いにしえの文 › 道徳経(道と徳を説く経典) › 徳経

第76章 — 戒強戒強

道徳経(道と徳を説く経典) 道德經 · 老子、注釈 王弼・河上公 · 紀元前4〜3世紀(王弼の注は3世紀) · 段落 4 · 漢字 57字 · 朗読 0.2分

道徳経(道と徳を説く経典) 徳経 八十一章、五千字。墓から出た帛書本は今日用いる版本と字が異なり、同じ句をめぐって読みの分かれる箇所が多い。王弼は哲学として、河上公は治めと養生として読む。

1堅く強いものは死の仲間である

人之生也柔弱,其死也堅強。萬物草木之生也柔脆,其死也枯槁。故堅強者死之徒,柔弱者生之徒。是以兵強則不勝,

人は生きているときは柔らかく弱く、死ぬと堅く強くなる。万物も草木も生きているときは柔らかくもろく、死ぬと枯れてこわばる。だから堅く強いものは死の仲間であり、柔らかく弱いものは生の仲間である。そこで、兵が強ければ勝てず、

注 8
王弼

强兵以暴於天下者,物之所惡也,故必不得勝。

強い兵をもって天下に暴れる者は、物が憎むところである。だから必ず勝つことができない。

河上公

人生含和氣,抱精神,故柔弱也。

人が生きているときは和した気を含み、精神を抱いている。だから柔らかく弱いのである。

河上公

人死和氣竭,精神亡,故堅強也。

人が死ぬと和した気が尽き、精神が亡びる。だから堅く強いのである。

河上公

和氣存也。

和した気があるのである。

河上公

和氣去也。

和した気が去ったのである。

河上公

以上二事觀之,知堅強者死,柔弱者生也。

右の二つのことから見れば、堅く強いものは死に、柔らかく弱いものは生きることが分かる。

河上公

強大之兵輕戰樂殺,毒流怨結,眾弱為一強,故不勝。

強く大きな兵は戦いを軽んじ殺すことを楽しむから、害毒が流れ怨みが結ばれ、多くの弱い側が一つになって強くなる。だから勝てない。

河上公

本強大則枝葉共生其上。

根もとが強く大きければ、枝と葉がその上にともに生える。

2木が強ければ切られる

木強則兵。

木が強ければ切られる。

注 1
王弼

物所加也。

物が加えるところである。

3強く大きなものは下に処る

強大處下,

強く大きなものは下に処り、

注 2
王弼

木之本也。

木の根もとである。

河上公

興物造功,大木處下,小物處上。天道抑強扶弱,自然之效。

物を興して功を造るとき、大きな木は下に処り、小さなものは上に処る。天の道は強いものを抑え弱いものを扶けるが、これは自然のはたらきである。

4柔らかく弱いものは上に処る

柔弱處上。

柔らかく弱いものは上に処る。

注 1
王弼

枝條是也。

枝のことである。