いにしえの文 › 東国李相国集(東国の李相国の文集) › 前集 巻12
蛍螢
東国李相国集(東国の李相国の文集) 前集 巻12 高麗の李奎報が生涯に作った文章を、子の李涵が1241年に編んで刻み、孫の李益培が1251年に改め補った文集。詩と賦、王に奉った表と箋、寺と塔に付けた記、碑銘と墓誌銘、手紙と序文、そしてモンゴルが攻め入った時に行き交った国書までが収められている。高句麗の始祖を歌った「東明王篇」が前集の巻3にあり、酒と琴と詩を友として自ら白雲居士と名のった人の一日一日が後集に残っている。書は、彼が目を病んで筆を置く最後の詩と、彼が死んだ後に他の人が作って付けた誄書・墓誌銘で閉じる。
百蟲潛息夜幽幽。恠爾擡燈獨自遊。時見美人羅扇撲。苦遭詩客絹囊收。低飛似欲黏衣領。飄去無端度屋頭。更莫迢迢天際逝。觀臺容易報星流。
百の虫が潜んで息み、夜は奥深いのに 怪しいことだ、お前は灯を掲げて独り遊ぶ 時には美人の絹の扇に打たれるのを見 苦しくも詩人の絹の袋に収められる 低く飛んで衣の襟に貼りつこうとするようで 翻って行き、わけもなく家の棟を越える これ以上、はるかに天の際へ去ってはならない 観測台がたやすく流れ星と報じてしまうだろう