文長老の和した詩が多く届き、どの篇も遅く鈍い私を鞭打つので、無理に数をそろえて謹んで継ぐ文長老見和。多至。每篇皆警策遲鈍。勉强備數奉賡耳。
十載西堂擁葛僧。古山歸夢一䆫燈。幾千可使容鵬背。第五須看占鴿層。蟾吐素光䆫有暈。龍噓白氣井無氷。叢林勍敵知多少。杭舌乘流一皷勝。
十年、西堂で葛の衣をまとった僧が 古い山へ帰る夢を見る、窓辺のひとつの灯 幾千あれば鵬の背を容れられるだろう 第五の層まで見てこそ鴿の層を占められる 蟾が白い光を吐いて窓に暈ができ 竜が白い気を吹いて井戸に氷が張らない 叢林の手強い敵がどれほどいるか知れないが 舟と舌で流れに乗り、ひと打ちの鼓で勝つ
夾注 3
九首
九首。
普濟西堂。禪子所聚。
普済寺の西堂は、禅の修行者が集まるところである。
文來得寺。故云。
文公が来て寺を得たので、こう言った。
攪了黃梅七百僧。朅來無語對龕燈。閑書滿案風開帙。高塔摩空月倒層。銀葉燒香朝有火。石鐺留滴夜生氷。莫貪黃獨輕泥詔。一紙銀鉤懶尙勝。
黄梅の七百人の僧をかき乱しておきながら やって来て黙ったまま厨子の灯に向かう 閑かな書物が机に満ち、風が帙を開き 高い塔が空を摩して、月が層を逆さに映す 銀の葉に香を焚けば朝に火があり 石の鐺に雫が残って夜に氷が張る 黄独を貪って詔を軽んじてはならない 一枚の銀鉤のような書は、無精でもやはり勝っている
咳咳獨笑一閑僧。此是香嚴老襲燈。心地自涵無盡藏。道天曾上最高層。月松句好人脣膾。雨竹篇淸御眼氷。塞壑塡溝功不淺。趙州伎倆有誰勝。
からからと独りで笑う一人の閑かな僧よ これは香厳が老いて灯を継いだのだ 心の地にはおのずと尽きることのない蔵を湛え 道の天ではかつて最も高い層に上った 「月松」の句がよくて人の唇に膾のように上り 「雨竹」の篇が清らかで、御目には氷であった 谷を塞ぎ溝を埋めた功は浅くない 趙州の手並みに誰が勝てよう
夾注 2
師嘗題普賢寺云。路長門外人南北。松老嵓邊月古今。最警策。自是人號月松和尙。
師はかつて普賢寺に書いて、「道は門の外に長く、人は南へ北へ。松は巌のほとりに老い、月は昔も今も」と言った。もっとも優れた句である。これより人は月松和尚と呼んだ。
上召師赴內。使賦雨竹詩。嗟賞不已。
主上が師を宮中に召して「雨竹」の詩を作らせ、感嘆してやまなかった。
語帶天仙不帶僧。到頭吟盡幾番燈。冷聽秋雨芭蕉響。紅賞春風躑躅層。未必老禪工鍊玉。只緣淸質本如氷。支郞况有降魔手。移作詩鳴世孰勝。
言葉は天の仙を帯びて僧を帯びず とうとう吟じ尽くしたのは幾たびの灯だろう 冷ややかに秋の雨が芭蕉を打つ響きを聴き 紅く春の風に躑躅の層を愛でる 必ずしも老いた禅僧が玉を磨くのに巧みだからではなく ただ清らかな質がもともと氷のようだからだ 支郎にはまして魔を降す手があるのだから それを移して詩に鳴らせば、世に誰が勝てよう
一片心轉面壁僧。歸來燃却百千燈。立從白雪腰侵冷。痛覺神峯頂聳層。道境漸佳如啖蔗。家風長爽似懷氷。何人好事貽霜塵。從此談鋒漸未勝。
ひとひらの心を転じた面壁の僧が 帰って来て百千の灯を燃やす 白い雪の中に立てば腰に冷えが忍び入り 霊なる峰の頂が層をなしてそびえるのを痛いほど覚る 道の境地は次第に佳く、蔗を噛むようで 家の風はいつも爽やかで、氷を懐に抱くようだ どなたか物好きが霜のような麈尾を贈ってくれたので これからは弁舌の鋒に次第に勝てなくなる
夾注 1
崔宗藩贈塵尾。
崔宗藩が麈尾を贈った。
珍重能文江右僧。相逢無處不添燈。禪河容我曾分滴。詩壘因君更築層。倚檻共吟穿戶月。問山同過鎖溪氷。憑師若許參蓮社。汲水肩薪力足勝。
尊い、文に長けた江右の僧よ 出会えば灯を掻き立てない所はない 禅の河は私を容れて、かつて一滴を分けてくれ 詩の砦は君のおかげでまた層を築く 欄干に寄りかかってともに戸を射す月を吟じ 山を尋ねてともに谷川を鎖す氷を渡る 師に頼って蓮社に加わるのを許されるなら 水を汲み薪を担ぐ力は十分に堪えられる
懶將茶品鬪吳僧。愛把淸樽醉鳳燈。手澁未調金露液。骨昏難躡玉臺層。計乖南鴈寧違雪。身似東蠶已慣氷。粗報君恩便歸去。覓瘢群謗可能勝。
怠けて茶の品定めで呉の僧と競うことはせず 清らかな樽を手にして鳳の灯に酔うのを好む 手がぎこちなくて金の露のような液を調えられず 骨が鈍くて玉台の層を踏み登りがたい はかりごとが外れて、南へ行く雁がどうして雪に背けよう 身は東の蚕のようで、もう氷に慣れている 君の恩におおよそ報いたら、すぐ帰ろう 瑕を探す多くの謗りに勝てるだろうか
綠綺何須淸蜀僧。自彈幽韻伴靑燈。壯心不復虹千丈。平地無端浪百層。故國夢歸穿碧岫。殘宵酒渴嚼渾氷。片時未見曹溪老。雅興閑懷兩未勝。
緑綺の琴をどうして蜀の僧にだけ清らかに弾かせよう 自ら奥深い調べを弾いて青い灯を伴とする 壮んな心はもう千丈の虹ではなく 平らな地に、わけもなく波が百層立つ 故郷へ帰る夢は碧い峰を貫き 明け方、酒が渇いて氷ばかりを噛む しばらく曹渓の老人に会えないので 雅な興も閑かな思いも、どちらも堪えられない
寂寞如今學老僧。繁華曾閱馬行燈。題詩舊習言餘綺。作邑遺痕骨露層。潘岳年來雙鬢雪。王沈門冷一身氷。腰黃未必皆豪傑。百擲摴蒲偶一勝。
寂しく、今は老いた僧に倣っているが 華やかなころには走馬灯を見てきた 詩を作る昔の癖で、言葉にはまだ綾があり 県を治めた跡が残って、骨が層をなして露わだ 潘岳はこのごろ両の鬢が雪で 王沈は門が冷えて、全身が氷だ 腰に黄の印綬を帯びた者が、みな豪傑とは限らない 樗蒲を百度投げて、たまたま一度勝っただけだ