので、大きく費えるといったのである。

河上公

生多藏於府庫,死多藏於丘墓。生有攻劫之憂,死有掘塚探柩之患。

生きているうちは蔵に多く蓄え、死んでからは墓に多く蓄える。生きているうちは襲われ奪われる憂いがあり、死んでからは墓を掘られ棺をさぐられる憂いがある。

5足るを知れば恥を受けない

知足不辱,知止不殆,可以長久。

足るを知れば恥を受けず、やめどころを知れば危うくないので、長く久しくあることができる。

注 3
河上公

知足之人絕利去欲,不辱於身。

足るを知る人は利を断ち欲を捨てるので、身を恥にさらさない。

河上公

知可止,則財利不累於身,聲色不亂於耳目,則身不危殆也。

やめてよいところを知れば、財や利が身を縛らず、声や色が耳と目を乱さないので、身が危うくならない。

河上公

人能知止足則福祿在己,治身者,神不勞;治國者,民不擾,故可長久。

人がやめることと足ることを知れば、福と禄はおのれにある。身を治める者は精神が労せず、国を治める者は民が騒がないので、長く久しくあることができる。