玄上人が和してきたので、重ねて前の韻を用いる玄上人見和復用前韻
1第一首
夢酣仙境勝。身着畫屛微。露重猶疑雨。江昏未信暉。他山脚底歷。此地眼中稀。僧榻移時話。方歸覺皺衣。
夢が深まって、仙境のすばらしさに浸り 身は絵の屛風の中に、ほのかに貼りついている 露が重く、雨かと疑い 川が暗く、日の光を信じられない 他の山々は足の下を過ぎ去り この地は、目にすることもまれだ 僧の榻でしばらく語らい 帰ったばかりで、衣の皺に気づく
2第二首
斜日溟濛水獨明。亂山蟠屈路難平。雲迷極浦千帆色。風落長江一笛聲。度了幾人舟自泛。噪殘孤虎鳥猶鳴。朅來深得江湖興。忽起蓴鱸萬里情。
傾く日に薄暗く、水だけが明るい 入り乱れた山がとぐろを巻いて、路は平らになりにくい 雲に霞む遠い浦には、千の帆の色 風の落ちる長い川には、ひとすじの笛の音 幾人かを渡し終えて、舟はひとりでに浮かんでいる 一匹の虎に向かって騒ぎ終えても、鳥はまだ鳴いている 行き来するうちに、江湖の興を深く得て ふと蓴菜と鱸を慕う、万里の思いが起こる
3第三首
白沙鋪地遠。碧水際天微。雨惡增秋浪。霞明助夕暉。路幽逢虎熟。海瘠得魚稀。五馬人誰識。蕭然似布衣。
白い砂は地に敷かれて遠く 碧い水は天に接してかすかだ 雨が荒く、秋の波を増やし 夕焼けが明るく、暮れの日ざしを助ける 路が奥深く、虎に出会うのも当たり前で 海が痩せて、魚を得るのもまれだ 五頭立ての車に乗る守だと、誰が気づこう ひっそりとして、布の衣の人のようだ
4第四首
海山千里月分明。何處漁歌唱大平。詩榻愛吟帆去樣。畫家難寫鳥啼聲。林巒有霧晴猶暗。松檜無風晚自鳴。瞠目彷徨君莫怪。詞人自古苦鍾情。
海と山と千里に、月がくっきりと明るく どこかで漁師の歌が、太平を歌っている 詩の榻では、帆の去りゆく姿を好んで吟ずるが 絵師には、鳥の鳴く声を写すのが難しい 林の峰には霧があって、晴れてもなお暗く 松と檜は風がなくても、日が暮れると自ずと鳴る 目を見張ってさまようのを、君よ怪しむな 詩人は昔から、情に傾いて苦しむものだ